私は、視覚障碍者の全盲で、3つの公共施設と契約して仕事をしています。
そして、そのほかに、2つオンライン上で仕事をしています。そこでは、電話、メール、オンライン会議システム、チャットツールなどを仕事で使っています。
今回は、視覚障碍者にとって使いやすい仕事連絡ツールについて書いてまいります。
ICTの進歩とそれに伴うアクセシビリティの向上により、視覚障碍者でもインターネットを使っての仕事がしやすくなってきています。しかし、まだ不十分なところもあります。
ここでは、視覚障碍者によるICTの利用方法、視覚障碍者が利用できる仕事連絡ツール、私が使っている仕事連絡ツール、視覚障碍者が仕事連絡ツールを利用するときの配慮点について書いてまいります。
これから視覚障碍者を採用しようという企業の方にも、きっとお役に立てるのではないかと思います。
視覚障碍者によるICTの利用方法
視覚障碍者がICTを利用するときは、スクリーンリーダー(音声読み上げ機能)やロービジョン用の機能などを使ってICT機器を利用しています。
全盲の場合は、100パーセントスクリーンリーダーを使いますが、ロービジョンの場合は、スクリーンリーダーとロービジョン用の機能を組み合わせながらICT機器を利用する方が多いと思います。
このような方法で、視覚障碍者は情報の取得や他者とのコミュニケーションを行っています。
私の場合は、全盲ですので、100パーセント、スクリーンリーダーでICT機器を利用しています。
スクリーンリーダーとは、キーボードやタッチスクリーンを操作すると、合成音声で画面に表示されている内容を読み上げてくれる機能です。
例えば、パソコンで、日本語ローマ字入力をするとき、Aのキーを押すと「あ」と読み上げます。
視覚障碍者が利用できる仕事連絡ツール
視覚障碍者が利用できる仕事ツールは、ICTの進歩により、電話、メール、各種オンライン会議システム、チャットツールです。
これらを利用するには、スクリーンリーダーやロービジョン用機能を使って操作するとき、アクセシビリティに配慮されていることが必要です。
操作をする上で、どのような操作を実行するのか分からなかったり、簡単な操作で目的の所までたどり着けないと使うことが出来ません。
ロービジョンの方では、表示されている操作ボタンが確認が難しいと操作をスムーズに行うことが出来ません。
しっかり、スクリーンリーダーやロービジョン用機能で判断して操作出来るツールが必要となります。
そのほかに、サブのツールとして、電話対応しながら点字でメモをとる視覚障碍者もいらっしゃいます。
私が使っている仕事連絡ツール
私が使っている仕事連絡ツールの中から、代表的なツールを紹介します。
1. 電話
仕事先では、固定・スマートフォンの両方を使って、電話対応をしています。
固定電話は、ボタン式になっていますので、触って確認して使っています。
スマートフォンでは、スクリーンリーダーでタッチスクリーンを操作して、イヤホンを付けてパソコンでメモをとれるようにして利用しています。
2. メールアプリ
以前私は、職場でOutlookを使っていましたが、操作に煩雑さが目立ってきたため、上司と相談して、現在はThunderbirdを使っています。このメールアプリは、パソコン用スクリーンリーダーの一つである NVDA で使いやすく設計されています。
操作ボタンの読み上げも、しっかりしていますので、大変使いやすいです。
その他にも各種スクリーンリーダーごとに、使いやすいメールアプリがあります。
3. オンライン会議システム Zoom
全体的に、オンライン会議システムは、操作性の感覚を除けば、各操作での音声読み上げは良いと思います。
Zoomは、アプリ上の操作するボタンの読み上げが良く、使いやすいのではないかと思います。
そして、コロナ渦のときに、Zoomの利用が増えたため、視覚障碍者の間でも操作する機会が増し、操作に慣れている人が多くなっているのではないかと思います。
4. チャットツール Chatwork
Chatworkは、一部どのような操作をするボタンなのか分からない所がありますが、メッセージの交換とファイルの送信については問題なくスクリーンリーダーで行うことが出来ます。
視覚障碍者が仕事連絡ツールを利用するときの配慮点
上記に挙げました私が使っている仕事連絡ツールは、視覚障碍者全員が使いやすいとは限りません。
当事者としっかり話し合っていただきながら、利用しやすい連絡ツールの導入に繋げていただきたいと思います。
この話し合うということが、当事者にとって働きやすい職場環境に繋がるのではないかと思います。
まとめ
視覚障碍者が、仕事連絡ツールを利用する場合、スクリーンリーダーやロービジョン用の機能を使って作業を完了出来るかということが一番大事になります。
私自身も、契約している事業所との面接で、自分にとって使いやすい仕事ツールについて話し合いました。
仕事連絡ツールは、事業所との意思疎通をスムーズに行う手段でありますので、当事者にとって円滑なコミュニケーションがとれる環境の事業所が増えることを願っております。