子供に親の病気・障害をどう話すか、悩んだことはありませんか?
今回は統合失調症の私が長女に私の病気を3度カミングアウトした時の話をします。
長女が幼いころに病気が再発して寂しい思いをさせた
この春、高校2年生になる長女は物心つく前から、私が病気の症状で苦しむ姿を見て育ちました。
長女がまだ乳児だったころに、私は統合失調症を再発しています。
現在は寛解していますが、病気を抱えながらの生活は大変でした。
妄想や幻聴の症状がある時期は長女を連れて実家へ帰り、実母・実父の手を借りながら2年間静養しました。
主人の待つ自宅に帰ってからも、数年間は無気力の症状に悩まされ寝てばかりでした。
「お母さんは変わってしまった!優しいお母さんに戻ってほしい!一緒に遊んでほしい!」
休んでいた私に、6歳の長女が泣きながら訴えたのを今でも覚えています。
私の意欲に波があり、一緒に遊んであげられない日がたくさんありました。
「ごめんね」と思いながら何もできないダメな自分を責めました。
幼いころから母親が寝込みがちで、長女に寂しい思いをさせたのは事実です。
長女にはこれまでに3度、私の病気について伝えています。
病気について打ち明けた1度目|長女が小学3年生の時の反応
初めて私の病気の詳細を伝えたのは、長女が小学3年生の時でした。
私が読んでいた統合失調症のマンガ「わが家の母はビョーキです」(サンマーク出版/中村ユキ著)、「マンガでわかる!統合失調症」(日本評論社/中村ユキ著)の本がきっかけでした。
私が読み終えた本をテーブルの上に置いていたら、いつの間にか長女がそれを読んでいたのです。
「これはチャンスかも?」と感じた私は「一緒にお風呂に入ろう」と誘い、お風呂の中で話をしました。
当時9歳の長女にはまだ少し早かったかもしれません。
お風呂で温まりながら私はなるべく深刻にならないよう、慎重に言葉を選びながら話をしました。
お母さんはマンガに出てきた病気と同じ病気であること、病院へ行き薬を飲んでいるから怖い症状はなく落ち着いていること、だから心配しないで良いこと、病気のせいでたくさん寝ないと元気がでないこと、病気は誰のせいではないこと、お母さんを支えてくれるお父さんや長女・次女にとても感謝していることを伝えました。
長女は涙ぐみながら静かに話を聞いていましたが、私が「今は病院へ行ったり、薬を飲んだりしているから、大丈夫なんだよ」と強調すると安心したようでした。
その後はけろっとしており、特に変わった様子はありません。
病気について打ち明けた2度目|長女が中学生の時の反応
2度目に話をしたのは、長女が中学生の時です。
長女から「お母さんの病気、何だっけ?」と聞かれたのです。
長女なりに「お母さんは病気だから、自分が何かサポートした方が良いのでは?」と考えたようでした。
私は病名を伝えた上で「いつも通りで大丈夫!特別なことは必要ないよ。ありがとう!」と伝えました。
病気について打ち明けた3度目|長女が高校1年生の時の反応
3度目は長女が高校1年生の時でした。
何気ない会話から私の病気の話になりました。
そこで、私の方から思い切って「お母さんから病気をカミングアウトされて、どう思った?」と聞いてみたのです。
長女との会話はこうでした。
長女「小学校低学年までは全く意識してなかったよ。それが普通だったから。」
「高学年くらいになって我が家が少し他の家庭と違うことに気付き始めて、病気のことを思い出してああそうかと思った。」
私「ショックではなかった?」
長女「小さいころからお母さんが寝ている時間が多いのが日常だったから、お母さんが『我が家は普通じゃない』と言ってもピンとこなかったんだよね。病名がついても『ふ-ん、そうなんだ』としか思わなかった。」
私「普通の家庭はもっとお母さんが元気で、家事も仕事もしっかりこなせるものだよ。我が家は私が寝込むことが多くて、そこまでやりきれないんだ。ごめんね。」
長女「……普通って何?私の感覚だとお母さんのいう普通の家庭ってあまりないよ。皆何かしら抱えてることが多い。」
長女「普通の家庭じゃなくても幸せな家庭を作れば、子供には感謝されると思う。うちは普通じゃなくても幸せな家庭だと思うよ。」
長女の発言にハッとしました。
まとめ|子供は折り合いをつけながら成長する
かつて泣きながら寂しいと訴えていた長女は、諦めてきたことが多かったと思います。
けれど、長女は自分なりに現実を受け入れたのでしょう。
長女の思わぬ言葉に私は自分を恥じました。
私は「普通の家庭」にこだわって「病気だからごめんね」と引け目を感じカミングアウトしていたのです。
親に病気・障害があると、子供は他の家庭とは違う部分で我慢する場面があるかもしれません。
しかし、親の精一杯を子供は見ています。
完璧な家庭でなくても子供なりに折り合いをつけながら成長していく、そのことを教えられた我が家のカミングアウトでした。