「錠剤」と「カプセル」を飲めるようになるまで~中学生まで粉薬しか飲めなかった私のチャレンジ

灰色の背景に並べられた緑と白の錠剤とカプセル。

喉に詰まってしまいそうで、なんだか怖い。
そう思い、私は中学生まで錠剤が飲めなかった。

だが、主治医のアドバイスや飲めた日に楽しみを設けることで、錠剤とカプセルが飲めるようになった。

粉薬の量に限界を感じて錠剤にチャレンジ

最終的な手術だと言われている「フォンタン手術」を、小学4年生の頃に受けるまで、私は毎日、朝晩、薬を飲んでいた。その時間は、いつも苦痛。当時、私は錠剤が飲めず、粉薬を飲んでいたが、口いっぱいに味が広がるのが気持ち悪くて吐いてしまうことが多かった。

少しでも飲みやすいように、母はお茶や水ではなく、牛乳で薬を飲ませてくれた。しかし、牛乳の味と薬の味が混ざったオレンジのような味も気持ち悪くて、飲み込めず、吐き出してしまっていた。そのせいか、私は今でもオレンジ味が苦手だ。

「錠剤が飲めたら、薬を飲むのが少し楽になるかもしれないよ」。そう、主治医は言ってくれたけれど、小学生の私にとって錠剤は、喉に詰まってしまいそうな気がして怖いものだった。

あの小さな百草丸さえも飲み込むのが怖くて、ずっと口の中に溜めてしまい、苦味に耐え切れなくなって泣きながら吐き出すこともあったほどだ。

フォンタン手術後、薬は朝のみになったが、服薬時の負担は、むしろ増した。成長し、体重が増加していったため、1回分の薬量が増え、強いストレスを感じるようになったのだ。

学校へいかなければならない忙しい朝、時間を気にしながら、気持ち悪い味の粉薬を素早く飲まなければならない。そんな生活に嫌気がさし、中学生になった頃、錠剤に挑戦してみたいと主治医に相談した。

主治医は私が飲みやすいように配慮してくれたのか、小指の爪にも満たないサイズの錠剤を処方。「飲みこむ時は上を向くと飲みやすいよ。飲めない時は割ったり、スプーンで潰したりしてもいいからね」と、アドバイスと共に飲めないことをストレスに感じないよう、優しい言葉をかけてくれた。

その日から、私は錠剤を飲めるよう、トレーニングを開始。はたから見れば、小さな錠剤だったが、私にとってはまだ「喉に詰まりそうで怖いもの」だったため、包丁の柄で錠剤をたたき割り、より小さくし、まずは食事以外の固形物を飲みこむことへの恐怖心をなくそうとした。

こんなに小さいから、喉につまらない。大丈夫。そう、自分に言い聞かせ、錠剤に対する印象を変えていった。

最初の頃は、どうしても飲み込めない日もあった。そんな日は無理せず、「こういう日もある。最初の頃よりは、飲めるようになったじゃん」と自分に言い聞かせながら、砕いた錠剤をスプーンですりつぶし、粉状にして飲んだ。

そんな生活を続けていると、錠剤をすりつぶさなくても飲める日が増えていき、自分の中にあった錠剤への恐怖心が和らいでいった。そのタイミングで、錠剤を割ったり、潰したりせず、そのまま飲むことを習慣化。

なかなか飲み込めず、口の中で溶けてしまう日もあったけれど、できなかった日よりも飲めた日に着目し、自分を褒めた。錠剤を飲めた日は、カレンダーに好きなシールを貼ってもいいという、自分の心がワクワクする習慣も設けた。

こうした工夫を凝らした結果、錠剤をそのままの形で飲み込めるようになった。粉とは違い、口の中に味が広がらない錠剤を飲めるようになると、服薬時のストレスが激減した。

主治医のアドバイスでカプセルが飲みやすくなった

青い背景にオレンジ色のボトルからこぼれた様々な色と形の錠剤とカプセル。

錠剤を飲めるようになったと主治医に報告すると、「次はカプセルにもチャレンジしてみようか」と提案された。

カプセルは、ようやく飲めるようになった錠剤よりも、はるかに大きい。「こんなの絶対無理。飲み込めない」と、私は抵抗した。

けれど、主治医は「カプセルも飲めるようになると、粉薬を飲む機会がすごく減るし、飲める薬の幅が広がるよ」と言った。そこで、渋々チャレンジすることに。

しかし、錠剤のように上を向いて飲み込もうとすると、カプセルが浮いてきてしまい、すごく飲みにくかった。そこで、定期健診の時に、その悩みを主治医に相談。すると、主治医は「カプセルは下を向いて飲むと、飲み込みやすいよ」とアドバイスしてくれた。

その助言を早速、実行してみると、格段に飲み込みやすくなった。カプセルは錠剤よりも大きかったが、つるっと喉に入ってくれる感覚があり、飲み方を覚えた後はすんなりと飲めるようになった。

カプセルは主治医の勧めで、渋々チャレンジしたが、後にやっておいてよかったと痛感。なぜなら、私は歯科治療の際に感染性心内膜炎を防ぐため、治療前にカプセルの抗生剤を8錠、治療後に4錠飲まなければならないからだ。

こういう未来も見越して、主治医はカプセルのトレーニングを勧めてくれたのだと、大人になってから気づき、深く感謝した。

錠剤やカプセルに初めて挑戦する時、子どもは恐怖心を抱くことがある。だからこそ、周囲の大人が飲みやすい方法を教えたり、飲めなくてもストレスを感じずにトレーニングを続けていけるように工夫していったりと、サポートをしてあげてほしい。

そして、本人には飲めた日に自分を褒め、楽しみを作り、暗い気持ちにならずにトレーニングをしていってほしいと思う。

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ABOUT ME
古川 諭香
猫の下僕のフリーライター。愛玩動物飼養管理士などの資格を活かしながら大手出版社が運営するウェブメディアにて猫に関する記事を執筆。共著作は『バズにゃん』。書籍レビューや生きづらさに関する記事も執筆しており、自身も生きづらさを感じてきたからこそ、知人と「合同会社Break Room」を設立。生きづらさを抱える人の支援を行っている。