発達障害であることを職場の人に公表するメリット・デメリット

白いデスクの上に並べられた2台のノートパソコンと観葉植物、お菓子、ノートが置かれたミニマルな作業スペース。

自分が「発達障害」と診断された際、職場の人に話すか、それとも隠すのかで迷う方が非常に多くいらっしゃいます。

いずれもメリット・デメリットがあるので、事前によく考えてから決断すべきといわれています。

今回は、発達障害について職場に公表するメリット・デメリットについて解説しますので、興味をお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。

※この記事は、2023年11月に公開されたものを再編集しています。

発達障害であることを職場に公表するメリット

まずは、自身が発達障害であることを職場に公表するメリットから見ていきましょう。

【公表することで得られる主なメリット】
・職場の人に理解してもらえる可能性がある
・自分の特性に合った配慮が受けられる可能性がある


ー 職場の人に理解してもらえる可能性がある

多くの発達障害の方は、自身の特性によって生じるトラブルの影響で過大なストレスを抱えがちです。

人によっては小学生でもこなせるような単純作業でもミスを連発し、「お前のようなやつは今まで見たことがない」などと揶揄されてしまうことも珍しくありません。

このような批判を受ける大きな要因として、「定型発達との比較」が挙げられます。

発達障害を隠して就労している場合、大勢の「普通の人」と働くことになるため、自身の悪い特性が目立ち「変な人」扱いをされてしまうことが少なくありません。

これに対し、自分が発達障害であることをカミングアウトすれば「ミスが多い理由」「うまく働けない理由」などが明確になり、場合によっては自分のことを理解してもらえるようになるかもしれません。

ー 自分の特性に合った配慮が受けられる可能性がある

職場の規模・状況によって異なるものの、発達障害に関する配慮が受けられる可能性があるのも見逃せないポイントのひとつです。

【具体的な配慮の例】
・パーティションの設置
・チャット上でのやり取りの義務付け
・リモートワークの導入

集中力の低下が気になる方にはパーティションの設置、口頭でのやり取りに苦手意識を持っている方なら「報連相は原則チャット上で行うことをルール化する」など、直属の上司と相談しながら自分に合った配慮を受けることが可能です。

なお、採用される可能性は低いですが、集団の中で仕事をするのが苦手なら「フルリモートワークの導入」を提案してみるのもひとつの手です。

ビジネスミーティング中にノートパソコンと紙の資料を使って話し合う2人の男性の手元。

発達障害であることを職場に公表するデメリット

発達障害であることを職場に公表するデメリットは、主に以下の2つです。

【公表することによる主なデメリット】
・「甘え」「みんな同じ」などの暴言を吐かれて終わるだけになる可能性がある
・今までしてきた仕事を任せてもらえなくなる可能性がある

ー 「甘え」「みんな同じ」などの暴言を吐かれて終わるだけになる可能性がある

発達障害の方が持つ悩みの多くは、「コミュニケーションが苦手」「忘れ物が多い」など定型発達の方でも抱くものが少なくありません。

このような背景があることから、「ミスが多いのは単なる努力不足だろ!」「甘えたことを抜かすな!」など激しい叱責を受けてしまう可能性が大いにあります。

特に発達障害に関する知識が乏しい上司の場合、やや時代錯誤の精神論・根性論をベースにした説教を受けてしまう可能性があるので注意しましょう。

ー 今までしてきた仕事を任せてもらえなくなる可能性がある

発達障害は「治す」のではなく「うまく付き合っていく」という認識を持つことが重要とされています。

そのため、薬を飲んだり自分なりの工夫をしたりして自身の特性を抑え、そのうえで目の前にある仕事に取り組むことになります。

しかし、どんなに努力を重ねても、「発達障害の特性をなくす」ことはできません。上司にカミングアウトした際、「つまり君はこれからもミスをするってことだよね」「そんな人に大事な仕事を任せることはできない」などと上司に告げられてしまう可能性は、決してゼロではありません。担当していた仕事を任されなくなるほか、場合によっては「部署異動」「リストラ」のおそれもあるため注意が必要です。

木製のデスクでノートパソコンとメモ帳、スマホを使って共同作業を行う2人の女性。

発達障害のことを職場の人に伝える際に確認すべきポイント

発達障害のことを職場の人にカミングアウトする場合、以下の2点を確認しましょう。

【カミングアウトする際に確認すべきポイント】
・発達障害の知識を持つ人がいるか
・同じような悩みを持っている同僚・先輩はいないか

職場に発達障害に対する知識を持っている方がいれば、まずはその人に相談してみましょう。もし直属の上司が頼れる場合には、1on1やランチミーティングなどを依頼し、タイミングを見て自身の悩みを告げてみると良いでしょう。

また、自分と同じような特性を持っているような同僚・先輩がいるなら、その人に相談するのもひとつの手です。定型発達の方に比べ、より親身になって話を聞いてもらえる可能性があります。

ただし、「もしかして○○さんも発達障害ですか?」などと直接的に聞くのはNGです。発達障害の問題は非常にセンシティブで、場合によっては相手を不快にさせてしまうおそれがあるためです。相手の意見や立場を尊重し、あくまでも「一般的な悩み相談」の形から話を進めていくのがベターです。

会議室でノートパソコンを使ってデジタルプロジェクトについて議論するビジネスチームの様子。

まとめ

発達障害のことを職場の人にカミングアウトすれば、自身の特性・悩みごとに対する配慮が受けられる可能性があります。しかし、場合によっては根性論で一蹴され、よりつらい思いをしてしまうケースも珍しくありません。

「職場の人に伝えたいけどどうしよう…」と悩んでいらっしゃる方は、上司の普段の振る舞いや、会社の設備環境などを考慮しつつ十分に検討してから決めるようにしてくださいね。

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事務→営業→コンビニ経営→記事制作→MRサポートなど多様な仕事を経験しています。 人見知りかつ内向的なADHD・ASD混合型で、多くの失敗を重ねてきました。 過去の経験や現在感じていること、昔の自分に伝えたい内容を中心に各媒体で発信中です。