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就労支援にも一般枠就労にも当てはまらない発達障がい者

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2023.3.6

記念すべき初投稿。皆さまはじめまして、琳堂ヤコと申します。

以前はTwitterでちょっとしたアカウントを持っていたので「なんか見たことある名前だな」と思った方もいらっしゃるかも?

そう思っておこう私の自己肯定感アップだ。ともあれ、自己紹介から入ろうかなあ。

執筆:琳堂 ヤコ Yako Lyndoh

私の障がい診断名は、先天性の注意欠陥多動性障害(ADHD)と後天的な二次障害である双極性障害。

年齢は31歳、小学生一人と未就学児一人の計二人の子どもを持つシングルマザー。高校は中退、大学も中退、叩こうと思えばどこからでも叩けるものばかり。

職業はセミプロ塾講師。経歴としては詰めると大体5年以上にはなるのかな。現在は集団授業を行う大手塾で教壇に立っております。

パラちゃんねるカフェの当事者コラムをご覧になっている方々は障がいを持つ当事者の方や、そういった方が親族や友人、または職場にいるという方々なのかしらん。

なんであれ、この記事をご覧になっている方の大半はおそらく障がい名タグ等でたどり着いたという方だと思います。

皆さまご存じであろう通り、「発達障がい」とは様々な形で出るものであり、誰しもが特定の障がいの特定の条件を持つとも限りません。

今回はそのなかでも、「診断はおりているけど『障がい』になったりならなかったりする人間」について、自己紹介の代わりにお話しようかな。

ADHDという障がいは、大きく分けて注意欠陥・多動性・衝動性の三本の柱が障がい内容です。

このバランスはもちろん人それぞれで捉えがたいものがあります。一方、幸いなことにこれらが実生活の支障とならないようにするための薬がADHDに関してはいくつかあります。ここは大して説明要りませんね。脳機能だとか薬の作用・副作用とかなんとかの専門的なものはプロにきくのが一番ですよ。こんな私のコラムに頼るでない。

さて、私が服薬しているのはストラテラという薬で、一日の限度量とされている120mgを服用しています。服薬以前と以後では大きな違いがありました。

まず初めに驚いたのは、街で見るビルに立体感があることでした。建物の存在感がまるで異世界に来たかのように違う。今思えば、私の空間認知能力の低さが関係しているのではないかな。

注意欠陥は大きく軽減。服薬前に出した通信大学の第二外国語課題が返却されてきたのを見て、得意なはずなのにケアレスミスが多すぎることに驚き、また服薬し効果が出てきたその後の自分が提出したもののケアレスミスの少なさに驚くなど。

多動性はもともと脳内多動なので傍から見ればあまり変わらないように思いますが、個人の実感としてはアブクのようにあふれ出る言葉たちの勢いが弱まり、脳にいつでも何かを入れられるスペースが少しできたというような感じがあります。

衝動性についてはストレス発散で本やDVDを買うなどが減りましたが、こちらについてはいまだ悩むところです。

後述しますが、私の集める唯一の物と言ってもいいのは書籍で、しかもそれはほとんどが仕事に関係する・関係できるものなので「浪費」とラベリングしづらいのです。つまり、「浪費」ではなく、意味があり価値のある「投資」だと錯覚しやすいがためにブレーキがかなり弱く、欲しいと思ったらすぐに買ってしまう。タイミングを考えて慎重に購入時期を考えることが難しいのです。なぜなら「必要だから」。

「家事」などの終わりがないタスクや「金銭管理」という欲望にブレーキをかけるもの、そういったものが苦手な私ですが、自分で言うのもなんですが「仕事」はかなりできる方です。

服薬の助けや努力や経験がものを言っている部分はありますが、なにより、「塾講師」という職業が私の持つADHD特性をむしろ「スペシャリスト」として活躍させるように後押しする形になっているのです。

一方、双極性障害に関してはそうもいきません。こちらはちょうど初めて社会人として働いた会社の上司からの度重なる人格否定の罵声に心を折られて発症してしまったものです。

当初はうつ病と診断されていましたが、精神科管轄の精神病はそのときの状態に診断がつくという側面もあるらしく、双極性障害と後に診断されました。

うつ症状は悪化の一途だったため、勤めていた会社は離職し、アルバイトなどをしてみましたが、やはり就労を本格的に考えたいと思ったときにいろいろ調べていると、どうやら障がいを持つ人に対する就労支援があるらしいと知りました。

ということで、作業所と就労支援施設にそれぞれ一度ずつ見学・相談へ行ったのです。

まず私が見学した作業所では、なんらかの精神障がいを持つ人達が小さなビーズでアクセサリーを作っていました。私はプラモデルは得意ですがビーズを用いた創作は大変苦手で、その光景を見ながら「よくあんな細かい作業できるなあ、すごい」と思ったのを今でも思い出します。

一通り見学し終わり、面談室で担当者の方が仰ったのは、「琳堂さんのような方は一般枠で就労できると思います」ということだった。

私としては「まあ、ビーズ作業の方が私にはかなりのストレスがかかるし得意でもないし好きな刺激もないしな」と思い、次は当時事業を始めたばかりでwebニュースにも取り上げられていた某就労支援施設に見学に行きました。

まだオフィスが整備されている状態ではなくて申し訳ないというお話と同時に、就労支援内容のお話を伺いました。

IT系のスキル取得を目指し、目指す資格や職によってコースが違うことに興味が湧いたのと、社長を含め社員の方々が発達障がいを持っている当事者の方々で、「仕事ができるけどできない」という困りごとを持っているところに私は大きく惹かれました。

「仕事ができるのにできない」とはなにか。

私で言えば、「大学受験の英文法の解説をサラサラとできるが紙をきれいに三つ折りにすることはまったくできない」という感じです。要は、「そんなことができるのに、こんなこともできないのか」という具合なわけですね。

一般就労というのは、各企業の社風はあれど「一般枠」であり、特別に支援が入るわけでもなく、一方「障がい者枠」は求人を見てみると事務や掃除や軽作業で私にとっての刺激不足の面も含め最も苦手とするものたち。

私にとっては「障がいがあって、同時に障がいがない」扱いになってるぞこれという感覚でした。

そしてたどり着いたのが塾講師でした。大学はそもそも英語科教員になりたかったので英語を専攻しており、ただし中退したのもあって教員免許はありません。

塾講師は教員免許がなくてもなれます。なおかつ、私は語学自体が大好きで個人的な活動としても取り組むほど。語るのも大好きであり、難解なものを平易に言い換えるのも得意。なにより、「楽しい」があり、「苦なくできることがメイン業務」なのが塾講師という仕事でした。

何が言いたいのかって?

結局、私のADHDという発達障がいは「環境と私の間にある壁」でしかなかったということです。

双極性障害については服薬で落ち着いていますし。

世の中には、「障がいがあるのに障がいがない」という不思議な立場が起こりうるというお話でした。

覚えて帰ってほしいのは「障がいはその人と社会との間にある」というのが私の思想であるということです。
それではまた。

とあるADHD持ち学習塾講師。英文法と英和翻訳をこよなく愛する。たまに哲学を差し込む。有益な情報は基本ない。
発達特性児(ADHD+ASD)2人持ちのシングル家庭。座右の銘は「怯まず為さば勝利は近し」。

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