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社会で活躍する障害者はスペシャリストが多すぎる。「障害者のロールモデル不足」という社会問題。

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2021.6.2

私たちGATHERINGは、障害や生きづらさを抱えた学生に、自分のキャリアについて考える機会を提供できればと思い、活動しています。取り組みのきっかけとなったのは「障害者のロールモデル(あの人のようになりたい)不足」という問題。社会で活躍する障害者にはスペシャリストが多すぎるのです。

執筆:GATHERING ギャザリング

障害者のロールモデル不足とは?

皆さんは「社会で活躍する障害者」と聞かれると、どのような方々が思い浮かびますか?

実名は挙げませんが、芸能人、パラアスリート、アーティストといった、プロフェッショナルやスペシャリストの方々を思いつくのではないでしょうか。

「障害があっても〇〇さんのようになれる」と言われたとき、そこまで頑張らないとダメなのかと自己肯定感をえぐられる想いになります。

障害を持っていると、悲しいかな、「仕事ができそう」「充実した生活を送っていそう」といったポジティブなイメージを抱かれることは少なく、また、自分の未来を明るく考えられるタイプの障害者もそこまで多くありません。

社会で活躍する障害者が「オンリーワン」な雰囲気を醸し出していることも相まって、障害があるというだけで、どのような生き方や働き方があるか、幸せな暮らしがあるか、自分の障害と向き合いながらうまく歩めるのか、だいぶ描きづらいのです。

肩肘張らずに、ちょっと頑張ることで得られるような、ちょうどいい暮らしが想像できない。私たちはこの問題を「障害者のロールモデル(あの人のようになりたい)不足」と呼んでいます。

(このご時世、健常者も描けるかと言われると難しいかもしれませんが…)



GATHERINGの動画コンテンツ「キャリアライブ」が意図するもの

私たちGATHERINGは、障害や生きづらさを抱えた学生に、自分のキャリアについて考える機会を提供できればと思い、活動しています。

キャリアというと「仕事」というイメージが浮かびやすいですが、私たちは「人生設計(人生全般)」と考えています。

仕事に関しても、アプローチできるような仕掛けは整えていますが、仕事はあくまでも人生設計の一部でしかありませんし、別に働かなくてもいい、働くことを強制する必要はない(=収入を得る仕組みは障害者だからこそのものとしていくつかある)と考えているので「生まれてから死ぬまでをどう考えるか」を大切にしていると言ったほうが適切でしょうか。

また、情報という観点で言えば、自分と同じような障害の種類の人だとどのような仕事に就けるのか、どのような配慮やサポートがあれば良いのか、という情報は、障害者雇用の就活サイトをはじめとして入手する機会は増えてきました(『パラちゃんねるカフェ』もですね!)。

おそらく、1年、3年…と経てば経つほど、情報の精度や入手しやすさは、格段に増すはずです。

その一方で、仕事ではなく、例えば、暮らしや家族、結婚やパートナーシップ、趣味や余暇活動など人生を豊かにするための情報はあまり多くありません。これは、バリアフリー設備やサービス介助といった類の話ではありません。

障害のある人で、いわば”ふつう”の暮らしをしていて、何気ない日常を楽しんでいるような、ちょっと背伸びすれば届きそうな「障害者のライフキャリア」を知る機会がないのです。

例えば、企業で働く障害者の話も、MVP級の方が取り上げられているばかり。失敗事例などは出てくることはありませんし、そこそこの評価の人も出てきません。

障害があるというだけでめちゃくちゃ頑張らないと、”ふつう”の暮らしさえ手に入らないのではないか。

こんな風潮を作り出してしまっているのです。ただでさえ、障害があるというだけで困りごととその対応をやり続けなくてはならないのに。

これでは障害のある学生が、自分のキャリア(人生設計)について考えることが難しくなってしまいますし、気負わなくてはいけません。



障害者のキャリアに大切なのは「頑張りどころ」を選び取ること

「キャリアライブ」には、これまで数人の方に登場していただいていますが、冒頭に記したような有名人ではありません。

とは言っても、一度見ていただけるとわかりますが、「めちゃくちゃ頑張っている人」のように感じ取られてしまいがちです。そこまで頑張れないよ、できないよ、恵まれてるよ、と。

ただ、共通しているところは「頑張りどころを選び取っている」ことです。ここだけは頑張ろうという選択が上手いのです。「選択と集中」です。その結果、趣味やプライベートが充実して、日々の活力につながっていくというサイクルが回っています。

まだまだ「キャリアライブ」で取り上げられている方は少なく、編集中のものもたくさんありますが、私たちの使命のひとつとしては「障害者の多様なロールモデルを伝えていくこと」です。

この『パラちゃんねるカフェ』を通じて、出たい!紹介したい!という声をいただけることを願っています。それが、障害のある学生の未来につながると信じています。

障害や生きづらさのある学生が、自身のキャリアを考える機会を提供するプロジェクト「GATHERING」。YouTubeチャンネルの運営、イベントやウェビナーの実施、障害学生のインターンシップの機会提供(さまざまな企業とコラボ)などが主な活動内容。

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