上京物語~東京レインボープライド2024
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2024.4.24
2024年4月19日(金)~21日(日)にかけ東京で『東京レインボープライド2024』が開催され、ボクは最終日に行われた『プライドパレード』に参加してきました。そのご報告です。
執筆:勝水 健吾 Katsumizu Kengo
様々なメディアで取り上げられていたのでご存じの方も多いかと思います『東京レインボープライド2024』。最近は同性婚問題などにも関連して、とてもタイムリーでホットな話題かと思います。
19日(金)は強風のため開催中止となりましたが、翌日より開催され、発表によりますと動員数は20日(土)で約120,000人、21日(日)は約150,000人、ブース出展は314の企業や団体、プライドパレードには約15,000人の方々が参加されたとのことでした!
パレードへの参加に葛藤はあった
ボクは「ゲイの」「HIV陽性者」という立ち位置でプライドパレードに参加したのですが、参加するにあたって葛藤が全く無かったかというと、そうではありませんでした。それはなぜか…理由はいくつかあります。
ー 1『レインボープライド』に懐疑的だった
特に最近、強く思うことがあって。それは企業や団体がこぞって『私達はLGBTQ+アライです』と意思表明したり、それを積極的にアナウンスすることに対して、なんとも言えない嫌悪感を持っていたからです(アライ:Ally=自分自身は当事者ではないけれどLGBTQ+の人々を理解し支援する人たちのこと)。「それって経済効果を狙ってるよね?」「結局、お金儲けにLGBTQ+を利用してるだけじゃん」と内心、毒づいてました(笑)。
ー 2表現の仕方やアプローチの仕方への疑問
会場へ行かれた方や、TVや雑誌・新聞などのメディアをご覧になられた方はご存知かもしれませんが、ドラアッグクイーン(男性が女装しパフォーマンスを行う人のこと)やGOGO BOY(主にゲイクラブイベントやステージでセクシーな衣装を着てパフォーマンスする人のこと)が、昼間から(笑)しかも公衆の面前で様々なパフォーマンスをすることに対して「ゲイはあーゆー事を平気でやる人の集団だ」みたいに見られてしまうことにとても恥ずかしさを感じていました。
ー 3規模が大きくなることによる主張すべき権利意識の希薄化
規模が大きくなり集まる人が多くなると、本来、このイベントを通して主張したいと思っている権利意識がどんどん薄れてしまっているのではないか?という稀有です。ただのお祭り騒ぎになるだけのような気がしていました。
こんなちっぽけなボクに何が出来る?
少し話がずれるのですが、ボクは上京する度に思うことがあったんです。
これは東京や大阪などの大都市圏に住んでいる人なら当たり前だと思うことなのですが、一地方都市に住むボクにとっては、とても考えさせられることなので、その辺りはご了承下さい。
都市部で移動する際、JRや私鉄を利用するにしろ、2~3駅向こうへ移動しても、見える光景はほとんど変わらないですよね。ボクの住む都市では、そんな事はありません。中心部から3駅も移動したら、かなり光景が変わります。
そこでボクが何を考えるのかというと「こんな沢山の建物や住居があるということは、そこに沢山の人が生活して生きている」ということを実感するんです。何度も言いますが、当たり前のことですが(笑)でも、そんな事を考えると、自分自身の存在が、とってもとってもちっぽけな存在に思えてくるんです。するとボクはこんな事を考えてしまうんです。
こんなちっぽけなボクに何が出来るんだろう?
1つの答えが見つかった
ボクはプライドパレードには『#UPdateHIV』というフロートの先頭に立ち、横断幕を持って東京の街を1時間近く歩きました。「We are POSITIVE!!」「Update HIV!!」というコール・アンド・レスポンスで声を上げながら、同じフロートで歩く60人近くの仲間を後ろに感じ、沿道から手を振る笑顔の人たちを眺めながら、ボクがずっと思っていた疑問に答えが見つかったように感じました。
ボクはちっぽけだけど一人じゃない
一人でできることには限りがあるけれど、皆でできることは無限大
何だか、当たり前のことだと言われればそれまでなのですが(笑)ボクは今回、このプライドパレードに参加して、とても強く強く思いました。
冒頭でボクはレインボープライドに対する否定的な気持ちをお伝えしました。けれど、例えば企業が経済効果を狙っていることだったり、規模が大きくなることに対する懸念だったりをお伝えしましたが、今は「経済効果?!大歓迎!その代わりWin-Winでいきましょ」とか「規模が大きくなる?!大歓迎!それだけボクらの主義主張が大きく広がる」という思いへと変わっていきました。
表現の仕方だって、ある程度のモラルを守りながらであれば、どんな方法をとってもいい、と思っています、情報は限られた単一の方法だけではなく、様々な媒体や方法を使わないと、多くの人には広がらない!と思うようになりました。
ボクはこの『パラちゃんねるカフェ』の初稿『初めまして!ボクはトリプルマイノリティです!』でもお伝えしましたが、ボクは『セクシャルマイノリティ・身体障害者・精神障害者』の当事者です。やっぱりボクは、これらのマイノリティ要素に対して根強く残る偏見差別に対し、一石を投じたい。いや『爪痕を残したい』(笑)。
皆様、どうかこれからも応援を宜しくお願い致します。
Text by
Katsumizu Kengo
勝水 健吾
1975年岐阜県生まれ。長く理学療法士として医療機関に勤務。働きながら社会福祉士免許取得後、大学院修士課程を修了。リハビリテーション療法学修士。その後、産業カウンセラーの資格を取得。現在はフリーの心理カウンセラーとして活動中。セクシャルマイノリティ(ゲイ)であり身体障害者(免疫機能障害)であり精神障害者(双極性障害)である。