統合失調症を持ちながら子を望むこと~2

赤ちゃんを抱く女性とその傍に立つ男性のイラスト。

前回のお話の続きになります。前回は、障害を持ちながら子を望むことに対して否定的な意見があることについて、あれやこれやと考えておりました。

前回の記事は、以下からご覧ください。

私と夫は、凍結胚を全て戻すまでは不妊治療を継続するという決断をし、しばらく不妊治療との戦いが続くことになります。結論だけ先に書かせていただくと、私は3つ目の凍結胚で我が子を生んでいます。現在育児もしながら、執筆作業の日々です。

妊娠から現在に至るまでの過程と、最後に私なりのまとめを記したいと思います。お読みいただけますと幸いです。

服薬しながらの妊娠

私は統合失調症・てんかん・甲状腺機能低下症の持病があるため、不妊治療を始める前にリスクの低い薬への服薬調整をしていました。それらを服薬しながら不妊治療も開始して、妊娠に至っています。妊娠中もその常用薬を毎日のんでいました。

私は特に、妊娠初期と後期に時々強い不安が襲ってくることがありました。初期はつわりで気持ち悪いのも相まって、少し被害妄想気味だったように思います。後期は後期で、出産後育児に追われて病気が再発しないか、そのような不安が強くありました。

そのような状態も度々ありましたので、妊娠中も服薬は続けていてよかったと、個人的には思っています。私の場合は、日々の常用薬をのんでいてもそのような状態でしたから。

我が子との対面に安堵した出産

そのような感じで妊娠中はやや不安定ながらも、おしるしから陣痛と、出産がスタートしました。子宮口8センチになったところで無痛分娩が開始。その後少し時間を要したものの、気持ちが穏やかにお産が進んでいきました。

「これでイキんだら出てくる!」

お股からぬるんと何かが出てくる瞬間、我が子が出てきたのだと理解しました。我が子が出てくる瞬間、お股(会陰)がパチパチと切られる感覚も分かりました。

「あれ、でも産声が聞こえない…」

少し不安になりました。けれども、助産師さんか医師が赤ちゃんを取り上げ、何かをしている内に、元気な産声が聞こえてきます。その声を聞いただけで、涙が出てきたことを覚えています。

これから我が子に何が起こるかわからないのは事実です。けれどもこの時、我が子が元気に生まれてきてくれたのも、事実でした。妊娠中不安だった気持ちを受け止めてくれるように、我が子が私の胸の上に置かれました。

我が子の体温がとても温かくて幸せだった気持ちは、今でも鮮明に思い出します。

忙しくも楽しい育児

出産を終え、バタバタと育児生活がスタートしました。心配していた産後の持病の悪化も、今のところ杞憂だったと言えます。むしろ、妊娠中は我が子の実態が見えず、その不安の方が強かったように思います。

けれども一つ言えることは、産後の持病の悪化を防ぐために、情報収集したり訪問看護の利用を開始したりと、前もって心配の芽を潰していました。それは少なからず功を奏しているように思います。また、夫が半年間という長期の育休をとってくれたことも大きいのでしょう。

そのように、社会福祉資源を活用しながら、また、様々な人々に支えられながら、日々育児をしています。もちろんしんどかったり疲れたりすることもありますが、可愛らしい我が子の変化を毎日目の当たりにして、楽しみながら育児をしています。

どんな意見があっても信念は曲げないでいたい

前回にも記した通り、世の中には多種多様な意見で溢れかえっており、それは当たり前のことだと思います。私のように障害を持つ人が子を望むことに対して、否定的な意見があることも承知で、私は子を望み、そして生みました。

私は世の中にどのような意見があっても良いと思う一方で、私の信念を曲げないようにいたいのです。「子を育てる自信がないなら生むな」ともし言われたら「自信はないけれど放棄はしない」ときっと心の中で呟きながら、毎日変わらない日々を送ると思います。

我が子の笑顔を見ながら、そう思うことが増えました。「自信はなくても、思い描いた通りいかなくても、母親はやめない」と。

そんなことを思いながら、またもう一つ夢があります。前回、少し特別養子縁組について触れましたが、特別養子縁組を考え始めた当初から、ショートステイ里親もしてみたいと思うようになりました。

私はもっぱら偽善者です。現実は厳しいかもしれませんが、困っている子どもがいたら、少しでも手を差し伸べたいと思うのです。生活に落ち着きを取り戻したら、今後挑戦してみようと思います。もちろん我が子も大切に育てながら。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

※:ショートステイ里親:保護者の病気や育児疲れ等の理由から、短期間子どもを預かる里親のこと

参考文献

吉田奈穂子(2015)『子どものいない夫婦のための里親ガイドー家庭を必要とする子どもの親になるー』 明石書店

吉田奈穂子(2015)『子どものいない夫婦のための養子縁組ガイドー制度の仕組みから真実告知までー』 明石書店

後藤絵里(2015)『産まなくても育てられます 不妊治療を超えて、特別養子縁組へ』講談社

高橋敬一(2017)『赤ちゃんを待つあなたへ 専門医が答える不妊治療Q&A』幻冬社メディアコンサルティング

浅田義政・河合蘭(2023)『不妊治療を考えたら読む本〈最新版〉科学でわかる「妊娠への近道」』講談社

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ABOUT ME
綿 まるみ
京都女子大学文学部卒業後に教員免許を取得し、教育保育関連を経てwebライターへ。小学生の頃よりてんかん、大学在学中に統合失調症、甲状腺機能低下症を発症。「普通に生きることが難しい」と感じた経験から、様々な病気と共存しつつも平凡に生きることを目標にしている。