原因は長期間に渡るトラウマ体験!PTSDとは違う「複雑性PTSD」とは?

木製の心臓形のオブジェが二つ並んでいる様子。複雑性PTSDに関するブログ記事用の画像。

通常のPTSDとは異なり、長期にわたる慢性的なトラウマ体験によって引き起こされるのが、「複雑性PTSD」という精神障害。まだ病名が十分、世間に知られていないこの病気はどんな症状が現れ、どう治療していくのか。今回は当事者の視点から、情報を伝えたい。

PTSDとは異なる「複雑性PTSD」とは?

胸に手を当てる女性。複雑性PTSDに関するブログ記事用の画像。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)と言えば、自然災害や性的暴行など、トラウマとなる圧倒的な出来事を経験した後に始まる、日常生活に支障をきたす強く不快な反応のことだ。漫画や映画などに描かれることも多いため、なんとなく症状などが想像できるという人もいるだろう。

その一方、PTSDとよく似た呼称の「複雑性PTSD」は、まだあまり世に浸透していない病気だと感じる。私は33歳になった今年、複雑性PTSDであると診断された。病名を告げられた時、真っ先に頭に浮かんだのはPTSDとは何が違うのかという疑問。そこで、書籍やネットなどで原因や症状、治療法を調べてみた。

その結果、分かったのは複雑性PTSDという診断名が、2018年に新しく導入されたものであるということだ。原因は持続的な虐待やDVなどのトラウマ体験など。PTSDで見られるフラッシュバックや悪夢、過剰な警戒心などに加えて、感情の調整や対人関係に困難があるといった症状が見られるという。

自身の発症原因は子どもらしくあれなかった幼少期

木製の心臓形のオブジェが二つ並んでいる様子。複雑性PTSDに関するブログ記事用の画像。

私の場合は、幼少期の家庭環境に原因があった。父親はモラハラ気質で、気分によって「良し」とする言動が異なった。昨日だと笑ってくれた冗談が、今日には怒鳴りながら怒られる言葉に変わるため、顔色を読みながら機嫌を考え、生きる日々だった。

母親は、私が先天性心疾患であったことから過干渉となり、特に恋愛関係のことに関しては口を出されることが多かった。私の彼氏が気に入らないと、悪口を言い、別れるように仕向けることもあった。その干渉から逃れたくて何も話さなくなると、プリクラ帳や日記を盗み見て、私の気持ちを勝手にのぞき見ようとした。

母は時折、なぜ、そんなことを言うのか…と悲しくなる言葉を口にすることもあった。志望校を諦めて泣いていた時に「努力が足りなかったから仕方ないでしょ」と怒られたことや死にたいと言った時に「あんたの治療にいくらかかったと思ってるの」と怒鳴られたこと、流産した時に病室のベッドで「夫以外の男との子どもなんじゃないの?」と言われたことなど、心には刺さって抜けない言葉のトゲがたくさんある。

両親が思うような娘でないといけない日々が苦しかった。お酒を飲むと怒りっぽくなる父は、よく母に突っかかり、両親はほぼ毎日、喧嘩をしていた。それを宥め、仲裁をするのが私の役目。子どもなのに子どもであれない日々が辛かった。

また、父は娘が障害を持っていることを受け止められなかったようで、私を特別視したり贔屓したりすることが多かった。そうした扱いの差に、私と姉はそれぞれ傷つき、異なる痛みを抱え、関係性が悪くなっていった。誰にも頼れない。本音を話せない。家が怖い。そんな気持ちを抱えながらも、一人暮らしをする勇気も経済力もなく、私は結婚まで実家暮らしをしていた。

だが、そんな家庭で育ったからか、結婚後も苦しみは続いた。ひとりで過ごしていても誰かの監視の目があるような気がして、リビングでも自室でも「いつ見られてもいい自分」を演じるようになった。

また、父の気持ちを汲んで、みんなが同じ行動をする家庭で育ったため、パートナーと一緒の行動ができないと不安になった。「先に寝室に行く」と言われると、「嫌だ!一緒に行く」とすがり、その時にしていたことをすべてやめ、相手の行動に合わせるのが日常だった。

そんな生活は自分も苦しかったけれど、パートナーだって辛かった。常に一緒にいないと不安になる私に、パートナーは「うっとおしい」と言うようになった。だが、そう言われても私は自分のために時間を使うことができなかった。自分で自分を満たす方法をこれまでに学んでこなかったら、やり方が全く分からなかったのだ。

結局、そのパートナーとは別の理由もあって離婚となったが、ひとりになっても心にある生きづらさは消えてくれなかった。しこりのようなものが、ずっと心にあるように感じるのに、それをなくす方法が分からず、苦しかった。

だから、複雑性PTSDだと診断された時、ホっとした。自分がおかしかったわけではないのだと分かったし、治療ができるものだと知れたからだ。

複雑性PTSDに関する書籍はまだ数が少なく、治療法も模索されている印象ではある。診断には高度な専門性が必要であるため、もしかしたら…と思う方は経験豊富な臨床心理士や公認心理師、精神科医を探してほしい。

また、精神科を訪れるか、公認心理師や臨床心理士によるカウンセリングを頼るかによっても治療法は大きく変わってくると思うので、じっくり考え、治療経過と向き合いつつ、自分が納得できる方法を選んでほしい。

私の場合は、年単位での治療になると告げられた。心を縛る生きづらさから解放されるまでにはまだまだ長い月日がかかるが、頑張ってきた過去の自分を褒めてあげながら、ゆっくりこの病気と向き合っていこうと思っている。

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ABOUT ME
古川 諭香
猫の下僕のフリーライター。愛玩動物飼養管理士などの資格を活かしながら大手出版社が運営するウェブメディアにて猫に関する記事を執筆。共著作は『バズにゃん』。書籍レビューや生きづらさに関する記事も執筆しており、自身も生きづらさを感じてきたからこそ、知人と「合同会社Break Room」を設立。生きづらさを抱える人の支援を行っている。