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すべてをポジティブに変換する視覚障がい者歩行テープ「ココテープ」。今日もココから、どこ行こう? 「ココテープ」プロジェクトチーム タキザワケイタさん企業インタビュー

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2023.11.27

『パラちゃんねるカフェ』がお届けする企業インタビュー。今回は、いま話題の視覚障がい者歩行テープ「ココテープ」を特集します。ゴムメーカーの錦城護謨株式会社と共同で企画・開発に従事したPLAYWORKS株式会社 代表 インクルーシブデザイナーのタキザワケイタさんにお話を伺いました。

執筆:「ココテープ」プロジェクトチーム

はじめに

視覚障がい者歩行テープ「ココテープ」は、「視覚障がい者歩行誘導マット」などを製造・販売するゴムメーカーである錦城護謨株式会社と障がい者など多様なリードユーザーとの共創からイノベーションを創出するインクルーシブデザイン・コンサルティングファームであるPLAYWORKS株式会社により共同企画・開発されました。

従来の点字ブロック(視覚障がい者誘導用ブロック)は、歩道や駅構内など外出時の移動を支援する社会インフラとなる一方でイベントなどの仮設施設や移動の幅が狭い室内などでは活用が困難でした。

そんな中で10年前に全盲の視覚障がい者との出会いをきっかけに錦城護謨株式会社によって開発された「視覚障がい者歩行誘導マット」をさらに進化させ、「すべての人にやさしいもの」として誕生した視覚障がい者歩行テープ「ココテープ」は、どんな場所でも手軽に気軽に当事者から主体的に依頼が設置できるツールとしていま注目を集めています。

視覚障がい者歩行テープ「ココテープ」が誕生するまで

今回の共同プロジェクトは、PLAYWORKS タキザワケイタ社長からの声掛けにより、錦城護謨株式会社の太田泰造社長はプロジェクト発足までの経緯を教えてください。


PLAYWORKSでは、視覚障がい含めた身体障がいがある方々との共創を通じて新規事業や商品・サービス開発のコンサルティングを行っています。これまでの活動を通じて視覚障がい者の行動が点字ブロックの有無にかなり左右されていると感じていました。そして、当事者は社会や健常者が対応してくれるのを受け身で待つしかなく、結果的に外出や旅行を諦めるなど無意識的に行動が制限されてしまっている。この状況を打破すべく、受け身で待つだけではなく主体的に自分の道が作れたらと思い、錦城護謨株式会社の太田社長に提案させていただき、プロジェクトが始まりました。


「ココテープ」を初めて見た時、イベント会場やレストラン、オフィスなどで企業側が活用する商品だと認識していましたが、どちらかというと視覚障がい当事者が持ち歩くことをイメージしているのでしょうか?


まさにその通りです。「ココテープ」は25センチ4本入りと3メートル1本入りの2つのラインナップがありますが、25センチ4本入りはA4クリアファイルサイズに、3メートル1本入りはロールになっていてどちらもカバンに入れて持ち歩きやすいサイズになっています。視覚障がい者が持ち歩き、使いたい場所で使い時だけ利用する、ガイドヘルパーやサービス提供者などに貼ってもらうなど障がい当事者が自らの行動を主体的にポジティブに広げていくことを目指しています。

ココテープ:1mシート(ポイントで使いやすい) 長さ:25cm × 4本 質量:32g(25cm)予定価格:1,500円(税込1,650円)

ココテープ:3mロール(ラインで使いやすい)長さ:3m 質量:384g 予定価格:4,200円(税込4,620円)

手軽に気軽に「ココテープ」ここに貼って!

具体的に「ココテープ」はどのような場面で利用できるのでしょうか?


例えばホテルの部屋や新幹線の座席、映画館やスタジアムなどのレイアウトが同じ環境は視覚障がい者にとって混乱を招きます。そんな時にホテルの部屋のドアや床に25センチの「ココテープ」を貼れば迷わず一人でも移動できますし、音楽活動や講演会などの舞台に上がる際の目印としても使えます。


また、3メートルの「ココテープ」は直線上に貼るタイプなのですが、コピー機やデスクなどが凸凹に配置されているオフィスやエレベータとオフィスの入り口までの動線が斜めになっている場合など、当事者がぶつかったり迷いやすい場所に活用できます。


「ココテープ」に白杖を添わせて移動するのでしょうか?


「ココテープ」のエッジに白杖を添わせる方もいれば、足で踏んで移動する方もいます。全盲と弱視で歩き方も異なるので、双方にとってわかりやすいような形状にしています。また、養生テープのように剝がしたり、貼ったりしやすいのも特徴で、例えばオフィスのトイレなど使い慣れたから剥がすみたいなことも簡単に対応できます。


視覚障がい者が自ら「ココテープ」の利用を申し出るだけでなく、トイレや更衣室などは一緒に案内できない状況も存在するのでガイドヘルパーが「ココテープ」を常備しておくと不自由のない同行援護にも繋がるかもしれません。

誰もがポジティブで能動的に活動していく社会を目指して

現在、2024年春の商品発売に向けてクラウドファンディングも実施しています。今後の展望として、「ココテープ」が全国に広がることで社会や当事者にどのような変化を起こしたいと考えていますか?


2024年は民間事業者の合理的配慮が義務化されます。社会の中でココテープが役に立った、助かった、喜んでもらえたというような小さな成功体験が増えていくことで合理的配慮もやらなきゃいけないネガティブな行動ではなく、ポジティブなマインドになれる気がしています。また、当事者においては受け身の態度から脱却して自分の毎日を自分で作っていく、楽しくしていける意識の変化に繋がっていったら嬉しいなと思っています。


これまで障がい者雇用の現場において、視覚障がいがあるとオフィス内の移動が困難という理由からエントリー段階で断れてしまうことも多くありました。ココテープが全国に普及すれば、視覚障がい者の働き方にもポジティブな影響を起こせるかもしれません。

さいごに

生きづらさや困りごとを抱える当事者と共創することで新たな価値が生まれることを改めて再認識するインタビューとなりました。

現在、ココテープは2024年春の商品発売を目指してクラウドファンディングを実施しています。みなさんも視覚障害者が行きたい所へお出かけできる社会を実現していくプロジェクトに参加してみませんか?

興味のある方はぜひチェックしてみてください。

「ココテープ」プロジェクトチームは、ゴムメーカー錦城護謨株式会社と、インクルーシブデザイン・コンサルティングファームPLAYWORKS株式会社を中心とする活動体です。視覚障害者歩行テープ「ココテープ」の企画・開発・普及によって、視覚障害者が自主的に移動できる社会の実現を目指し活動しています。

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