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「障害×働く」でオススメしたい本~後編

~とくにオススメの3冊

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2022.3.11

前回は、「障害×働く」でオススメしたい本を紹介するにあたって、そのきっかけとなった1冊について書いたが、今回はその本題となる3冊を紹介したい。

僕がそうだったように、あなたの生きやすさ、働きやすさを少しでも助けてくれる存在になってくれれば幸いです。

「障害×働く」でオススメしたい本~前編~きっかけになった1冊 はこちら >> 

執筆:マーチン Martin

この3冊は、今でも繰り返し読んでいる。どれも内容が分かりやすく、アドバイスが具体的であり、現状への打開する為の熱量を感じる。

以前に、発達障害を詳しく分析しようと、発達障害の専門書を手に取ってみたこともあるが、どれも医学的な用語が飛び交う難解な本ばかりで、何が何だか分からなくなってしまった。

発達障害を根本から理解したいという人には苦にならないのかも知れないが、僕には

「アメリカ精神医学会が出版している最新版DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)では~」や、

「世界保健機関(WHO)が作成している国際的な診断基準ICD(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)によると~」は

読んでいて頭が痛くなってきた(笑)。
試験勉強でもしてるのか俺は??

まぁ、単に僕が内容を全て理解できるだけの学力を持ち合わせていなかったのもあるが、初めて発達障害の本を読むのであれば、自分にとって分かりやすい言葉で記述された内容の本がオススメだ。


ー ちょっとしたことでうまくいく発達障害の人が上手に働くための本 對馬陽一郎 著

まず1冊目。

ちょっとしたことでうまくいく発達障害の人が上手に働くための本/對馬陽一郎 著(翔泳社)

写真やイラスト付きで分かりやすく解説してあり、こんな時どうすれば?の具体的な解決方法や対策案についての内容が豊富な解説書。

これまでも発達障害の人が働く上でのノウハウ本は何冊も出版されてきた。

しかし、障害当事者の指導役を想定したノウハウ本であったり、「スケジュールを忘れない様に同僚に伝えて言ってもらいましょう!」と少し実現性が難しいノウハウ本も少なからずあった。

また、文章のみで具体的な作業風景が頭にイメージ出来ない自分にはちょっと物足りない本が多かったので、具体的にイラストやパソコンの操作画面の画像が載っているのはありがたかった。

項目の間にあるコラムも現実的で具体的な情報が豊富でオススメです。


ー 発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術  借金玉 著

次に2冊目。

発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術 /借金玉 著(KADOKAWA)

自分にとっては衝撃的な1冊。
「障害×働く」においての名著であり、まだ読んでいない人なら是非とも読んで欲しい本。

著者はTwitterでフォロワー5万人以上もいる発達障害界隈では有数のインフルエンサーでもあるライターの借金玉さん。

借金玉さんは大手金融機関への就職するも、障害特性による壁にぶつかり退職。退職後は起業・倒産・重いうつ病を経て、現在は執筆活動と平行して不動産業界で働いている。

そんな波瀾万丈な人生の中で学んだ、職場での見えないルールや人間関係、タスク管理について笑いも交えながら読みやすい文章でまとめられている1冊。

職場を「部族」、挨拶を「見えない通貨」と独特な解釈で今までにはない斬新な表現で、僕らがこれまで掴みきれずに困っていた「普通」「常識」「雰囲気」「空気」に例えを交えて説明書をつけてくれた。

この本を初めて読んだ時の衝撃は今でも忘れられない。

発達障害でなくとも、特にこれから就職で社会に出る学生には働き方・会社組織・仕事術を学ぶ上でかなりオススメしたい1冊です!!


ー 福祉を変える経営~障害者の月給1万円からの脱出 小倉昌男 著

最後に3冊目は視点を変えて、「障害×働く」を労働者目線ではなく、雇う経営者側からの目線で書いた1冊を紹介したい。

福祉を変える経営~障害者の月給1万円からの脱出 小倉昌男 著(日経BP)

作者の小倉昌男さんは宅急便でおなじみのヤマト運輸の元社長で、心身に障がいのある人々の「自立」と「社会参加」を支援することを目的とした、ヤマト福祉財団の創設者である。

この本はA型・B型就労継続支援の制度が開始されるよりもずっと昔、2003年に出版された本になる。

本書は現在でも課題となっている障害者の低賃金をいち早く問題提起し、それを打開する為の施策を実行した奮闘記でもある。

今よりずっとビジネスと福祉が遠い位置関係だった時代に、障害者が自立して健常者と平等に生きる社会である『ノーマライゼーション』の実現に向けて、これまでの福祉・障害者に乏しかった利益や消費者ニーズの意識の種を蒔いた1冊だと感じる。

この20年で障害者雇用を巡る環境は大きく変化した。

出版された2003年当時では1.8%だった民間企業の障害者雇用率も、2022年3月現在では2.3%と上昇して、僕の様な発達障害を持っている人間も障害者雇用のカウント対象に追加された。

福祉とビジネスの距離もグッと縮まり、全国各地の就労継続支援事業所や障害者アートブランドなどでは市場のニーズに合わせた優れた商品の開発や製造が行われている。

その点では確かに前進したと感じる。
しかし、まだまだ道半ば。賃金や求人の偏り等の課題は山積している。

この本が蒔いた種の未来に生きる僕らには、大きな花を開かせなくちゃならない使命がある。

僕自身もコラムニストとして「障害×働く」を伝える身として、この本の存在はめちゃめちゃ大きかった。この本が無かったら、コラムニストの募集にも応募してなかったかもしれないし。

古い本なので買うまで少し手間ですが、是非とも手にとって欲しいです!

ここまで、「障害×働く」に関する、実践本・ライフハック本・ビジネス本タイプの違う3冊を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

あなたにとってこの3冊が、あなたの生きやすさ、働きやすさを少しでも助けてくれる存在になってくれれば幸いです!!

1989年生まれの33歳、生粋の岐阜県民。社会人2年目の時に発達障害(ADHD/ASD)と診断され、障害者雇用にて再就職。8年間勤務後、障害者の就労支援職に従事している。2019年に居場所作りや情報共有の場として岐阜市にて発達障害当事者会「発達ワークスぎふ」を立ち上げ、私生活では二児の父として、色々しくじりながらも奮闘中!!

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