社会人って何人?

社会人の男性がスーツ姿の男性が背を向けて立っているイメージ

今回のテーマは「社会人」という言葉に対する考察です。

ほとんどの人が無批判・無自覚に使っている言葉「社会人」ですが、みなさんはどのような場面で口に、あるいは耳にしていますか?

どうも、これを書いている時点ではまだ1本目の記事も掲載されていないのに、ほぼ毎日記事を納品している供給過多系迷惑オジサン糸ちゃんです(編集さんごめんなさい)。

さて、今回のテーマは「社会人」という言葉に対する考察となります。読者の方でも聞いたことがない人はいないであろう圧倒的市民権を獲得している「社会人」ですが、みなさんはどのような場面で口に、あるいは耳にしていますか? それはおそらく次のような文脈ではないかと思います。

「キミももう社会人なんだから、いつまでも学生気分でいられちゃ困るよ」

「俺も社会人になったのだから、もっとちゃんと生きていかなくては」

とまあ、特に言い回しとしての矛盾や誤謬(ごびゅう)はないかのように一見みえますが、私はこの言葉が大嫌いです。普段からも絶対に使わないことにしています。なぜならこれは強者による排除の論理だからです。詳しく述べていきます。

そもそも社会人とは

まず、「社会人」とはなんぞやという点ですが、グーグル先生に訊いてみると一番上にこんなものが出てきます。

「実社会で活動する人(例:学校を出て社会人になった)」

「社会の一員としての人」。フムン、なるほど……ってなるか!

この言葉を多用する人たちはこの定義より更に踏み込んだ限定的な状況で、基本的には既得権益(安全な立場)から相手を批判するために行使します。彼らが「社会人」と口にする時、それはおおむね「高校・大学を卒業してそのまま正規の労働者になった者」を指していることが極めて多いです。つまり「社会人」とは「会社人」の奇妙なアナグラムに過ぎないともいえます。

ここで問題になってくるのは、そのような正当な手続きを踏んで大人になれなかった人、例えば高校を中退して実家で暮らしながら週3日バイトをしているフリーター、義務教育をドロップアウトし、それこそB型作業所でずっと働いている障害者の存在です。彼らは「社会人」ではないのでしょうか? ひきこもりは? 重度障害で1日中寝たきりの人は? 精神科閉鎖病棟で一生を終える人は? この人たちはグーグル先生がいうところの「社会の一員」ではないとでもいうのか。そんなわけはないですよね。

社会人と学生について

そして、私が最も懸念しているのが「学生」と「社会人」がまるで対概念のように周知されているという事実です。「学校を出て社会人になる」のであれば、学生は社会の一員ではないということになります。この認識が学校を聖域のように見なし、そこで起こるイジメや自殺などの問題について教師をはじめとする現場に押し付け、国家レベルのコミュニティ全体で取り組むべき課題であるという視点を欠落させてしまいます。

また、学生自身にとっても「自分はまだ社会人じゃないのだから、世の中のことを知らなくても(関与しなくても)いい」といった、モラトリアム的怠惰を甘受してしまう行動様式を促すのです。これは社会にとって恐ろしいほどの損失だと私は思います。こうした明らかな矛盾の極めつけは「社会人学生」という、もはや使っている本人ですら意味不明であろうところの造語です。ナチスの正式名称「国民社会主義ドイツ労働者党」をなんとなく彷彿とさせますね。もうこうなると何も言っていないのと同じです。

まとめ

ここまで「社会人」について批判的な切り口で考察してきましたが、私も一応まっとうに働いている人間であるので、普通の人がこれを口にする時何を指しているのかは大体わかっているし、同意できます。

あいさつをきちんとする、まともな会話ができる、報連相を徹底する、仕事の納期を守るなど、本当に大人として必要最低限の能力を育てることを怠ってきた人たちに苛立ちを覚えることもザラにありますから。そのため、「社会人」という語句の含意自体に反対しているわけではありません。ただ表現が気に入らないし、それこそ社会にとって危険だと思うのです。

じゃあなんて呼べばいいのかという声が聞こえてきそうですが、私が上述したようなことをそれが欠落した相手に伝える時、自分の中で考える時は「一般常識のある大人」とか「プロとしての職業人」などの言い回しを使っています。これなら社会的弱者を排除することなく(完全にではありませんが)、不文律化された世の中のルールを他者と共有することが可能です。

以上が「社会人」という大変奇妙な、それでいてほとんどの人が無批判・無自覚に使っている言葉についての私の考察でした。みなさんが明日からこの言葉を耳にし、口にする時にほんの少しでもこの記事で得た気付きを思い出してもらえたなら幸いです。

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ABOUT ME
糸ちゃん
1994年生まれ。いじめや家庭内不和で精神障害(双極性障害Ⅱ型)を発症しながらも、福祉系の大学で4年間福祉について学び精神保健福祉士を取得。現在は大分県別府市にある訪問介護事業所で事務・広報の仕事をしている。 ライターとしての心がけは「しんどいことを楽しく伝える」こと。自身の体験を専門職と当事者両方の視点で語っていきたい。