統合失調症と恋愛とカミングアウト〜受容と拒否感を経験して〜

青い空と赤い2輪の花のイメージ

私が統合失調症になって少しあとの大学3年生の頃に、お付き合いしている方がいました。大学の小規模サークルで出会った方で、友達の延長線上でお付き合いが始まったと記憶しています。

残念ながら最終的にはお別れするのですが、その後もしばらくは、友達として時々連絡を取り合っていました。

お付き合いしていた当時、この方に「私は統合失調症という持病がある」とカミングアウトした時のことを記したいと思います。

カミングアウトした理由

持病のカミングアウトについては、お互いにとって非常にセンシティブな問題かと思います。私は現在では、持病や自分の内面などについて、パートナーに必ず伝える必要があるとは思っていません。その理由の詳細は後述しますが、当時の彼にカミングアウトした時「相手に自分の全てを知らせる必要はないのだ」と感じたためです。

一方、当時の私はその時の彼にカミングアウトをする選択をとりました。なぜ、当時カミングアウトという選択をとったかというと、理由は主に2つあります。

1,病気も受け入れてほしかった

10年ほど前の当時は、統合失調症に関する情報が今ほど多くはありませんでした。特に、実体験に基づく情報がほとんどなく「統合失調症を持ちながらの恋愛」に対してどのように対処すれば良いか分からなかったのです。

また、統合失調症になって間もなかったことから、当時は「統合失調症を持つ自分」が全てのような気がしていました。持病を受け入れてもらえることが「自分という存在」を受容してくれることと思っていたのかもしれません。

2,伝えないと不誠実な気がした

加えて、私の大変直球な性格もあって「統合失調症という持病を隠して付き合うのは不誠実かもしれない」と当時は思い込んでいたのも、カミングアウトした理由の一つです。

さらに「もし統合失調症の症状が出てしまったら、何も知らない状態だと彼は驚いてしまう」という、現実的な問題も含めて、カミングアウトを決めました。

当時の私は統合失調症になってから間もないこともあり、やや不安定な状態ではありましたが、以上のような理由から、彼に「私は統合失調症持っている」と伝えようと決心したのを覚えています。

男女が手をつないでいて恋愛しているイメージ

カミングアウトする時は不安でたまらなかった

カミングアウトするために、彼に電話をかけました。少し他愛もない話をしながら「実は私のことで伝えないといけないことがあって…」と不安に駆られながらも、口火を切ります。

しかし、その後は沈黙が続くばかりで「私は実は統合失調症を持っている」となかなか言い出せませんでした。「言わなきゃ、彼に嘘をついたまま付き合うことになる」焦れば焦るほど、無作為に沈黙が続きます。

そのうち、彼が「言いたくないことは、別に言わなくていいんだよ」と不意に伝えてくれました。その一言をもらったことを機に「この人なら伝えられる」と実感して、統合失調症のことを伝えられました。

「言いたくないことは言わなくていい」という言葉

「言いたくないことは言わなくていい」また「言いたい時に言えばいいよ」と彼は伝えてくれました。この時に、前述したように、必ずしも自分の内面の全てをを相手に知らせる必要はないと、考えられるようになりました。

この言葉や出来事は、私の明確な人生の転換点の一つであって、忘れられない出来事です。「言いたくないことは言わなくてもいい」そのような選択肢を私に与えてくれたのです。

当時の彼はどのような思いからその言葉を発したのか、もう定かではありません。ただ、その言葉をもらってから、かえって持病のことを伝える勇気が出たのも確かでした。

桜越しにビルが見える風景は彼の言葉で勇気が出たことを表現している

カミングアウトしたその後

持病のカミングアウトをしてからも、しばらくお付き合いが続いていました。けれども、当時の私は、大変幼く恥ずかしがりだったため、その彼と手を繋ぐこともできませんでした。彼はそれを受け入れてくれていましたが、私の自己中心的で勝手な思いから、最終的にお別れをしました。

その後しばらくは友達として連絡を取り合っていましたが、だんだんと疎遠になり、今ではどこで何をしているのか定かではありません。

ただ、私にとって大切な出来事と言葉を残してくれた彼には、今でも感謝しています。

淡いピンク色の桜の木は彼への感謝の気持ちが表れている

大切な人が去る覚悟もいる

けれどもカミングアウトは、大切な人が去る覚悟と表裏一体かと思います。必ずしも受け入れてくれる人ばかりではないのも、きっと現実でしょう。当時の彼にカミングアウトする時、とても不安でした。やはり幻滅して私の元から離れる可能性が少なからずあったと思っていたからです。

また、カミングアウトをして受け入れてくれたけれども、実際統合失調症の症状に直面した友人で疎遠になってしまった人々も、私にはいます。これは悲しいけれども、どうしようもないほど現実なのです。

それでも、こんな私を受け入れてくれる家族や友人、周りの人々が、少ないながらいます。そのような人々をカミングアウト前から見抜くことは、難しいのも、また現実です。

だから私は、無理にカミングアウトはしなくても良いと個人的に思っています。カミングアウトしようとしなかろうと、周囲の人々は、やはり統合失調症の症状に直面すると、驚いてしまいますから。

何よりも大事なことは「統合失調症の症状や再発を防ぐ」こと。かえってそれが、大切な人々のためになると思っています。

持病や自分の内面のカミングアウトは、大変勇気のいることです。無理のない範囲で信頼できる人に伝えられたら、きっと十分だと思います。統合失調症と共生することは何かと大変ですが、お互い頑張りましょうね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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ABOUT ME
綿 まるみ
京都女子大学文学部卒業後に教員免許を取得し、教育保育関連を経てwebライターへ。小学生の頃よりてんかん、大学在学中に統合失調症、甲状腺機能低下症を発症。「普通に生きることが難しい」と感じた経験から、様々な病気と共存しつつも平凡に生きることを目標にしている。