障害者雇用のピアサポーターを5年した私が思う障害者にとって良い職場とは

コルクボードに紙とピンが刺さっており、「精神保険福祉士のピアサポーターが語る障害者が働きやすい職場環境」のテキストが描かれています。

私は発達障害とトゥレット症候群により精神障害者保健福祉手帳2級を所持しており、現在は一般企業の障害者雇用枠で就労しています。

基本的には人事部門にて事務職に従事していますが、その傍らで精神保健福祉士の資格を活かして、精神疾患を持つスタッフへのピアサポートも行っております。

今回はピアサポーターとして様々な方の相談に乗ってきた私の考える、障害当事者にとって働きやすい職場環境について書いていきたいです。

ピアサポートとは

「ピアサポート」を日本語に直訳すると「仲間の援助」という意味になります。ピアサポートが行われている分野は、アルコール依存症、がんや難病患者、LGBTなど多岐に渡りますが、今回の記事では障害を持つ当事者を、同じく障害を持つ支援者がサポートすることとさせてもらいます。

同じ障害を持つ人同士で支え合うピアポートには、双方に共感を得やすいなどメリットが多く存在します。

私は同じ職場やそのグループ企業で働く障害者雇用スタッフに対し、ピアサポーターとして様々な相談に乗ってきました。多くの人の悩み、不安、要望を聞いている中で、どのような職場が多くの障害者にとって働きやすい環境であるのかが見えてきました。

ピアサポートの具体的エピソード

以前、このような相談がありました。「昼休みの時間が苦痛です。お弁当を食べた後に40分以上も時間が残っており、会社では家のようにリラックスして過ごすこともできず、そわそわしてしまって休むに休めません」とのことでした。

こういった要望があるとき「休憩時間を短くして、その分早く帰宅すればよいのではないか」と思われるかもしれませんが、休憩時間は労働基準法によって定められているのでそれは現実的ではありません。

そこで私は「会社だとリラックスしにくい理由」についてヒアリングしたところ、「スーツでいることが辛い」という答えが返ってきました。特に感覚過敏のある方だと、スーツのような窮屈なファッションだとリラックスしにくいというのは良くあることです。

結果として私は責任者に相談と交渉し、要配慮者は申請によりオフィスカジュアルでの出勤を許可するという新制度を作っていただくことに成功しました。その後、その当事者からも「かなりリラックスしやすくなった。昼休みの苦痛が軽減した」との言葉をいただくことができました。

障害者にとって働きやすい職場環境とは

障害者と言っても、その特性は十人十色です。画一的なやり方ではみんなが快適に活躍できる環境を作ることは難しいでしょう。理想的な環境は人によってちがうので、会社側がそれを予め準備しておくことは現実的ではありません。

何か不便があった時に、どこの誰に相談したら良いかを明確にし、そしてその悩みをさまざまな角度から吟味し前例に囚われず対応してゆくことが必要になります。

そのような風通しの良い職場環境を作ることは、障害者のみならず健常者にとっても働きやすさにつながるのではないでしょうか。障害当事者に限らず、会社の規定通りだと働きづらさを感じる時期はあるはずです。出産育児、介護、副業、リスキリングなどさまざまなライフスタイルがあるのですから、どんな職場だと働きやすいかはその時々で変わってくるはずです。

階段状のブロックに立つ4人の人物のイラスト。上の人が下の人を引き上げて助けている様子。

まとめ

今回は、ピアサポーターとして様々な方の悩みを聞いてきた実体験から、どんな職場環境だと働きやすいかについて自分なりに感じたことを書いてきました。

私は周囲の人達と自分、どちらにとっても生活しやすい環境にしたいと全員が思いやりを持って行動することが大切だと思っています。これは職場だけでなく、この社会においても理想的な形だと感じています。

小さな範囲であっても自分にできることを少しずつしていきたいと考えながらこの記事を書きました。読んでくださった誰かにも、サポートの輪が広がりますように。

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ABOUT ME
トゥレット症候群を持ち、一般企業の障害者雇用枠にて労働しております。トゥレット症候群のこと、発達障害のこと、精神疾患のことなどを多くの人に知って欲しくて自分にできることを探し中。精神保健福祉士、保育士、ファイナンシャルプランナーでもあります。