怒られるのが苦しかった…当事者が思う「抜毛時に親からしてほしかった対応」

明るい黄色の壁の前を歩く一人の女性。抜毛症の当事者が親にしてほしかった対応についての考えを表現しています。

我が子が髪を抜いていると、「なんで、そんなことするの!」や「また、抜いてるね!」と怒る親は多いように思う。だが、自力ではなかなかやめられないのが抜毛症の辛さだ。親には当事者の心理を汲んだ声かけをしてほしい。

抜毛後、母親に叱られるのが苦しかった

湖のほとりで夕暮れ時に座り込み、抱え込むようにしている女性。抜毛症の当事者が感じる苦しみと親にしてほしかった対応について考えています。

私は抜毛後、ゴミ箱に捨てた髪の束を見るたび、後悔と激しい自己嫌悪に襲われた。また、こんなにも抜いてしまった。ハゲてないだろうか…。そう思うのに、ストレスを感じると抜毛することでしか心のガス抜きができなかった。

髪の毛を抜いていることが母親にバレ、注意をされ始めるようになると、すごく苦しくなった。してはいけないことだと自分が一番分かっているのにやめられないから、「それはダメなこと」だと指摘され、怒られると、より心が沈んだ。

その一方、私の心には怒りもあった。私のストレスの根っこはリラックスできない家庭環境にあったため、「私を怒る前に自分たちの行動や夫婦関係を見直せよ」と親に対して苛立った。

けれど、その苦しさや苛立ちを誰かに相談することはできなかった。親に伝えたところで家庭環境が変わるとは思えなかったし、引かれるかもしれないと思い、友達に「髪を抜くことがやめられない」なんて相談できなかった。

だから、学生時代の私は親に見つかって怒られないよう、抜いた髪をベッドの下やソファーの後ろにこっそり捨てていた。掃除の時に見つかって、「こんなところに捨てたらあかん!」と母親に怒られることはあったけれど、発覚するまでに時間がかかるため、ゴミ箱に捨てる時よりも怒られる頻度が減った。

髪の毛を捨てる時は、見つからないようににしよう。そう思うようになった私はゴミ箱に捨てる時にも、ティッシュで2~3重に包んで髪を捨てるようになった。本当は一番身近な親に「辛いね」と、気持ちを理解してほしかった。

抜毛症は心が限界なSOSであることを理解してほしい

明るい黄色の壁の前を歩く一人の女性。抜毛症の当事者が親にしてほしかった対応についての考えを表現しています。

我が家のように、我が子が自分の髪を抜いていると「なぜ、そんなことを…」という戸惑いから、抜毛を叱ってしまう親は多いのではないだろうか。だが、やってはいけないことだとは本人が一番よく分かっているため、そうした指摘は逆効果になってしまうのではないかと私は思う。

現に私は親の反応を受け、抜毛をしてしまう自分は異常なのだと思うようになり、より心が苦しくなった。

抜毛は当事者が何らかの苦しみを抱えているサインであると思う。だから、親はそのSOSを受け取り、何がその子を苦しめているのか一緒に考え、当事者が楽になれる環境作りをしてほしい。

例えば、家庭環境の見直しだ。当事者の中には、私のように家庭が安心できる場所でないことから抜毛が始まるケースもある。だから親側にはまず、夫婦仲や今の家庭環境が我が子の健やかな成長に適したものなのかと客観的に振り返ってほしい。

また、私が取材した当事者の中には「女の子だから○○しなさい」や「お兄ちゃんだから○○しないと」など、性別や産まれた順番を理由にして、行動を親から制限されたことから不満や苛立ち、生きづらさを抱えて抜毛が始まったケースもあった。だから、その子らしい特徴を「問題」として注意しない親子関係を築いてほしいとも思う。

抜毛症は、当事者からはなかなか人にカミングアウトができない病気だ。だからこそ、周囲が気づけた時は治療のチャンスになる。親は、自分ひとりで子どもの抜毛症をどうにか治そうと頑張りすぎず、臨床心理士や公認心理師などの力を借りてほしい。

きっと、治療は時間や根気がいるものになるだろう、だが、我が子を叱らず、優しい目で気長に治療の経過を見守ってほしい。

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ABOUT ME
古川 諭香
猫の下僕のフリーライター。愛玩動物飼養管理士などの資格を活かしながら大手出版社が運営するウェブメディアにて猫に関する記事を執筆。共著作は『バズにゃん』。書籍レビューや生きづらさに関する記事も執筆しており、自身も生きづらさを感じてきたからこそ、知人と「合同会社Break Room」を設立。生きづらさを抱える人の支援を行っている。