今回は、職場での障害のカミングアウトについて、当事者側とカミングアウトされる側の2つの面からお話ししていこうと思います。発達障害を持っている人の中でも、クローズで働いている人はたくさんいます。しかし、もし働いていて困ることがあるな、と感じる場合や、いざ「カミングアウトされたときはどうすればいい?」と悩んでいる人はこちらの記事を参考にしていただけると嬉しいです。
発達障害をカミングアウトするときに気をつけたいこと
大前提として、カミングアウトは必ずしもしなければいけないことではありません。
私の場合は、特性上どうしてもサポートしてほしいことや事前に知っておいてほしいことがあるときのみカミングアウトするようにしています。
たとえば、食物アレルギーを持っている人が一緒に食事をする人やお店に対してアレルギーについて伝えるのは自然な流れですが、それ以外の状況で伝えるのは少し不自然な場合もありますよね。
これと同じことで、やみくもにカミングアウトするより、伝えるべき人にだけ伝えた方が、アウティング(本人の許可なく勝手に暴露してしまうこと)などのトラブルを防ぐことができるかもしれません。
まだまだ知名度の低い障害なので、
「差別や偏見を持たれたくない」
「人の目が気になる」
という人は無理にしなくても大丈夫です。
カミングアウトする場合は、必ず伝える相手が信用・信頼できる相手かどうかを見極めましょう。
次に、カミングアウトする前に
- 特性上サポートが必要なこと
- 知っていてほしいこと
この2点を書き出してみましょう。
自分の特性を書き出してみると考えやすいかもしれません。
「発達障害です」とだけ伝えてしまうと、伝えられた方はどうしたらいいのか困惑してしまうかもしれないので、必ず「どのような対応をしてほしいのか」を合わせて相談することがおすすめです。
そうすることで、相手も具体的なサポートがしやすくなるのではないでしょうか。
発達障害をカミングアウトされたら?
一方、カミングアウトされた側についてですが、まず第一に、絶対に本人の許可なく勝手に暴露(アウティング)するのはやめましょう。
この行為はアウティングと呼ばれ、主にLGBTQ+当事者に対して使われる言葉ですが、セクシュアリティも障害も、あなたなら信頼できると勇気を持ってカミングアウトしてくれたこと。相手の信頼を裏切るような行為はやめましょう。
また、発達障害は目に見える障害ではないですが、健常者(定型発達者)と同じ見た目だからといって相手の困りごとや障害を”ないこと”にする言葉も控えましょう。
ポジティブなニュアンスで伝えたつもりが、相手を傷つけてしまうケースもあります。
まずは、「伝えてくれてありがとう」などの気持ちを伝えてみるのもオススメです。
そのあと、相手の困りごとやサポートしてほしい内容について聞いてみたり、一緒に考えたりすることで、相手も安心しますし、お互いの関係もよりよいものになっていくのではないでしょうか。
発達障害を持っている人は、表面上では見えなくとも大きな支障を抱えている人がほとんどです。
見えないからこそ、カミングアウトをしても、なかなか理解されずに偏見をもたれたり中傷されてしまったりするリスクは非常に高いです。
そんな中、カミングアウトすることは大きな決意の一つだと私は思います。
いち当事者として、もしあなたが相手のことを理解したいという気持ちが少しでもあるのなら、「まずは発達障害について知っていこう」から始めてもらえれば嬉しいです。