統合失調症を持ちながら子を望むこと~1

マフラーを巻いた女性と男性が微笑んでいるイラスト。

私は統合失調症、てんかん、加えて甲状腺機能低下症という病気・障害を持ちながら日々生きています。障害に理解のある夫と出会い、そして結婚しました。やがてしばらくしてから、自然と子どもが欲しいと思うようになりました。

しかしながら、私のように、障害を持ちながら子を望むことに対して、しばしば否定的な意見を見かけます。

けれどもそのような否定的な意見に関して、自分なりに考える価値があるのではないかと思いました。今回は2回に分けてコラムをお届けします。是非お読みいただけますと幸いです。

結婚後、統合失調症の再発

私たち夫婦は、結婚後慣れない土地、東京にいたのもあり、しばらくは二人の時間を楽しんでいました。しかし、結婚後2年弱ほどで私は統合失調症を再発。医療保護入院で約1ヶ月を病院で過ごし、退院しました。最終的に私の地元へ引っ越すことになるのですが、その間のほとんどは陰性症状に悩まされることになります。

私がふんわりと子を望むようになったのは、この陰性症状に悩まされていた時期から始まります。その時期は、少し気力が回復しつつある状態でした。しかし、仕事をしたいのにできない状態、要は「自分の気力と体力のギャップのある状態」だったのです。

子を望むようになった理由

この時期に、何故だか、子を望むようになりました。それまでは、東京での生活が楽しくて「いずれは」と思ってはいたものの、乗り気ではありませんでした。これは夫も同じです。

子を望むこと、すなわち子孫を残そうとすることは、おそらく本能によるものとして。でも、なぜあの時期に子どもが欲しいと強く思ったのか、こればっかりは今でも分かりません。

しかし、入院した時に精神科の主治医から「妊娠は計画的に。精神科も産婦人科もある大きな病院で必ず診てもらってください」という言葉だけは忠実に守りました。それほど統合失調症の再発は、私にとって大きな出来事でした。

その言葉通り私は、地元に引っ越してから、大きな病院で検査や服薬調整をしてから妊活を始めようと決心します。

子を望む≠子ができる

そして、実際地元へ引っ越し、大学病院の精神科・産婦人科・甲状腺内科で診察が始まりました。精神科・内科では問題なく服薬調整ができ、問題が発覚したのは産婦人科でのこと。私たち夫婦の検査が一通り終わって分かったのが「不妊治療の必要がある」ことでした。

その時にようやく理解したことが、「子を望んだからといって、すぐにお腹に子が宿るわけではない」ことです。

そして、不妊治療を開始してすぐに、私の新たな気持ちにも気づきました。

我が子≠血の繋がりのある子

それは「血の繋がりのある子どもが絶対欲しいというわけではない」ということでした。本格的に不妊治療を開始してから、その気持ちは徐々に強くなりました。

つまり、絶対に自分の「子を生みたい」のではなく、特別養子縁組や、それが叶わぬなら里親として、夫と「子を育てたい(迎え入れたい)」その気持ちの方が強かったのです。

しかし、夫婦の気持ちが同一でなければ、特別養子縁組の話も前には進みません。例え万一、私一人がその方向へ舵を切って、特別養子縁組ができたとしましょう。私には、迎え入れた子ども幸せを考えた時に、その未来が明るいものになる自信がありませんでした。

しかも、当時私は不妊治療を開始したばかりで、凍結胚がまだある状態。そのため、夫との間で「凍結胚を全てお腹に戻し終わった後に特別養子縁組の話を進めよう」と決めました。すなわち、一区切りするまで不妊治療を継続することにしたのです。

※特別養子縁組:養子となる子どもの実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、実の子どもと同じ親子関係を結ぶ制度
※里親:育てられない親の代わりとなって一時的に家庭内で子どもを預かり養育する制度(里親と子どもに法的な親子関係はない)
※凍結胚:凍結した受精卵(胚)

否定的な意見が出る背景は

私のように、障害を持つ人が子を望むことに対して否定的な意見が出るその背景には「育てられるかわからないのに、子を望むべきではない」そのような考えがあるのだろうと思います。

それは一理ある反面、子どもは育てられるか分からない不確実な生命でもあると、私は思っています。きっと子どもは親の思い描いた通りには人生を歩まないし、そのように確実性があれば、誰しもが子を望みます。そこに、障害者と健常者の違いはないのではないでしょうか。

しかしながら、多種多様な意見があっても良いと思うのです。それこそ否定的な意見もあっても良いと思います。けれども、世の中にそのような意見があることを承知で、私は子を望みました。そこに嘘偽りはなく、それが私の望んだ未来だったのです。

次回は、不妊治療の継続を決心した後のお話を書きたいと思います。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献

吉田奈穂子(2015)『子どものいない夫婦のための里親ガイドー家庭を必要とする子どもの親になるー』 明石書店

吉田奈穂子(2015)『子どものいない夫婦のための養子縁組ガイドー制度の仕組みから真実告知までー』 明石書店

後藤絵里(2015)『産まなくても育てられます 不妊治療を超えて、特別養子縁組へ』講談社

高橋敬一(2017)『赤ちゃんを待つあなたへ 専門医が答える不妊治療Q&A』幻冬社メディアコンサルティング

浅田義政・河合蘭(2023)『不妊治療を考えたら読む本〈最新版〉科学でわかる「妊娠への近道」』講談社

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ABOUT ME
綿 まるみ
京都女子大学文学部卒業後に教員免許を取得し、教育保育関連を経てwebライターへ。小学生の頃よりてんかん、大学在学中に統合失調症、甲状腺機能低下症を発症。「普通に生きることが難しい」と感じた経験から、様々な病気と共存しつつも平凡に生きることを目標にしている。