発達障害だから会話に悩むの?それとも自分のせい?

発達障害によって会話に悩む女性のイラスト。周囲の反応に困惑している様子。

私は約8カ月前にADHDと自閉症スペクトラムの併発の発達障害だと診断を受けました。

しかし、いまだに「この困りごとって発達障害のせいなのか?それとも単純に自分自身の問題なのか?」と、困惑することばかり。

私にとって、他人との会話もその一つです。

元々、私は「完璧に話し上手!会話に問題なし」と思っていましたが、他人と話すのは好きではなく、疲れていました。

「私の会話は完璧なのに、話す人話す人、本当にみんな話が下手だな」と、表面的な会話でもテンポの悪い人が多すぎると本気で思っていました。

大きな病院で心理検査を受けて「自閉症スペクトラムです。会話が苦手特性ですね。」と伝えられたときも「いや、私は喋れてるが?」と思ってスルーしたくらいでした。

※この記事は、2022年12月に公開されたものを再編集しています。

会社をクビになったおかげで気づく会話のヤバさ

指をさされ、会話中に困惑して不安そうな女性のイラスト。対人コミュニケーションのストレスを表現。

しかし、そんな私も会社をクビになったときに「自分ってやばいのかな」と気づかされました。その会社で会話について指摘されたことは以下の通りです。(一部)

  • ストレートにものを言い過ぎ
  • ひやっとする失言が多い
  • 相手の細かな間違いをいちいち正しちゃう
  • 相手の会話を遮る
  • すぐ自分の話を早口でする
  • 口頭説明の際、文章として成立していない
  • 吃音でぐちゃぐちゃしてて何言ってるかわからん
  • 話が途中で横道にそれまくる
  • 社交辞令が通じない
  • 休憩中も冗談が冗談とわからない
  • 話している時、常に目が動いて挙動不審

もちろん「社会人として」という厳しい視点もあるでしょうし、上記の全ての項目を完璧にできる人もいないと思います。

しかし、私はこれを何度指摘されても、どの項目もちっとも良くならなかったのです。むしろ「それはしていないと思いますけど」と反論することもあって、嫌な顔をされたときもあるほどでした。

自分では注意されている内容は身に覚えがない上に、どう改善する必要があるのかピンと来なかったのです。

結局、「あなたは会話ができなさすぎる」とクビになりました。ここで「自閉症スペクトラムの傾向がある」と言われたことを思い出し、対策するためにメンタルクリニックを受診して相談したらADHDも発覚したというわけです。

自閉症スペクトラムに関しても、勉強すればするほど、「私は会話の症状が重いかもしれない」と思うようになってきました。

自分が発達障害だから会話ができないと仮定する

「発達障害の本」を読んで自己理解を深めようとする女性のイラスト。

もちろん、会社をクビになった原因は他にもあると思いますし、その会社では求められる会話のレベルが高かったのかもしれません。

クビ宣告された後しばらくして、「もう辞めるからって態度が悪いよ!」とブチギレられたとき「自分ではどうしようもできないな」と思いました。

辞めた後も会社の人と偶然会う可能性は高いので、険悪になるのだけは避けたいと思って、笑顔を心がけてすごく気を使っていたつもりでした。それにも関わらず、かなり怒らせてしまったのです。

そのため、「発達障害だからこそ私の会話の感覚は間違っている」と仮定して、自分の会話の何がダメかを分析してみました。

するとびっくり。驚くほどスルスルと自分の中で腑に落ち、問題点や対処法がしっかり見えてきました。

「私の考え方は発達障害の人特有のもので、あまり社会性がないかもしれない」
「他の人たちはこんな風に考えていたから、これまでズレがあったのか」
「思いやりや気遣いや見え方の観点から、必ずしも事実が正しいとは限らない」

そのような知識や概念を得るとコミュニケーションでうまくいかなかったことも、びっくりするくらい辻褄があったのです。会話が楽しくない背景や、やたらと疲れてしまう謎も解けてスッキリしました。

発達障害だからこそ、注意するようになったら

「発達障害だから会話はムリです!」とわざわざ口に出すことは相手を不快にさせるかもしれませんが、そう仮定して分析・勉強・注意することで、会話が少しだけマシになった気がします。

会話を学んで幾分かマシになるくらいなら、そこに障害は関係なくコミュニケーションの経験値の問題でもあると思います。

ただ、「自分の会話がおかしいのかもしれない」ということは「自分は発達障害者なんだ」としっかり受け入れている前提がないと気づけないものです。

今は変な間があったら「あ、私が変なこと言ったから相手が引いてるのかも!あ!やばい失言だったかも!」と思うことはできますが、以前なら「あらー!この人、会話のテンポ悪いな〜!」と本気で思っていたことでしょう。怖い。

そもそも、発達障害がなかったらここまでしょっちゅう不用意な発言をしないのでしょうが、私は楽しくなってくると失言や言わなくて良いことが口からポロ、どころかポンポン!と出て来てしまうのです。ここは特に障害の影響を強く感じています。

ちなみに、この「会話がマシになった」は、あくまでも自分の中でのこと。当社比です。

結局、よくわからん

会話に対する悩みや不安を抱える女性のイラスト。発達障害との関連が示唆される表情。

他の人達と会話をしていて、特に「わからん」と感じることが多いのは暗黙の了解や相手の気持ちについてです。

たとえば、「間違いを指摘することで角が立つ」とかは「間違いは早く直した方がいいじゃない!」と思ってしまうのです。私なんか特に不注意でミスも多いのでドンドン言ってくれた方が助かります。

「ミスを指摘したら、間違えた人になっちゃうでしょ」と聞いたことがありますが、「今指摘すれば、ミスが無くなった人になれるじゃない!」と思ってしまうのです。

そして、目上の人に「確認してください」ではなくて、「ご確認いただけますでしょうか?」というニュアンスで言うのも、よくわからん。

いや、より丁寧な言い方にしようとしている気遣いはわかるけれど、どちらも「お願いします」という気持ちは同じだと思うのです。むしろ、確認しなきゃいけないことなのに、なぜ聞くのだろうか、と謎です。

最近は理解ができなくても「より柔らかな表現を使おう」という目標を立てているので、敬語をしっかり使っていくことを意識しています。

「柔らかい表現に長けて丁寧な言葉使いの方って本当に気持ち良いですし素敵だな」と思え始めたので、社会性が身についてきたというよりは、自分の好みと社会性が偶然一致した、くらいの感覚ですが。(そんな風に言うな!)

なんだか私ってめんどくさいですね。小さい頃、歯医者で「磨き残しがないか確認する薬をつけてもいいですか?」と言われて、私は薬が不味くて嫌いだったから「いやです」と言ったことも思い出しました。

結局、薬はべちょべちょ塗られて「拒否権ないのに、嫌かどうか聞くとか、質問する意味がないじゃん」とドン引きしていました。

そんな考えのまま成長してしまっているので、「そりゃ苦労するだろうな」と自分でも思います。

だから、とにかく気をつけて会話します。多分、今の私の会話に対する周りからの評価は仕事でもプライベートでも「なんかあの人、気使ってるのはわかるけどズレてるよね。」と、ちょっと残念な感じだと思います。

でも、悪意がないことが伝えられているならよし。今の私の精一杯はこれ。そうじゃないならまた反省しよう、という気持ちです。

表面的な会話は楽しくない、虚無と感じてしまうのも事実

勉強後に自信を持って会話をする女性のイラスト。コミュニケーション能力の向上を示す。

これだけ「自分の会話の感覚はズレているんだ」という自覚がある今でも、私は表面的な会話が大嫌いです。世間話は本当に楽しくない。

天気の話ってなんやねん。「晴れてるね」って、今日初めて地球に来られたんですか?

大学生のときも授業の後のお茶で、みんな「学校だるーい」「課題うまくできなーい」でだべるのがしんどくてストレスでした。

私はディベートとかお互いの考えをぶつけ合うのが好きなのです。揉めるわけではないけど、あーだこーだと自分の考えを言う、相手の考えを聞くのが好きです。言い負かしたいとかはなく(むしろすぐ言いくるめられる)、普通の雑談で「お互い良いものを作りましょうね!」みたいなテンションで意見交換をしたがります。

もし、私が定型発達だったとしても、表面上は綺麗に世間話をしながら、心の中で「面白くないなあ!」と思っているんだろうなあと想像しています。

私は発達障害でストレートな言い方をし過ぎる傾向にあるので、これからも会話をするときに相手を傷つけないように気をつける必要があると思っています。けれど、気を使わないで会話ができる場所がどんどん増えていけば良いなとも思っています。

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ABOUT ME
身体性表現障害で8年の無職ひきこもりから、推し活のおかげで社会復帰に成功。しかし会社に就職するもクビになり、直後にADHDとASDスペクトラムが発覚した。現在は自身の発達障害に向き合いながら、推し活の素晴らしさを様々な角度から発信している。