出会いの季節、コミュニケーション下手で全盲の私が心がけていること

2匹の白い蝶と小さな黄色い花のイメージ

学校で、職場で、多くの出会いが生まれる春。コミュニケーション下手で全盲の私にとっては正直嫌な季節です。

これから楽しくなるかも。でもうまくやっていけるだろうか。ユラユラ、ソワソワ、心が忙しくなるから困ったものです。

そんな私ですが、せっかく出会えた人とは仲良くなりたい。ということで、そのために心がけていることを3つ紹介します。

出会ったばかりの相手と接するときに心がけていること

1:相手のことをじっくり見て、深く知る

全盲の私には、顔を見ることはできません。言語化されていない気持ちを表情やしぐさから読み取ることもできません。

それでも、というよりだからこそ、視覚以外の感覚や想像力を駆使して相手のことをじっくり見る、そして表面的にではなく深いところまで知る、ということを大切にしています。

声、話し方、口癖、足音、におい。さまざまな要素に触れて、そこに表れている人柄などを感じ取り、コミュニケーションに活かします。

特に注目するのは声や話し方。そのトーンやテンポやボリュームなどから、「この人は今緊張しているのかな」とか、「この人はさっぱりした性格かもしれないな」とか、あれこれ思いを巡らせています。

2:なるべく早く声を覚える 

声に注目するのは、「今誰が話しているのか、名前を聞かなくてもわかるようにするため」でもあります。私にとって、これは切実な課題です。

初対面の相手が複数いる場合、みんな同じような声に聞こえて誰が誰だかわからなくなることがあるんです。油断すると、AさんをBさんだと思い込んで言葉を交わしてしまうこともあるから注意が必要なんですよね。

声を聞いただけですぐに「あ、○○さん」と言えるのが理想的なのですが、そうなるまでが大変。「私がお声を覚えるまでの間、話しかけてくださるときにはまず名前を教えていただきたい」とお願いしておかないと心配、というのが正直なところです。

ではどのようにして声を覚えるのか。その第1歩は、相手に興味を持つことだと私は考えています。興味を持てば、声の特徴に気づきやすくなる気がするんです。

「軽く鼻にかかってるな」とか、「タレントの○○さんに似てるな」とか、「すっきりとした響きで、サイダーを連想させるような声だな」とか、自分なりに特徴をとらえて頭にメモする。そんなことを何度か繰り返せば、「これは○○さんの声」と記憶にばっちり刻み込まれます。

ピンクと黄色のチューリップで埋め尽くされたイメージ

3:相手の言葉に耳を傾ける

コミュニケーションを取る上で、私は話すこと以上に聞くことを重視しています。

聞くというのは単純なようですが、結構エネルギーの要る作業。ついつい余計なことを言いたくなってしまうんですよね。

相手の話を遮って、「実は私も……」と自分の話に持っていったり、「でも……」と否定的な意見ばかり挟んだり。求められてもいないのにアドバイスまでしようとしたり。これって相手にとってはかなり不快です。

そうならないように、とにかく相手の言葉を受け止めることに集中します。話しやすい環境を作るんです。

また相手にばかり喋ってもらうのではなく、適切なタイミングで自分のことをオープンにするのも重要。このとき相手にとって話しやすい環境ができていれば、自分自身も話しやすくなる気がします。

青空の背景に黄色い花があるイメージ

難しいけどつながるって素敵

コミュニケーションって、本当に難しいですよね。傷ついたり、傷つけたり、かみ合わなかったり。うまくいかないことの連続です。

相手を理解できているつもりでも、もしかしたらそれは勘違いかもしれない。一生懸命伝えているつもりでも、自分の思いは全く伝わっていないかもしれない。

こんなコラムを書いている私も、そういうことに悩んで疲れて、「もう人と関わりたくなんかないな」などとよくため息をついています。

でも悩みばかりではなく、喜びや温かさだってたくさん得られます。私もそういうときには、「やっぱり人とつながるって素敵だな」と心から感じられるんです。

皆さんにとってこの春の出会いが、そんな素晴らしいものになりますように。

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ABOUT ME
山田 菜深子
1987年生まれ。先天性全盲。「必死に頑張らない」がモットーであるが野望は大きく、世界を変えたい思いでライター活動を行っている。Amazon Kindleにてエッセイ集『『全力でゆるく生きる~全盲女子のまったりDays~』』を配信中。またブログやYouTubeで全盲当事者のリアルな日常を発信中。