パニック障害を抱える私の不安はどこから来ているのか

海辺の柵にもたれて海を見つめる白いシャツの女性の後ろ姿

パニック障害が頻発していたころ、私は色々なことに対して「不安だからできない」と思っていました。

強い不安を感じると、ソワソワと落ち着かなくなって目の前のことに集中できなくなり、また、警戒心が強くなって、緊張状態が続き、ありとあらゆる刺激に反応しやすくなります。

将来について考えるときもネガティブな想像ばかりしてしまい、気になることがあっても一歩を踏み出すのが怖くなります。私はこんな風に不安になって動けなくなってしまうことがよくありました。

今回は、パニック障害を抱える私の不安との向き合い方についてです。

※この記事は、2024年1月に公開されたものを再編集しています。

分厚い雲に覆われた空と街の風景の写真

ある日突然襲われた「どうしよう…」と思考停止

私は約6年半前から、副業でwebライターの仕事を始めました。Webライターと言っても、未経験から始めたばかりの私が一人でできる仕事はほとんどなく、最初の頃は研修講師として働く上司のアシスタントのような仕事もさせてもらっていました。

そんなある日、上司から「営業先のリストをもとにメールを送ってほしい」と頼まれました。営業の仕事のように厳しいノルマが課されているわけでもなく、わからないことがあれば質問できる環境でした。

ただ、その仕事の説明を聞いていた私は、段々と体温が冷たくなっていくような感覚を味わっていました。

「どうしよう、どうしよう…」という言葉だけが頭の中をぐるぐる回る状態になってしまい、それ以外は何も考えられず、思考停止状態になってしまいました。

別の作業をしていても、「どうしよう」の波は収まる気配がありません。自分では対処しきれないと感じた私は、その日のうちに上司に相談をしました。

「先ほどのお話があってから、ずっと頭の中でどうしよう、どうしようと思い続けて止まらないのですが、別の仕事に変えてもらうわけにはいかないでしょうか」

上司はアッサリと「なるほど、そんな状態なら止めよう。さっきの話は忘れてくれていいよ」と調整してくれました。

その答えを聞いて、私は少し落ち着きました。上司は責めるような口調ではなく、ポンと質問を投げかけてきました。

「それは何が原因なの?障害特性なのか、経験がないからわからないのか、過去のトラウマで嫌なのか、性格的に向いていないのか、どれだと思う?」

私はその質問に答えられず、詰まってしまいました。わかりません、とだけ返しました。

「もし、それが障害特性で今後もできるようにならなさそうなら、やらない方がいいと思う。ただ、経験がないからだとしたら、やってみた方がいい。どれに当てはまるかで対策は変わってくるんじゃない?」

レザーフロアの上に置かれた赤いモダンデザインの椅子の写真

「不安」への向き合い方

この問いに答えられないまま、5年近くが経ちました。最初の頃は何度か思い出しては考えていたのですが、段々とその頻度も下がってきました。

最近、久しぶりに「あれは、何が原因だったんだろうか」と考えました。

障害特性、これまでの経験、性格の向き不向きは、「自分がどのくらいできるか」につながります。一方、仕事の難易度はハードルの高さのようなものです。私は自分の力不足、もしくはハードルが高すぎると感じて断ったわけではないと思います。

心の中を占めていたのは「うまくいく可能性が低いからやりたくない」などの論理的な考えではなく、もっと主観的かつ感覚的な「無理!」でした。「無理!」の中身は強い不安感でしたが、その不安がどこから来ているのかは、自分でもわかりませんでした。

しかし、少しずつ「不安を感じるかどうか」と「実際にやってみるかどうか」を分けて考えられるようになってきました。

今は「実際にやってみるかどうか」で迷ったときは、自分の進んでいく方向性と合っているかで決めるようになってきました。その道を通る上で必要なことなら行動に移します。

もしかしたら、少しずつ健康になってきたおかげで、判断基準が変わったのかもしれませんが、私の中では順番が逆です。行動指針を決めたら、結果的に不安に左右されることが減ってきたのだと感じています。

きっと、どんな選択をしても多少の不安はついてきます。自分の信じた方へ進んでいくときに生まれる不安なら、あってもいいのではないでしょうか。

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ABOUT ME
1988年生まれ。「何事も一生懸命」なADHD当事者ライター。 就職後1年でパニック障害を発症し、退職。27歳のときに「大人の発達障害」当事者であることが判明。以降、自分とうまく付き合うコツをつかんでいる。プラスハンディキャップなど各種メディアへ寄稿中。