私がヘルパーさんに求めること
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2022.2.1
初めてガイドヘルパーさんに移動のサポートを頼んでから、10年近くが経ちました。脳性まひで手足に障がいがある私ですが、一人でできることは時間がかかっても、自分でやりたいと思っています。今回は、ガイドヘルパーさんに求めることについてまとめてみました。
執筆:榎本 佑紀 Yuki Enomoto
はじめに
脳性まひで手足に障がいのある私は、フリーペーパーの取材時や長時間のイベントに参加する際に、ガイドヘルパーさんの移動支援を利用しています。10年近く移動支援をしてもらっている中で、様々なヘルパーさんに会いました。
今回の記事では、これまでのガイドヘルパーさんとの関わりを振り返りながら、私がヘルパーさんに求めていることをまとめます。
私がガイドヘルパーさんに移動サポートをお願いするようになったきっかけ
そもそも「ガイドヘルパー」とは、どのような存在なのでしょうか?
ガイドヘルパーは、移動介護従事者の通称’(外出介護員と呼ばれることもあります)で、障害のある方の外出介助をする職種です。日常生活に密接な「移動」を手助けする重要な役割を担っています。移動をサポートすることで、利用者が「やりたい」と思ったことを実現するお手伝いをしています。
▼下記リンクを参考にまとめました。
初めてガイドヘルパーさんに移動支援をお願いしたのは、就職活動を始めた大学3年生のときでした。企業の面接や、合同説明会について来てもらいました。
最初は、就職活動のためでしたが、徐々に買い物やイベントなどの余暇活動の際にもヘルパーさんに頼むようになりました。
特に印象に残っているのは、OLをしながらヘルパーの仕事もしている方と買い物に行った時のことです。会社に着ていけるオフィスカジュアルの洋服を教えてもらいながら買い物ができたのはとても自分のためになりました。
ヘルパーさんも人それぞれ
10年近く移動支援を利用していて、様々なヘルパーさんに出会いました。
以前のコラムでもお伝えしたことがありますが、定年退職するまで障がい者と関わったことのないヘルパーさんもいました。その方は私がお仕事や恋愛の話をすると「障がい者でもそんなことできるんだ」と大変驚かれた様子でした。
私は「ヘルパーさんは障がいのことについてある程度、知っているはずだろう」と思っていたので、ここまで驚かれるとは予想外でした。「ヘルパーの仕事をする方には、障がい者も健常者と同じ人だと知っておいて欲しい」と思いました。
また、先日、初対面のヘルパーさんに「どこの作業所に通っているの?」と聞かれることもありました。障がい者の働き方にも、作業所と呼ばれるところに通っている人もいれば、一般企業の障がい者雇用で働く人、私のように、在宅ワークをしている人もいます。障がい者だから、とひとくくりにしないで欲しいのです。
ヘルパーさんにお願いしたいこと
私は「ヘルパーさんには、自分のできないことだけをお願いしたい」と思っています。私の周りのヘルパーさんの中には「時間はかかるけれど、一人でできること」を先回りしてやってくださる方もいらっしゃいます。
例えば、電動車いすを使用して外出する際に公共交通機関に先回りして連絡をしてくださる方もいます。ありがたいのですが、本来ならば車いすを利用している本人が公共交通機関に連絡するべきだと思っています。
(そもそも論として「車いすを利用していても事前連絡なしに、公共交通機関が利用できる」というのが理想ではありますが…)
ヘルパーさんが「利用者のために、良かれ」と思ってやられている行動の中にも、利用者側からしたら「ありがとうございます。でも、そこまでしてくれなくても大丈夫です。」と言いたくなってしまうときもあります。
できれば、ヘルパーさんたちには自身で判断して行動するのではなく、利用者さんに「何をして欲しいのか」を事前に確認して欲しいと思います。私も自分から言うように気を付けますが、ヘルパーさんがどう動くのかは予想できないときもあります。確認をしないまま行動すると、利用者さんとのトラブルにもなりかねません。
まとめ
今回は私がヘルパーさんにお願いしたいことについてまとめました。私はなるべく一人でできることは自分でやりたいと思っています。
ヘルパーさん側からすれば「私がやった方が早いのに」と思うことも多々あると思います。しかし、障がいがあっても自分でできることは、時間がかかっても自分でやりたいと思っている利用者も多いと思います。
ヘルパーさんにはもどかしいかもしれませんが、利用者さんが何か一人で物事に取り組んでいるときには、見守って欲しいです。
もちろん、障がい者と呼ばれる人たちにも色々な人がいるので、私と同じように感じている人ばかりではないかもしれません。何をして欲しいかは口にしないと本人しか分からないので、自分で伝えていく必要があります。
最後になりましたが、ヘルパーさんと良い関係性を築くにはどうしたらいいのだろうと、自分でも考えてみました。利用者とヘルパーさんでも、人と人との関係性です。気遣いはヘルパーさんだけでなく、私も心掛けたいことです。私もヘルパーさんにできること何かを聞いてみて、やっていきたいです。
Text by
Yuki Enomoto
榎本 佑紀
Co-Co Life☆女子部所属。出生時のトラブルにより脳性まひとなり、不随意運動や構音障害の障がい特性を持つ。就労継続支援事業A型でWEBライターを経験し、現在はNPO法人での事務をしながらライターとして誌面の制作も行っている。ライター歴は5年目。趣味は音楽鑑賞/読書/食べること