身体性表現障害ってどんな病気?身体の不調はたしかにあるのに検査には出なくて誤解をされやすい。今回は、8年間身体性表現障害でニート状態だった私が、症状や治療法についてお伝えします。
はじめに
こんにちは、ゆめみがちです。
私はゆめみがちというペンネームで活動している29歳の、ADHDと自閉症スペクトラムを持つものです。普段は推し活についての情報を発信するライターをしています。
発達障害の診断を受けたばかりで、今までは身体性表現障害(メンタルの不調が身体症状として表れるもの)により8年間ニート状態で過ごしていました。
今回はその身体性表現障害についてお伝えしていきたいと思います。
身体表現性障害とは?
身体表現性障害とは、自覚症状に見合うだけの身体的異常や検査結果がないにもかかわらず、痛みや吐き気、しびれなど身体的症状が表れることを指します。
端的にいうと、めっちゃ身体が痛い、お腹いたい、吐いている、だけど、診察でも検査でも異常無し。「身体は健康体なのに不調が現れている」ってことです。
もちろん、検査ではわからないだけで何か大きな病気が隠されているということもあるでしょうが、そういった明確な原因がある場合は身体性表現障害とは呼びません。
だいたいの場合は「心因性」で、心の不調が健康な身体に症状となって出ていると言われています。なんだか仮病のような印象も持たれるかもしれませんが、本当に自分ではコントロールできない痛みや不調です。
私が身体性表現障害と診断されるまで
私は大学2年生のときに身体のひどい痛みに悩まされて不登校になりました。
首が痛すぎて回らない、腰が痛くて座ってられない、外に出られない状態でした。病院に行くと線維筋痛症と診断されました。
そこから数年間は線維筋痛症の治療に勤しんだのですが全くよくなりませんでした。身体の痛みに加えて、25歳頃からほぼ毎月、重度の胃腸炎を繰り返すようにもなりました。
整形外科、脳外科、胃腸内科、精神科…さまざまな検査をしてみるものの異常はなし。
その検査の中で、「線維筋痛症と診断されていたようだが、飛び上がるような皮膚の上の痛みではないので違うと思う。身体表現性障害では」とゆるりと診断名が変更されました。
「線維筋痛症」から「身体性表現障害」に診断名が変わっても、どちらも難病指定をされておらず、薬も対処療法しかないので大きくは変わりませんでした。
私の主な症状
私の身体表現性障害の主な症状は、首や腰の痛み、頭痛、痺れ、胃腸炎、腹痛、嘔吐、下痢でした。
特に首の痛みがひどく、7年くらいは動かしたり、左右を向いたりすることが一切できず、腰も痛すぎて15分以上は椅子に座っていられませんでした。頭痛もひどく、あまりの痛さに嘔吐を繰り返し、「脳内出血か?」と思いましたし、過呼吸も起こすほどでした。
そして1番きつかったのが胃腸炎。お腹も痛いし嘔吐と下痢で何度もトイレに行き1週間くらい眠れない、の状態がひどいときでは半月以上ありました。吐きすぎて胃液が出ることもあって本当に辛かったです。それが何日も続くのは本当に地獄でした。
身体性表現障害の時はどんな風に過ごしていた?
寝転んでいても辛いのでとにかく眠るしかなく、また痛みを忘れるために動画をずっと見ることしかできなかったです。
調子の良い日もあったのですが、それでも1日2時間程度しか活動できず、ちょっと作業してあとはのんびりダラダラしている、という感じです。
今になってみると「調子の良い日はもうちょい頑張れたやろ」とも思いますが、そもそも毎日痛みと戦っていたので体力も気力もなく、たまに訪れる体調が緩やかな日にはゆっくりしたかったのです。
こんなペースだったので趣味の動画編集や創作はできたのですが、バイトどころか在宅ワークや内職もできませんでした。
特に辛かったこと
冒頭でも匂わせましたが、とにかく厄介な患者&仮病扱いされることが多いです。
病院でも正直かなりアウェイでした。
検査では異常なしと出ているのに「しんどい」って言うんですから、医者からしたら「なんやこいつ」という感じだと思います。
とにかく「心因性」の一点張りで「悩みごとを解決してね」としか言ってもらえません。
また「身体に異常はないのに自分が未知の病だと思っているのであれば、精神病棟に入ってもらった方がいいかもしれない。」と言われたこともあります。
私はそんなことを言ってないし、思ってもいないのになんでそんな話になってしまうのかと笑ってしまうレベル。「わざとしんどそうな態度をとるのがその証拠」と言われました。しんどそうな態度じゃなくて気持ち悪くて痛くてしんどいねん!
ただ検査に異常がないだけで実際に嘔吐もしているということと、ひどい疼痛があることは検査によって証明されていたので、精神病棟に行くことはなかったですが、とにかく勘違いされるのが嫌でした。
今から思うと発達障害の二次障害だったかも?
そんな厳しい原因不明の身体表現性障害。心因性で仮病扱いされる割にはめちゃくちゃきつい症状だったのですが、今は「発達障害の二次障害だったのでは?」と個人的に思います。
そもそも、身体の痛みや不調を発症した大学生時代、私はコミュニケーションのことで悩んでいました。
苦手な実技やグループワークばかりの授業で人間関係に疲れていた上に「なんでこんなに才能がないんだ」と自分をかなり追い詰めて、何日もご飯を食べないこともありました。
それは発達障害でもなんでも身体壊すわい…。ただ下宿先もすっかりゴミ屋敷になっていてご飯を作れなかったんです。ADHDあるあるかもしれません。
発達障害という知識を得て分析すると、「コミュニケーションについていけず周囲とのわだかまりを感じ、自己否定を反芻し、脳内の多動により考えすぎ、現実も何もかもうまくいかなくなる」でメンタルが崩壊したのかもしれません。
身体性表現障害の治療について
身体性表現障害の治療法は、とにかく対処療法です。痛かったら痛み止めや胃薬、点滴、マッサージ、吐いたら吐き気どめを飲みます。そしてベッドの上でじっとする。
病院では「心因性」「心の持ちよう」と言われる割には、ちゃんと精神科で調べたり、診たりしてもらえなかった印象です。
「あなたはおしゃべりだからうつ病ではない、精神は病んでいない」と言われる一方で、「心の持ちようで病気になっている、」とも言われました。自分にとって訳のわからない状態でした。
専門家も私が発達障害だということを踏まえていなかったので、すれ違いがあったりしてうまくいかなかったのかもしれないです。
どうやって治ったのか、痛みを和らげるには?
私はどうやって治してきたのか。長年の対処療法で培ってきた「痛み」への対処法を活用して、じわじわ治していくしかありませんでした。
身体的なケアとしては、座るときに痛くならないようにクッションを必ず持っていく、体が固まらないようにしょっちゅうストレッチをする、またメグリズムやお灸、置き鍼など、健康グッズを片っ端から試しました。
また、身体だけでなく、メンタルのケアも大切です。
カウンセリングも効果的ですが、私の場合は発達障害の診断を受けていなかったせいか、うまくいきませんでした。やはり荒治療として「推し」を見つけて応援することが効くのかなと思います(笑)。
推しに限らず、痛みに勝つくらい夢中になれる何かを見つけることが大事なのではないかと思います。それこそ「有名人になりたい!」「アパレルショップで働きたい!」「公認会計士になりたい!」みたいに、なんでもいいから自分を高める夢をもつことです。私にとっては推しの存在でした。
今後は
ちなみに身体性表現障害の症状が収まったあとは、一年ほど会社で働くことができたのですが、発達障害が発覚しクビになり、現在に至っています。人生ってうまくいきませんなあ。
ただ、発達障害ということがわかって「自分は普通の人より悩みすぎる」「社会に擦り合わせようとすることが精神的にかなり参る」ということもわかり、メンタルが原因の体調不良をかなり避けられるようになったと思います。
いきなり相手からブチギレられる理由はずっとわからないので、諦めも必要なのかもしれません。その分、言葉は丁寧に話すとか、相手へのリスペクトは忘れず、自分なりのコミュニケーションを確立していくしかありません。相変わらず生きづらい世の中。
でも、私は今、挑戦したい仕事も楽しみたい趣味もたくさんあって、とにかく前向き。「好きなことを楽しんで生きていくために努力してやんよ」という感じでしょうか。
もちろん大変なことはたくさんあります。悩みすぎちゃうとまた身体表現性障害に苦しむかもしれないから、気をつけようという心構えを持って頑張ります。
「こうなったら身体性表現障害!」という明確なラインはないですが、とにかく身体の不調というものには早めに向き合って対処していきたいです。