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身体障害者の私が障害者雇用の転職活動をしてみて感じたこと。

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2023.3.23

私は脳梗塞の影響から左半身に運動麻痺が出て、中途で身体障害者になったということはこれまでも書いてきました。今回はそんな障害者雇用で転職活動をしてみたことでの気づきについて書きたいと思います。

執筆:市川 潤一

私は脳梗塞の影響から左半身に運動麻痺が出て、中途で身体障害者になったということはこれまでも書いてきました。

前回はそんな私が半身麻痺の身体でも行える仕事を探し、障害者雇用の在宅ワーカーになるまでを書きました。

今回はそんな障害者雇用で転職活動をしてみたことでの気づきについて書きたいと思います。


私は生まれ故郷とは全く別の土地で身体障害者になってしまいました。仕事を失い、病院から「実家に戻った方がいいんじゃないですか」と勧められ、無職の状態で実家に帰ってきました。

身体障害者手帳の発行手続きを入院中に進めていたので、障害年金は受給できるようになりましたが、それだけで生活をしていくことは難しいです。やはり、仕事を見つけなくてはなりません。

元々ライターや編集者などをしていたこともあって、「ネットのクラウドソーシングサイトなどを使えば何かしら個人で受けられる仕事はすぐに見つけられるだろう」とタカをくくっていたところもありましたが、現実はそんなに甘くはありませんでした。

私はそれまでの転職活動も、ライターや編集者という、ある意味では特殊な技術職だったこともあり、一緒に仕事をした人に誘われてその人の仕事を手伝ったりする形で転職をしてきたのです。

自分のことを知らない人のところで転職活動や就職活動をするのは、最初に地元で入った会社以来と言っても過言ではありませんでした。

さらに、身体障害者になってからの転職活動は初めてです。「簡単にいかないだろう」という不安も大きく、そのことに毎日頭を悩ませていました。

「毎日家にいるだけでは不安で押しつぶされてしまう」と思い、歩いて行ける近所の就労継続支援B型の事業所に通っていました。その事業所では事業所内での仕事だけではなく、利用者の就職活動の支援も行っており、障害者雇用の就職説明会やハローワークなどに連れて行ってもらえる機会があったので、私は毎回参加していました。

何度か参加して「障害者雇用の就職説明会と言っても、ほぼ一般の就職説明会と変わらないのだな」と感じました。

半身麻痺のある私は、出勤がネックになることが多かったです。他にも、社内がバリアフリーに対応していない、両手でキーボードが打てないと作業してもらうのが難しい、運転もしてもらわないといけないので、うちでは採用できないなどとお断りされることがほとんどでした。

ハローワークでの転職活動も同様で、障害者雇用求人もあるにはあるのですが、こちらの状態を見て、「あなたに紹介できる求人はないかもしれない」ということを言われることもままありました。

また、「出勤ができないと厳しいのであれば、在宅でできる障害者雇用の仕事はありますか」と尋ねたところ、こっちが出勤をしたくないとわがままを言っているように受け取られたこともありました。

そして、「どうしても障害者雇用がいいのであれば」と、JRで1時間以上かかるような場所にある企業を紹介されたこともあります。私には投げやりな対応としか思えませんでした。


こういうことを言うといろいろ批判されることもありますが、企業側はある程度、障害者を受け入れる体制を整えてから、障害者雇用の説明会を開催したり参加したりして欲しい、と感じています。

求職者側である障害者は仕事を手に入れるために必死です。正直「本当に障害者を雇用する気があるのだろうか?もしかして、体裁を保つために形だけ参加しているのでは?」と疑問を抱いてしまうような企業も少なくなかったのです。

「もう説明会を利用するのは止めて、なんとか自力で見つけよう」としていたときに、情報収集を兼ねてネットで検索してみると、いくつかサービスが出てきました。

私が利用したサービスは、今では名前が少し変わっているようですが、障害者手帳を所持していることが前提で、自身の障害を開示し、自分と合った企業をマッチングしてくれるものでした。


私が障害者雇用枠の転職活動をしてみて感じたのは、「企業も求職者も障害者雇用に慣れていない部分が多いのでは?」ということでした。

企業側と求職者、双方の意思疎通もそうですが、ハローワークや人材紹介会社を経由して応募をする場合、正直、転職エージェントの仕事ぶり(優秀さ?)によって左右される部分が大きいのです。

「転職エージェントの力量次第という属人的な部分が変わらなければ、障害者雇用の世界はなかなか成長していかないのではないか」という考えを持ちました。

ハローワークや転職エージェントなどを利用しなくても転職活動をできる選択肢があると嬉しいです。

障害者の自立という視点で考えたとき、個人のスキルを上げる職業訓練を行い、そこで得たスキルを自分で企業に直接アピールして転職活動をするというのも、ひとつの手段なのではないかと思いました。

1975年生まれ。長崎県佐世保市出身・在住。愛媛県でライター・編集者・カメラマンなどとして活動していたときに脳梗塞になり、左半身麻痺の身体障害者となる。取材活動ができなくなり、ライターを廃業。障害者雇用の在宅ワーカーとなり現在に至る。障害者の仕事の仕方や見つけ方など自分の経験を紹介していきたいと思います。

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