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「フリーランス」という選択が障害者の働き方を変えるかも?

誰もが“自分らしく”働ける世の中に!

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2023.6.23

コロナ禍によって注目を浴びるようになったのが、フリーランスという働き方。会社員とは違い、自分でスケジュール管理をしたり、自宅でできたりするのがフリーランスの良さ。この働き方は今後、障害者にとってより心強いものになってくれそうだが、その反面、まだまだ課題も多い。

執筆:古川 諭香 Yuka Furukawa

障害者雇用よりも働きやすい「フリーランス」という働き方

突出したスキルがない限り、責任のある仕事はなかなか任せてもらえず、できる仕事をこなすことを低賃金で求められるのが、今の障害者雇用の現状。会社の歯車にもなれていないような気持ちになり、劣等感が募っていく経験を私自身、会社員時代にしたことがある。

私がフリーランスという働き方を見つけたのは、8年前のこと。知らなかった働き方に、すごく心が躍った。自分は武器となるものを持っているのか不安だったが、ちゃんと社会に貢献でき、自立もできる人間になれるのではないかと思えて、暗かった心に光が灯った。

あれから時は経ち、コロナ禍によってフリーランスという働き方はより注目されるようになった。近頃では自身の病気を積極的に発信するYouTuberやライター、イラストレーターも増えてきていて、喜ばしい。自宅で仕事ができるフリーランスという働き方は、障害者の働き方を変える可能性を秘めていると思う。

なぜなら、これまで、できる仕事しか任せてもらえなかった障害者が、自分のやりたいことでお金を稼ぐことができる可能性があるからだ。

それに、会社へ行くことが困難な状態であっても働くことができるし、自身でスケジュール管理をして通院日に備えることもできる。

フリーランスは、どうしても体を気遣わなければならない私たち障害者にとってありがたい、新しい働き方だと言える。

だが、その反面、まだまだ課題も多い。例えば、私自身、フリーランスだと他人に言うと「自由でいいね」とよく言われるが、世間の人が思っているほどフリーランスは自由ではない。

私は体調を崩しやすいため、1週間程度、余裕をもって記事を仕上げ、納品するようにしているのだが、自身でスケジュール調節できない突発の仕事も月に何度かいただくため、結局、決めたスケジュールは乱れ、仕事に追われる。周囲が思っているほど、自由時間がないのがフリーランスの現状なのだ。

そして、明確な基準がないため、自分のスキルをいくらで売るか迷う。自分に自信が持てないと、ついスキルを安売りしてしまい、結局自分で自分の首を絞めてしまうのも初心者フリーランスあるあるだ。

私自身もライターとして実績を積んでいく中で、自分のスキルをいくらで売ればいいのか何度も悩み、実は今も頭を抱えることがある。だからこそ、経験年数やスキルに応じて、支払い報酬の基準となるようなガイドラインを定めてくれたら…と思うのだ。

また、フリーランスは収入が不安定で社会的保障がないため、立場が弱い。傷病手当がないため、体調を気遣ってフリーランスになったのに、フリーランスは体が資本という矛盾した状態になってしまうことも少なくない。

さらに、住宅ローンの申請が通りにくく、老後の年金も会社員と比べると手薄になるなど、諸々の制度が、まだフリーランスには優しくない。この働き方があることに救われる人は多いからこそ、体を壊さないよう、体を壊しても安心して休めるように制度が設けられていくことを願う。

自身の持病を伝えたり、スキルを活かしたりする障害者のフリーランスが増えていけば、きっと健常者との間にある高い垣根も、次第に低くなっていくはず。そういった意味でも、障害者のフリーランスが今後より増えていってほしい。

猫の下僕のフリーライター。愛玩動物飼養管理士などの資格を活かしながら大手出版社が運営するウェブメディアにて猫に関する記事を執筆。共著作は『バズにゃん』。書籍レビューや生きづらさに関する記事も執筆しており、自身も生きづらさを感じてきたからこそ、知人と「合同会社Break Room」を設立。生きづらさを抱える人の支援を行っている。

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