リアルな体感をルポ!「抜毛したら髪は生えてこない」ってホント?
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2023.11.10
自然に抜ける髪とは違って、自分で抜毛した場合は新しい髪が生えてこない…。そんな噂を耳にすると、抜毛症当事者としては不安が募り、真偽が気になる。そこで、今回は抜毛歴20年以上の私が感じた、リアルな頭皮事情を紹介したい。
執筆:古川 諭香 Yuka Furukawa
■抜毛を続けているとホントに髪が生えてきにくくなる!
毛根が死ぬ前に抜毛行為が改善すると、新しい髪は生えてくれるが、10年以上長期にわたって抜毛症の状態が続くと、毛根がダメージを受け、新しい毛が生えてこなくなる。そんな説は抜毛症当事者であれば、耳に挟んだことがあるだろう。
結論から言うと、この説は本当だと私は思う。なぜなら、抜毛した箇所は、本当に髪が生えてきづらくなっていると感じるからだ。
私は小学4年生の頃から、家庭環境や学校での生活に息苦しさを感じるようになり、髪を抜き始めた。20年以上、髪を抜き続けてきて感じるのは、毛量が減ったという悲しみだ。
私の場合は、利き手である右後頭部と頭頂部の髪を抜くことが多い。数本だけ…と思って抜き始めたら、最後。気づけば、1~2時間無心で髪を抜き続けていたことが何度もあった。だから、左側に比べると、右側の毛量は少なく、頭頂部はつむじ周辺の毛が薄い。小学生の頃から繰り返し抜毛してきた部分は、手で髪をかきあげるとスカスカになっている感じがする。
特に気になるのが、人の視線が気になりやすい頭頂部だ。頭頂部は手が伸びやすい部位であるため、この箇所を頻繁に抜毛しているという人は、きっと多いだろう。私の頭頂部は、人から「ハゲている」と指摘を受けるレベルではない。おそらく、傍から見て、ちょっと薄いかなと思われる程度だ。だが、自分としては、恥ずかしいほどハゲているような気がして、人目に敏感になることがある。
あの人、ハゲてるなと思われるかもしれない…。大量に髪を抜いてしまって自己嫌悪する日は、そんな不安も頭によぎり、スマホのカメラで頭頂部を撮影。動画と写真のどちらも撮り、人からの見え方をチェックするのだが、自分が抜毛症であることと向き合わねばならない、その時間が辛い。そして、「やっぱり前よりも薄くなっている…」と感じた時は、より気分が滅入り、苦しくなる。
抜くことはやめられない。でも、ハゲるのも嫌だ。歳を重ねるごとに、抜毛歴が長くなると、そんな相反する思いが強くなっていった。だから、少しでも頭皮や髪にいいことをして、新しい髪が生えてこなくなるほどのダメージを毛根に与えないよう、今の私は自分なりに努力してもいる。
頭皮マッサージや適度なブラッシングをしたり、刺激の少ないシャンプーやヘアオイル、育毛剤入りの頭皮ケアアイテムなど使用したりしても、何がどんな効果をもたらすのか、本当に毛根へのダメージは軽減させられるのかは分からない。だが、抜毛の欲求に抗えないからこそ、髪を抜いてしまった後にできるケアをして、抜毛箇所を労わるようにはしている。
きっと、どれだけケアをしても、新しい髪がもう生えてこない毛根も私の頭皮にはあるのだと思う。けれど、それも自分が精一杯苦しんで、闘った証拠だと、いつかは認めてあげたい。