双極性障害と働くこと
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2023.3.31
双極性障害の当事者である私は、今はフリーランスで仕事をしていますが、それまでには非正規、正社員、さまざまな仕事をしました(転職が多いのは双極性障害あるあるらしいです。気分が頻繁に変わるから)。
執筆:藤森 桂 Kei Fujimori
その当時はうつだという診断でしたが、比較的体調の良い時、派遣(クローズ:周囲に障害があることを伝えずに就労)で3か月限定のライターの仕事をしたことがあります。会社に出向いてデスクで書くのです。
刺激的なテーマで、楽しく取り組めましたが、時々どうしようもなく疲れてしまい、休憩室でちょいちょい寝ていました。
うつがひどい時は勝手に15時出勤、19時退勤にすることもありました。
それでもなんとか3か月働くことができ、賃金も契約通り頂戴しました。
短い期間でしたが、散々迷惑をかけてしまいながらなんとか勤め上げました。でも、これがフリーランスになるきっかけの1つだったと思います。
2年後、別の会社で編集職の派遣(クローズ)をした時は、社風が合わなくて、本当に辛かったです。
「伝統文化に興味はあるか」と聞かれ、一応興味はあったので「はい」と答えたところ、採用となったのですが、入ってみると無茶苦茶専門的な雑誌や本を出版する会社で、かつ始業15分前に出社して掃除、身なりや布巾の干し方一つまで、とってもうるさ……いや、厳しくて、結局私のミスをきっかけに退職することになりました。
『家元』と関わる会社は地雷かも…(私にとっては)。
この直後、別ルートからフリーランスライターの書籍の仕事が入ったので、よしとしましたけどね。その仕事は、自分に自信と印税をもたらしてくれました。自分の本当に書きたいことを、たくさんの読者の方が読んでくださる。出版社の方々のご尽力のおかげだと思います。
今は派遣の経験も活かして、フリーランスのライターをしながら、障害厚生年金をいただいています。
正直、ライターの仕事だけではまだ食べていけません。年金+仕事+社会資源で「文化的で最低限度の暮らし」(健康ではない)をなんとか営めているのかな、という感じです。
その上、うつ状態が続いているので、今は以前のような冒険(例えば、未知の仕事を出社して行う)は不安でできません。自信のあること、できることをコツコツとやるしかないと思っています。
でも、たまに躁になると、新しいアイディアがわいてきて、実現させたくなってきます。
現在の主治医は私の就労には賛成で、私の考えすぎかもしれませんが、双極性障害なのに抗うつ剤が追加で出ているのも私が「うつだと仕事ができません、書けません」と散々言ってきたからかもしれません。
A型作業所に行くことも考えて、主治医に言ったところ、「あなたにはライターの仕事があるでしょう!」と珍しく注意されました。
双極性障害の就労は難しいとは思いますが、病状によっては可能な時期もあると思いますし、フルタイムで働く当事者も知っています。
同じ双極性障害当事者でも、現れる症状はちょっとずつ違いますし、職業観も違うでしょう。
ただ、双極性障害当事者である私は、自分のできること、やりたいことを軸に考えるようにしていきたいと思います。