「成長」を望むあなたへ。
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2022.11.30
2022年も、終わりが見えてきました。
年明けに向けて新しい挑戦をしていたり、年内に立てていた目標にあわてて取り組んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
いずれにしても、行動して成長や前進を望むことは価値あることですが、そのような意欲的な方が陥りがちなワナがあると思うのです。
執筆:いりえ(北橋 玲実)
なんだか、このごろは一周回って物騒な時代になってきたようにも感じます。
「今は個人が輝く時代だ」
「大企業に入っても、人生安泰じゃない」
「これができないと取り残される」
といった、突き放すかのような言葉に囲まれながら、「ひとりの人」として生きるわたしたちは、なんとなく焦燥感に駆られることが増えてきました。
実際にわたしも会社から抜け出して会社を立ててからは、日々のタスクに追い立てられ、苦しみながら自分の弱みに向き合うことになりました。
この記事を読んでいるあなたも、今この瞬間も「なにか」のために日々奮闘しているのではないでしょうか。
自分のスキルを高めたり、新しい環境に足を踏み入れたり、大きな挑戦をしてみたりと、「なにか」をしていないと生き抜いていくことができないかのような感覚になって、高い意識で努力されている方も多いと思います。
そういった世間の傾向はもちろん歓迎するべきなのかもしれませんが、わたしの中の一貫した考えは、「成長することも素晴らしいけれど、今のままでも充分素晴らしい」ということです。
挑戦して成長しようとする姿勢はもちろん素晴らしいことですが、「あの人はもうこんなにできているのに…」「自分なんか…」と、SNSや周囲の人と比較して「自分はダメだ」と自己を否定することが動機となって努力を続けることは思った以上に精神を消耗させてしまいます。
成長しようとする中においても大事なことは、どんな現在地であっても「今の自分」をそのまま認めるということです。
先の読めない時代ですから、できないこと、失敗することもあります(わたしも、起業してから何度泣いてきたか分かりません)。
それでもわたしたちは、どの瞬間も最善の選択と行動を常に行っているのです。今でも「最善」なのです。
ただ、以前のわたし自身も、「自分なんか…」と思い続けていました。アスペルガーという特性。少しでも気を抜けば「空気読んで」「余計なことしないで」と言われますし、周囲に認められようと頑張ったとしても「そんなことできたって意味ないよね」と言われ、『どうすりゃええねん!』な気持ちを抱いてきました。
今になって全くそういう悩みがないかというとそうは言い切れませんが、自分のココロを守りつつ前に進む、という両輪を回すためにいろいろな行動を起こしてきました。
発達障害の方は何かとプライドが高いことも多く、わたしもそのプライドがうまく働いてきたのだと思いますが、発達障害のように「治療」のできるものではない特性を持つ以上、その特性を否定することで得られるものは何もありません。
特性そのものを「受け入れる」ことによって、その特性を持ちつつも特性の良さに目が向き、自分を受け入れることにつながってきたのだと感じます。
一方、現代を生きるわたしたちは、情報や人の言葉の中で未来のことに不安を感じたり、過去の出来事に後悔を重ねたりして、考えなくてもいいことを考え、必ずしも必要のない感情を抱いてしまうことがあります。
それが「今の自分」の劣った部分に目を向け、将来の不安や過去といったどうしようもないことに感情を乱されてしまい、本来の自分を受け入れることができないどころか、自分を追い詰める要因にもつながるのです。
発達障害を持つ方はとくに思考が止められずに不安を強めやすい傾向もありますが、わたしの実践してきた一つの方法として「自分の頭の中にあることを書く」ことをおすすめしたいです。
わたしたちは日常的に、言いたいことを100%言える状況にはほとんど置かれません。そんなことはやりたくない、自分はこんなことがしたい、そんなこと言わなくてもいいだろう、など、目の前の相手や現状、あるいは自分自身に言いたい言葉が頭を一杯にしてしまう状況もあるかもしれません。
それを相手にすべて伝えてしまうのは正直リスクが高いことですが、それを例えば寝る前、ノートに向かってひたすら紙に書きだしていく。
これだけです。
わたしもクライアントの方と対話するたび、いろんなことを書いてもらいますが、「いろんなことに気づいた!」「書くだけで楽になった!」という方が多数います。ぜひ、メモ帳とボールペンを持って試してみてください。
「思ったことを書く」ことであなた自身に向き合い、あなた自身に気をかけて大切にすることは、あなたを受け入れていく行為にほかなりません。
自分自身を受け入れることができていくと、次第に日常で感じるあせりや怒り、あるいは不安といった感情がゆるんでいくことが、きっと感じられるはずですよ。