当事者が語るトゥレット症候群の取扱説明書
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2023.10.19
はじめまして。トゥレット症候群、障害者雇用枠で一般企業にて就労している時雨ミルと申します。今回はまだまだ日本では知名度の低いトゥレット症候群に関して、当事者ならではの視点で語ってゆきたいと思います。
執筆:時雨ミル m.shigure
はじめに
はじめまして。トゥレット症候群を持ち、障害者雇用枠で一般企業にて就労している時雨ミルと申します(ここ最近はほとんどリモートワークです)。
今回はまだまだ日本では知名度の低いトゥレット症候群に関して、当事者ならではの視点で語ってゆきたいと思います。
後ほど記述しますがこの病気は「みんなに知ってもらうこと」が何よりの社会参加への鍵となります。どうかご一読くださると幸いです!
トゥレット症候群とは?
トゥレット症候群は、いわゆるチック症の症状が1年以上継続することを呼びます。チック症とは、咳払いのような声や音を出す「音声チック」や、まばたきや顔をしかめるなどの身体を動かす「運動チック」を意図的でなく繰り返してしまう症状を言います。
ちなみに私自身は「咳払いのような発作(音声チック)」と「頭を頷くように振る(運動チック)」が症状として現れます。
上記が辞書的な説明となります。
音や声、動作を意図的でなく繰り返してしまうトゥレット症候群があると、何が困るのか。想像がつきづらいかもしれません。
私はトゥレット症候群の症状そのものよりも、その症状によって引き起こされる二次障害の方が悩みの種でした。
トゥレット症候群が苦労する3つのこと
①他人からの目線
トゥレット症候群の症状は様々です。声や音を出したくなる人もいれば、身体を動かしたくなる人もいます。
例えば、教室、電車、図書館やレストランなどで見ず知らずの人が発作のような声を出していたらどうでしょうか?おそらく多くの人は警戒すると思います。場合によっては睨みつけたり非難の言葉を投げたりする人もいるでしょう。
当事者からしても、他人の目線は気になります。気になっていても、症状が現れるタイミングや場所を自分で選べないので困ります。
②疲労感
当事者の多くは、公共のスペースでトゥレット症候群の発作が出そうなとき、その症状をなるべく抑えようとします。声や音、動きを出したくなっても、我慢します。
ただ、トゥレット症候群の症状が現れるタイミングは、その動作をしたいという強い衝動にかられます。コントロールしても我慢することは難しく、その衝動を抑えきれないこともあります。当事者にとって症状を抑えることは、並々ならぬストレスと疲労へと繋がってしまいます。
③二次障害
二次障害とは一次障害(ここではトゥレット症候群)の症状があることで、周囲の人や環境にうまく適応できずに二次的に起きる症状のことです。
トゥレット症候群の場合、自分でコントロールすることが難しい動きや声を繰り返すことで、周囲から注意されたり、陰口を言われたりすると、本人のストレスや不安が大きくなります。そういった積み重ねで、うつ病や不安障害など他の障害を発症してしまうこともあります。
その苦労はどうしたら取り除くことができるのか
ここまでお伝えした通り、トゥレット症候群で苦労することは、他人の目が気になること、我慢すると疲労やストレスが溜まること、そのストレスが蓄積すると二次障害につながってしまうことでした。私はこれらの苦労を減らしていくには2つの方法があると思っています。
一つ目の方法は、事前にトゥレット症候群について説明しておくことです。
教室や職場など特定多数の人が集まる場所では、当事者本人から自分の症状を事前に説明しておくと、お互いのストレスと不安を減らすことができます。
周囲の人はトゥレット症候群のことを知らないと、その症状を見たときに驚いたり、警戒したりするかもしれませんが、事前に聞いておけば心の準備ができます。当事者にとっても、「どう見られるだろう」という不安を減らすことができるはずです。
二つ目の方法は、ヘルプマークを活用することです。
事前にトゥレット症候群のことを知っていればストレスや不安を減らせると言っても、自分の口から直接説明するのは限界があります。公共の場で不特定多数の人に症状を説明して回るわけにもいきません。
みんなが「あの人のあの症状はトゥレット症候群だから大丈夫」とわかることが理想ではあるのですが、その実現は難しいです。
私はリュックなどにヘルプマークをつけておくことで、少なくとも「あの人は何かしらの病気があってこうなっているんだな」という理解を得やすくなると考えています。不要な警戒心を与えてしまうことも減るのではないでしょうか。
みんなに「トゥレット症候群」のことを知ってほしい!
トゥレット症候群の当事者は症状そのものはもちろんですが、その症状ゆえに社会にうまく適応することが難しいケースが多いです。私は当事者として、「こんな症状があるんだよ」ということをより多くの人に知ってほしいなと考えています。
たくさんの人に知ってもらうためには、様々な方法があります。メディアに取り上げてもらったり、教育に組み込んでもらったりすることなどが最大の効果を発揮すると思います。
ただ、今は全員が発信者となれる時代です。こうして当事者が発信してゆくことも大切なソーシャルアクションになるんじゃないかなと思って、これからもここで記事を書いていきたいです!