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障害者雇用で働く人たちにAIはどのような影響を与えそうか

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2024.3.7

AIによる技術の進歩していく中で、仕事の自動化がどんどん進んでいます。特に、単純で反復的な業務に関連するものはAIが担うほうが効率的、スピーディー、そしてミスがない状況が生まれるので、人間が働く機会がだんだんと奪われていくかもしれません。障害者雇用の主な職種には、事務職・データ入力作業・コールセンター・デザイナー・清掃業などがありますが、これらの職種の中には、AIに置き換わってしまうものがありそうです。

執筆:佐々木 一成 Kazunari Sasaki

AIによる技術の進歩していく中で、仕事の自動化がどんどん進んでいます。特に、単純で反復的な業務に関連するものはAIが担うほうが効率的、スピーディー、そしてミスがない状況が生まれるので、人間が働く機会がだんだんと奪われていくかもしれません。

障害者雇用にはどんな仕事があるの?という記事を読んでいけば、事務職・データ入力作業・コールセンター・デザイナー・清掃業などが挙げられていましたが、これらの職種の中には、AIに置き換わってしまうものがありそうです。

この原稿も生成AIと対話しながら文章を書いていますが、AIによって効率的に置き換えられる仕事を尋ねてみると、データ入力や単純なルーチンワークはその可能性があると返ってきました。

・データエントリーと処理

大量のデータ入力や整理作業は、自動化されたデータ処理ソフトウェアやロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)によって行われる可能性があります。これにより、正確性が向上し、作業時間が短縮されます。

・テキスト解析と要約
文章の要約やテキスト解析は、自然言語処理(NLP)に基づくAIが行えるタスクです。大量のテキストデータから情報を抽出し、要約する作業はAIの得意とする分野です。

・基本的なカスタマーサポート

簡単な質問や一般的な情報提供に関するカスタマーサポートは、チャットボットや仮想アシスタントによって担当されることが増えています。

・画像や音声データの処理

画像認識や音声認識技術により、これまで手動で行われていたデータ解釈や分類の作業が自動化される可能性があります。

こうやって書き連ねてみると、主にパソコンを使った事務作業は、AIに置き換えられる可能性を否定することは難しいかもしれません。これは障害の有無に関わらず、あらゆるビジネスパーソンに降りかかる課題でしょう。

ただ、こういった仕事がAIによって置き換えられた場合でも、新たな職種や専門性は求められます。AIがゼロからイチを生み出す仕事にまだ長けていなかったり、人間の創造性や柔軟性が必要だったり、という場面ではまだまだ強みがあるのです。

・感情や人間関係に基づく仕事

カウンセリングや心理療法、人間関係構築に焦点を当てた仕事は、感情や個別の経験に基づくものであり、AIが人間の感性や共感を完全に模倣することは難しいです。教育機関で働いたり、メンバーを率いたり、という部分にも該当するかもしれません。

・芸術や創造性に関連する仕事

芸術家、作曲家、デザイナーなど、創造的な活動や感性が求められる仕事は、人間の個性や独自性が不可欠であり、AIによる完全な代替は難しいです。1→100は得意であっても、0→1が得意ではないことに由来しています。

・複雑な問題解決と戦略的思考

複雑な問題や戦略的な課題に対処する仕事は、人間の洞察力や直感、創造的な解決策が必要とされるため、AIだけでは難しいです。論理に基づく仕事はAIの処理スピードには勝てませんが、感情に基づく仕事は替えがきかないものです。

・倫理的判断と倫理的リーダーシップ

倫理的な判断や倫理的リーダーシップに関連する仕事では、道徳的な価値観や社会的な文脈を理解し、適切な判断を下すことが求められるため、AIには難しい領域です。情報整理に長けていても、判断と決断は人間が担う部分です。マネジメント領域の仕事はまだまだ人間が担うべきところでしょう。

上に書き連ねたものは具体的な職種というものではなく、こういった傾向の仕事だよという示唆なので、じゃあ、どんな仕事をすればいいの?という疑問が湧いてきそうですが、これからの鍵は「人間らしさ」なのかもしれません。自分らしさとも言えるかもしれませんが、自分の味が出せる仕事を見つけられるかどうか、そこが鍵でしょう。

「自分+AIで2人分の仕事をするのがこれからは当たり前。創造力を発揮するのが人間で、その作業を担うのがAI。要は頭脳労働と作業労働を切り離して考えて、役割分担するのがこれからの時代です」

知人のAIエンジニアから聞いた話ですが、これは「なるほど」と思いました。例えば、私のように身体に障害がある側から見ると、とてもありがたい話。要は「考えることに特化すればいい」ので。

「職種」という観点から見ると、障害者雇用にとってAIがライバルになるかもしれませんが、「働き方」という観点から見ると、AIは心強い味方になるのだろうなと思います。

1985年生まれ。生きづらさを焦点に当てたコラムサイト「プラスハンディキャップ」の編集長。
生まれつき両足と右手が不自由な義足ユーザー。年間数十校の学校講演、企業セミナーの登壇、障害者雇用コンサルティング、障害者のキャリア支援などを行う。東京2020パラリンピック、シッティングバレーボール日本代表。

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