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完璧主義はうつ病になりやすい?自分を受け入れるために必要なこと

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2023.3.27

私はADHDとASDを併発している発達障害者です。ASDの人には完璧主義だったり、白黒はっきりさせないと気が済まない部分があったりするのだとか。まさにこれ、私です。今回は完璧主義な性格が災いして苦労した話をしていきます。

執筆:城崎ミト

自分は優等生になる必要があると思っていた

私の兄は、学校では厄介者扱いをされていました。こだわりが強く、集団行動が嫌い。宿題はしないし、勉強も嫌い。今考えると兄も発達障害を持っているのだと思います(診断を受けてないのではっきりしてませんが)。

そんな苦労する兄や両親を見て、私は迷惑をかけないようにしようと心に決めました。人から褒められる、手間がかからない、悪いことをしない。そんな優等生にならないといけないのだと。

その思いは時間が過ぎるたびに強まり、「優等生でない自分=価値がない」とさえ思いこんでいました。この強迫観念は小学生から始まり、社会人になってうつ病を発症するまで続きます。

どんどん離れていく理想の自分と現実の自分

私はいわゆる「繊細さん」でもあります。人の視線が怖いし、注目を浴びるのは大っ嫌いです。学校で発表するときは、いつも冷や汗が滴るほどに流れ、手足が震えました。自分の意見を言うのも苦手で、常に人の顔色を伺うような性格。人からは「優しい子」「おとなしい」と評価されてました。

それでも優等生になりたかった私は、委員長を務めたり責任のある役割を積極的に担当したりと、無茶を繰り返します。学校に行くこと自体がストレスで、人に気づかれないように自傷行為を繰り返していました。夜通し泣いて、次の日に友人に驚かれたこともあります。

人の前に立つのが怖いのに、優秀な人間でいたいから前に出る。繰り返せば慣れていくだろうと考えていましたが、何年経っても慣れることはありませんでした。滴る汗、震える体。そんな自分が許せず、自傷行為はどんどん悪化していきました。

面接官からは「努力不足」だと言われた

大学4年生になって就職活動が始まると、様々な会社で面接を受けるようになります。面接は私にとって1番苦手なことで、苦しいだけの時間でした。緊張で頭は真っ白になるし、全身から汗が噴き出して止まりません。

何回練習しても本番では上手くいかず、どうすれば良いか途方に暮れていました。そんなとき、ある面接の最後に面接官が質問してきました。

「就職活動で何か悩んでいることはある?あったら相談していいよ」

どんな意図があったのか今でもよくわかりませんが、私は正直に面接の苦手意識がなくならないことを話しました。

「それは努力不足だからだよ。面接の練習を繰り返してちゃんと準備をすれば、緊張なんてしないはず。もっと頑張らないとダメだよ」

そう答える面接官の言葉は、私の心にズブリと突き刺さりました。毎日練習してるのに。面接の仕方を勉強して、何度も言葉を考えて、ずっと対策を練ってるのに上手くいかない。それを「努力不足」と一蹴されてしまったのです。

自分はダメな人間だなと、現実を突きつけられた気がしました。

社会人になってうつ病を発症、寝たきり状態に

ハロウィンの時期になって、私はやっと内定を手にします。そのまま入社、研修を受ける間もずっと「頑張らないといけない」と必死になっていました。

しかし実際に業務が始まると失敗続きで、何1つ上手くいきません。「そんなこともできないの?」と呆れられ、最後には放置されました。学校では勉強さえできれば優秀だと言われますが、仕事は別物です。細かなミス、注意不足、マルチタスクができない、電話がとれない。私は会社の中ではただの「無能」でした。

「もっと頑張らないといけない」「もっと上手くやらないといけない」と必死に業務をこなそうとしますが、現場に配属されて半年経つ頃には、体のほうが限界を迎えていました。そしてうつ病を発症し、私は私の思う「無価値な存在」に成り果てたのです。

うつ病と診断されたときは、安堵をするのと同時に人生の終わりのような気分になりました。記憶はあやふやですが、実際に何度か未遂を繰り返し、自暴自棄になっていたと思います。しかし走馬灯(みたいな幻覚)に母親が出てきたところで、ピタリと正気に戻りました。母は私に1度も「優等生になれ」と言ってないことに気がついたのです。

私は今まで自分の杓子定規で自分の価値を決めつけていました。勝手にこの世界にいらない人間だと思っていました。

自分を許せないのは、自分だけだったのです。

そのままの自分を受け入れるために必要なこと

今の私はライターとパートを兼業しています。正社員の頃と比べると稼ぎは半分以下になってしまいました。フルタイムで働けるほど体力がなく、月の3分の1は寝込んでいるからです。

20代後半なのに、なんと情けないのだろう。一般のレールから転がり落ちてしまった、ああ親泣かせだ。そんな気持ちは今でもあります。しかし「ぶっちゃけ仕方ない」というのが本音です。

自分を受け入れるために必要なこと。それは自分の理想像を作りすぎないことです。

完璧主義であると、理想の自分と現実の自分の違いに落ち込んでしまう傾向があると感じます。しかし完璧を求めるので、目標のレベルを下げたり妥協したりすることが許せません。

だから理想の「完璧な自分」に思いをはせるのではなく、等身大の自分を見つめてください。今の自分は何が好きで、どんなことに興味があって、何がしたいのか。

理想の自分がすることではなく、今の自分の心の声に耳を傾けてみてください。そしたら、意外と自分のことが好きになれるかもしれません。

ライターと図書館パートを兼業しているクリエイター。正社員になり1年目でうつ病を発症。休職や転職を繰り返した末に発達障害であることを知る。趣味は一次創作。イラスト、文章、動画、BGM、フリーゲームなど作れるものは何でも気合いで作る。

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