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「正社員未経験」のコンプレックスとの付き合い方

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2023.6.14

こんにちは。綿まるみと申します。私は統合失調症・てんかん・甲状腺機能低下症と共存しながら日々を過ごしています。

私はこれらの持病により、正社員という働き方を知らないまま、結婚しフリーのWEBライターとして細々と活動しています。

執筆:綿 まるみ

「正社員未経験」という事実は私に大きなコンプレックスを生み出しました。

正社員で働いた経験がないせいで、社会常識を知らないまま大人になった自分にきっと恥じらいがあるのだと思います。

しかしながら、そんな恥じらいを持つ自分を受け入れてあげたいと思う私もいるのです。

今回は、私の「正社員未経験」というコンプレックスの向き合い方、4点をお伝えしようと思います。

①コンプレックスを否定しない

「正社員未経験で社会常識を知らない自分が恥ずかしい」そんなコンプレックスを受け入れられなくとも、せめて否定しないでいたいと思います。

コンプレックスを否定しないことが、きっとこれ以上自分を苦しめない方法だと直感的に感じているからかもしれません。

それに「正社員未経験」というコンプレックスは、コンプレックスであると同時に「事実」でもあります。

それを否定することは、私自身の人生をも否定しかねません。自分の人生や気持ちを否定することは、自身が余計に苦しくなるばかりであることに気がつきました。

自分の人生や気持ちを受け入れられるのは、自分だけです。コンプレックスの全てを受け入れることは厳しいかもしれませんが、「コンプレックスに苦しむ自分」だけは認めてあげたいと思うのです。

②他人と比べる自分を受け入れる

私は特に統合失調症になってから、他人と比べてばかりいました。

隣の青い芝を見ては「普通」や「人並み」の人生に憧れを抱いていたのです。「普通の人生」なんて、幻想だと分かっていてもです。

「統合失調症を持つ自分の人生」と自分の頭の中にしか存在しない「普通の人生」とを勝手に比べては、勝手にへこむことは今でもあります。

しかしながら、生きていく上で他人との関わりを断つことはほとんど無理でしょう。私自身それを望んでいるわけでもありません。でも、他人と関わる以上は、友人知人と比べてしまうのは当たり前のことだと感じるようになりました。

それに、私がいつも比較しているのは「目の前にいる友人知人の人生」ではなく、「私の想像する友人知人の人生」であることにも気づいたのです。

きっとこれからもこの幻想は膨らむばかりでしょう。これは人間の欲求で自然なことだと、頭では割り切るようにしています。

③過去に仮定を持ち込まない

「あそこであの選択をしなかったら、健康でいられたはず」
「あの時統合失調症になっていなければ、普通に働けたはず」など、

自分の過去に「たら」「れば」を想像することが、私にはよくあります。

しかしながら、私は現在を生きている人であり、いくら過去に仮定を持ち込もうと現状は変えられません。

過去を振り返ってそこに希望を見出すことは、結局無意味に等しいことだと気づいたのです。

けれど、そのことを頭で分かっていても、無意識のうちに過去の自分に期待をかける私もいます。

その時は、現在の自分に焦点を当てて「統合失調症にならなかった時の自分にはきっと手に入らなかったこと」「今の自分だからこそできること」などを見つめ直すようにしています。

④時間をかけて受け入れ態勢を整える

私は「統合失調症になった自分」に対してもコンプレックスを抱いていた時期がありました。

現在ではようやく、統合失調症も自分の一部であることを認められるようになりました。

病気を受容できたのは、周りの人々に理解があったことも大きいでしょう。

一方で、10年弱という長い時間をかけて、自身の病気と向き合ってきたことも比重を占めているように思います。

「正社員未経験であることのコンプレックス」は、統合失調症を自分の一部と受容できたからこその悩みかもしれません。

私は先述した通り、人よりも「普通の人生」に憧れを抱き続けてきました。以前は統合失調症も「普通の人生ではない」と拒絶していました。

けれど今では「統合失調症になってしまったけど今の人生も悪くない」と思えるようになりました。これからはゆっくりと時間をかけて「正社員を経験していない自分も悪くない」と思える日を心待ちにしているのです。

私は結局のところ「時間」をかけることが、自分を受容できる最たる方法だと信じているのでしょう。

コンプレックスの消えない自分も好きでいてあげたい

私は「正社員未経験であることのコンプレックス」を克服できたわけではありません。

今ちょうどそのコンプレックスと向き合っている最中なのです。

自己を省みる上で頭の片隅に置いているのは「コンプレックスが消えない自分も好きでいてあげたい」という気持ちです。コンプレックスも自分の一部であり、それを感じる自分も本物だからです。

いつしかこの「正社員未経験のコンプレックス」を乗り越えられる時がくると信じています。今悩んでいる自分の姿を振り返っては、未来の自分がその姿に勇気づけられる日もくると願ってやみません。

それは、過去に統合失調症を受け入れられなかった時期を乗り越え、今の私が「過去の自分を裏切らないように生きていきたい」と願うことと同じようにです。

ここまでお読み頂きありがとうございました。

京都女子大学文学部卒業後に教員免許を取得し、教育保育関連を経てwebライターへ。小学生の頃よりてんかん、大学在学中に統合失調症、甲状腺機能低下症を発症。「普通に生きることが難しい」と感じた経験から、様々な病気と共存しつつも平凡に生きることを目標にしている。

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