統合失調症を持つ私と「普通」の夫との関係
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2023.7.19
私は統合失調症・てんかん・甲状腺機能低下症を持ちながら、夫とともに日々を過ごしています。夫の方は、至って健康体のいわゆる「普通」の人です。前述した私の持病は、夫と出会う前から患っていたものです。私のそのような状況を知りながら、結婚してくれた夫には感謝にたえません。
一方で、結婚してから私は統合失調症を再発し、夫を困惑させたこともありました。そのような困難を乗り越え、今では平穏な日々を過ごすことができています。今回は、統合失調症を持つ私と「普通」の夫との関係性をお伝えしたいと思います。
執筆:綿 まるみ
付き合う前から持病を伝えていた
私は夫と出会ってから比較的すぐに、特に統合失調症とてんかんの持病については伝えていました。それはまだ、夫と付き合う前の頃でした。
というのも、特別てんかんにおいては、一緒に遊んでいる最中に発作を起こして倒れた場合を想定すると、夫が大変困惑するだろうと感じたためです。そのような思いから、てんかん発作を起こすと私の場合どのようになるかなど、口頭で具体的に伝えた覚えがあります。
また、付き合う前に持病のことを伝えた理由は、以上のような現実的な問題以外にもありました。
なんとなくですが、夫とは今後も長い付き合いになるかもしれないと感じていたため、付き合う前に「私と一緒にいるリスク」を伝えていないのは不誠実かもしれないと感じたのです。付き合う前に伝えることで、夫にも今後の選択肢を与えたかったのだと思います。
持病のことを伝えることには勇気がいりましたが、結果として夫はそのことを受け入れてくれて、私は嬉しくホッとしたことを覚えています。
再発時にはずっとそばにいてくれた
幸い、カップルとして付き合っていた頃に、統合失調症もてんかんも再発はしませんでしたーてんかんにおいては、現在に至るまで夫の前で発作を起こしたことがありませんがーしかし、夫と結婚してから、愚かなことに私は統合失調症の服薬を中断し、コロナ禍の折もあり、統合失調症を再発しました。
統合失調症の誇大妄想や幻聴を有する陽性症状が出ていた頃には、大変夫を困惑させたことと思います。しかし不幸中の幸いで、統合失調症の症状がピークの頃に、大きな病院でてんかんの検査入院を予約しており、それを精神科への入院へスライドできました。
約1ヶ月ほどの入院となりましたが、夫は片道2時間ほどかけて、仕事終わりにほぼ毎日見舞いに来てくれていました。
入院してから1週間ほどで現実感を取り戻すことができたため、夫には何度か「自分の人生を大事にしてくれ」と、要は離婚されることは厭わない旨を伝えた覚えがありますー今思えば、ほぼ毎日見舞いに来てくれる夫に対して失礼な発言でしたー
一方、夫の方は離婚する選択はしなかったようで、今も目の前に一緒にいます。本当にありがたいことです。
だから、夫の苦難にも向き合おうと決めている
夫をはじめ、様々な人々のおかげで、そのような困難を乗り越えることができ、今では平穏な日常を送れています。
統合失調症の再発・入院は数年前の話ですが、それを経験し改めて誓ったことは、夫が苦難に立たされた時にーそれは夫が私にしてくれたことと同じようにーどのような状況であれ一緒にいるということです。
また、夫だけではなく、私を心配し支えてくれた人々には、時間をかけて恩返しをしたいと思います。
それくらい、周りの人々にご迷惑やご心配をおかけした自覚があります。もちろん統合失調症の再発を機に、途切れたであろう縁もあります。そのことを考えると、寂しくて仕方ないこともありますが、せめて今ある縁を大切にしたいと、心から思います。
特に統合失調症の症状を目の当たりにした夫が、今でもそばにいてくれることは当たり前ではないと本当に思います。
友人であり同僚であり、そして夫婦である
私にとって夫は、配偶者であるとともに、友人でもあり仕事の同僚でもある、ベストパートナーと感じていますー夫の方はどう思っているか定かではありませんがー
そんな夫から、たくさんのことを教わりました。
私は特に人間関係の機微に割と疎い方だと自覚しています。要は鈍感で空気の読めない奴なのだと思います。そんな私に、人間関係の営みの尊さを教えてくれたのが夫なのかもしれません。それは私にとって大きな進歩で、大人として生きるために必要な過程でした。
私は統合失調症もてんかんも、果ては甲状腺機能低下症もある中で、夫と出会ってなければ今でも人生に絶望していたかもしれません。
これからは私も救いの手を差し伸べられる、そんな人になりたい・なると決めたのです。いつしかの夫が、希望という道標を与えてくれたように。
ここまでお読みいただきありがとうございました。