認知機能障害との付き合い方
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2023.11.6
私は統合失調症を患って25年になりました。
現在、幻聴や妄想などの症状は落ち着いており、記憶力・注意力・集中力・判断力の低下が起きる認知機能障害に悩まされています。
今回は私が日頃から気を付けている、認知機能障害との付き合い方をご紹介します。
執筆:大福 麦子 daifuku mugiko
私は統合失調症を患って25年になりました。
現在、幻聴や妄想などの症状は落ち着いていますが、記憶力や注意力・集中力・判断力が低下する認知機能障害を抱えています。
これらの症状があると、日常生活や仕事上で困ることがあります。
一度の指示でたくさんのことを言われると理解ができない、急な変更に対応できないことが多いです。
忘れ物やうっかりミスが多く、家族に笑われることも。
今回は、私が仕事や日常生活を送るうえで気を付けている、認知機能障害との付き合い方をご紹介します。
統合失調症の認知機能障害とは?
統合失調症の症状は陽性症状・陰性症状・認知機能障害の3つに大きく分けられます。
そのうち認知機能障害とは、記憶力・注意力・集中力・判断力が低下することを言い、日常生活を送るうえで困難を引き起こす場合があります。
例えば、物事を覚えるのに時間がかかったり、説明を一度聞いただけでは理解できなかったり、考えていることを上手くまとめられなかったり、物事の優先順位をつけるのが苦手だったりする場面があげられるでしょう。
(参考サイト:すまいるナビゲーター https://www.smilenavigator.jp/tougou/family/guide/02.html)
私もこれらのことが苦手です。
統合失調症は、脳の機能が様々なかたちで阻害されているのではないかと考えられる脳の病気ですが、これらの症状の明確な原因やメカニズムは、まだ解明されていません。
認知機能障害の対応と対策~私の場合~
私が仕事や日常生活上で困っていることを例に、私がしている認知機能障害の対応と対策をご紹介したいと思います。
1. 記憶力の低下
私は2つのことを頭の中で同時に処理することが苦手です。
Aに集中するとBを忘れてしまいます。
例えば、最初にインプットした情報が強く残り、その後に変更された場合、変更した内容に記憶を上書きできず、もれてしまいます。
ー 対応と対策
やらなくてはならないことや、変更の指示を受けたらとにかくメモを残します。
また、指示自体をLINEやメールなどの文字で残るツールにしてもらうこともあります。ふせんにメモを残し、目につくところにペタッと貼って、ヌケ・モレを防いでいます。
メモアプリやリマインダーを利用するのも良いですが、アナログで書くと記憶が定着しやすくなるので、私の場合は手書きが多いです。
メモやふせんは無くしたり、必要な時にすぐに取り出せないということがないよう、場所を決めて置いています。
2. 注意力・集中力の低下
うっかりミスが多いです。
また、面倒なことに集中できず、後回しにしてしまいがちです。
ー 対応と対策
何か大切な書類を書くときや、処理をするときは必ず見直しをします。
自分のチェックに自信がない時は、第三者(私の場合は家族)に見直してもらい、二重チェックを行います。
また、嫌なこと、面倒なことはなるべく避けたいものですが、それでもやらなくてはならないときは、時間を決めて取り掛かるようにしています。
自分のモチベーションを上げるような音楽や動画を鑑賞してから取り掛かる、負担やハードルが低い作業から取り掛かるなど、自分なりに工夫しています。
3. 判断力の低下
初めて取り組む作業や仕事は、混乱してミスを引き起こしがちです。
複雑な手順やシステムを扱うのが苦手で、すぐに理解ができません。
優先順位をつけるのが下手なので、物事を効率よくこなせず時間がかかります。
ー 対応と対策
仕事上複雑なシステムを扱ったり、初めて取り組んだりする作業は、自分用のマニュアルを作成し、手順をわかりやすく整理してから取り掛かるようにしています。
こうすることで理解が深まり記憶に定着するし、ミスを防げるようになりました。
また、やるべきことを箇条書きにして書き出し可視化させ、処理をする工程を一度想像してから優先順位をつけるようにすると、効率を考えやすくなりました。
認知機能障害は回復するのか?
認知機能障害には薬が効きにくいと言われています。
残念ですが私も経験上、病前の状態に戻ることはないのではと思っています。
苦手を上手にカバーしながら付き合って生活していくしか、やりようがないのが現実です。
今後、医学が進歩し認知機能障害にも効果がある薬や治療法が出てくることを願っています。
私の例が誰かの参考になれば、幸いです。