精神疾患と偏見〜心の弱い人がなる病気?
1 1
2023.12.8
SNSで「精神疾患を抱えている人は、仕事の信用を得られない」というような意見をみました。
仕事を責任もってやりとげられないのでは?ネガティブなのでは?心が弱い人だから病気になるのでは?という偏見があるようでした。
今回は精神疾患を抱える当事者の一人として、私の感じることを書きたいと思います。
皆さんはこころの病気を抱える人に対して、どのようなイメージがありますか?
また、周りの偏見にさらされた時、私たち当事者はどうすればよいのでしょうか?
執筆:大福 麦子 daifuku mugiko
精神疾患は誰でもなりうる可能性がある病気
皆さんは精神疾患について、どのようなイメージがありますか?
心が弱い人がなる病気?
傷つきやすい人がなる病気?
甘えている人がなる病気?
ネガティブな人がなる病気?
世界保健調査によると、日本の精神障害を患う生涯有病率は22.9%、約5人に1人の割合だそうです。
決して特別な病気ではなく、体の病気と同様に誰でもなりうる可能性があります。
精神疾患には発症の原因がわかっていないものもあり、性格が決定的な要因ではありません。
例え精神疾患を患っても、適切な治療を受けることで症状を抑えて、日常生活・社会生活を自分らしく送っている人はたくさんいます。
病気にならないことよりも大切なこと
心も体も健康なことに越したことはありません。
しかし、生涯病気にならない人などいないように、病気のない人生などありえないでしょう。
病気にならないことも大切ですが、それ以上に大切なのは、病気になった時の生き方・受け止め方だと思います。
病気を患ったがために人生をより深く考え、周りの支えや当たり前の日常に感謝でき、同じ苦しみを持つ人の気持ちに寄り添える……そのような人は大勢います。
精神疾患を患う人の中にも「病気になった自分なんかもうダメだ」と葛藤し、悩み苦しんだ末に病気になったことに意味を見出し、一生懸命に生きている人たちがいます。
例え今、病気の渦中で人生を恨み、苦しんでいる人がいたとしても、その人が一生そのままだとは限りません。
大切なのは、病気か病気でないかではなく、その人が最終的にどう生きるかという姿勢なのだと思います。
病気になった事実は変えられないかもしれませんが、病気になった事実をどう受け止めて生きていくかを、私たちは選び取れるのです。
周りの偏見とどうつきあう?
世間にはいまだに精神疾患者への悪いイメージが溢れています。
テレビやニュースでは犯罪者の病名が報道され、さも精神疾患者は犯罪を起こしやすいかのように扱われています。
日常の中でも、私が「統合失調症を患ってます。」と言うと、あらぬ偏見を受けるときがあります。
私はうっ血性心不全で総合病院の循環器科内科に入院した時、真剣に治療に取り組んでいるのにかかわらず、医師から「精神疾患があるから自己管理ができず、治療に対していいかげんに違いない」と思われて接せられたことがあります。
医療に携わる医師でさえ、精神疾患に対して偏見があります。
一般人なら尚更、精神疾患に対して無知かもしれません。
そのような偏見と、私たちはどうつきあったら良いのでしょうか?
私の場合になりますが、入院中は私は良き患者であるように努力しました。
医師の話はよく聞き、疑問やわからないことはきちんと質問する。
身の回りの世話をしてくれる看護師さんに感謝を忘れない。
もちろん、治療はまじめに受け、医師の指示をきちんと守りました。
自分の姿を通して偏見をなくしてもらうしかないと思ったからです。
偏見は無知から始まります。
実際に自分と接した精神疾患者がどのような人だったか、それを知ってもらうことが偏見を打ち破る一歩だと、私は思っています。
仕事に対しても、同じ姿勢で取り組んでいくつもりです。
「パラちゃんねるカフェ」のコラムでも、私が当事者の一人として自分の体験や思いを綴ることで、少しでも精神疾患について知ってもらえたら嬉しいです。