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パニック障害当事者の私が10年ぶりにドクターストップで休職して思うこと

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2024.2.13

私はこれまで非常勤の障害福祉の支援員として週5日働きながら、Webライターの仕事を週1日する生活を6年半ほど続けていました。今回は発達障害とパニック障害当事者の私が、10年ぶりにドクターストップで休職して思うことについて書いていきます。

執筆:森本 しおり Morimoto Shiori

私はこれまで非常勤の障害福祉の支援員として週5日働きながら、Webライターの仕事を週1日する生活を6年半ほど続けていました。

ところが、昨年の10月末にドクターストップがかかり、11月に福祉の仕事を退職することになりました。私にとってドクターストップで仕事を休むのは10年ぶり、2回目です。

今回は発達障害とパニック障害当事者の私が休職することになって思うことについて書いていきます。


これまで私はADHDとパニック障害を隠しながら、障害福祉の支援員の仕事をしてきました。働く上でそこまで不便を感じていなかったのですが、約1年前に職場で退職者が出たことがきっかけで状況は一変しました。

退職者が出たタイミングで上司から「車の運転をしてほしい」や「正社員になってくれ」と頼まれたのですが、障害を隠しているため、できない理由を正直に伝えられなかったのです。

そのときに「障害を隠しながら働き続けるのは難しい」と感じ、福祉の現場で働きながら障害者雇用枠での転職活動を始めました。

週6日、ダブルワークのスタイルで働きながらの転職活動では、自由時間がほとんど無くなってしまいます。転職活動の時間をとると休めない、休むことを優先すると転職活動が進まない。そんなジレンマを抱えたまま半年ほど過ごして、段々と疲れが溜まっていきました。

昨年の10月の通院で「なんだか、肩や背中が痛いし、重いです」と主治医に相談して色々な話をしたところ「今すぐ仕事を休みなさい」と言われました。本当にびっくりしました。私は痛みやだるさについて相談しただけのつもりだったからです。

たしかに忙しい時期は続いていましたが、持病のパニック障害が出ているとか、仕事に支障をきたすようなミスをしてしまったとか、家事ができなくて家の中がぐちゃぐちゃになっている、とかではありませんでした。

「私、あまり自覚症状がないんですが、先生からはどんな風に見えているんですか?」と質問したところ

「不安そうな表情をしている。次の仕事を始めたらまた忙しくなるんだから、今のうちにゆっくりしておいた方がいいんじゃない?」と言われました。

主治医の先生だけでなく、カウンセラーの先生からも強く休むことを勧められていたこともあり、私は「この二人が言っているなら、休もう」と診断書を書いてもらい、休職期間に入りました。


休職する前は「病気でもないのに休むのは申し訳ない。しかも、一ヶ月間なんてとんでもない」と思っていました。いざ、休んでみると「私はこんなに疲れていたんだ」と驚きました。休職前の私はおそらく、病気の一歩手前くらいの状態だったのでしょう。

結局、一ヶ月休職しても回復した実感は得られず、私はそのまま福祉の仕事を辞めることにしました。いきなり退職する形になり迷惑をかけてしまったので、もう少し早く辞めた方が職場と自分、どちらにとってもよかったと思います。

パニック障害に限らず、精神の病気は再発の可能性があります。一度、病気の症状が現れると回復には時間がかかりますし、かなり大変です。そのことは身に染みて理解していたはずなのに「病気の症状は出ていないのだし、もう少し大丈夫かも」と思ってしまい、早めにブレーキをかけることができませんでした。

「休みなさい」と言われて初めて、自分は危ういところにいるのかもしれないと感じたのです。


休職中、久しぶりに本を読みました。

前にも書きましたが、私が患者さんによく言うのは、「病気になってただ治るだけでは時間の無駄です。今までのやり方では苦しかったから病気になったわけであって、苦しくないやり方を見つけられなければ、病気になった意味はありません。病気を成長の機会として前向きにとらえましょう」ということです。

引用元:水島広子(2007年)『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』p.252 

私が「なんか、うまくいかない」と感じていたのは、転職活動や休職に限った話ではありません。私はここ2年ほど自分の状況がしっくり来ないと感じていて、ジタバタともがいてきました。考えたり、行動したり、色々な試行錯誤をしてもまだこの「ちょっとちがうなぁ」という流れからは抜け出せずにいます。

今は古いやり方が通用しなくなってしまったけれど、新しいやり方は身に着けられていない時期なのだと思います。それが想像よりも長くてしんどかったので、途中で息切れしてしまったのかもしれません。

休んで立ち止まったことで、あまりよくない流れが変わっていけばいいなと思います。

今の私が目指しているのは休む前に戻ることではありません。苦しくないやり方を見つけて、以前よりも生きやすくなることです。そこを見失わないようにしながら、過ごしていきたいです。

1988年生まれ。「何事も一生懸命」なADHD当事者ライター。
就職後1年でパニック障害を発症し、退職。27歳のときに「大人の発達障害」当事者であることが判明。以降、自分とうまく付き合うコツをつかんでいる。プラスハンディキャップなど各種メディアへ寄稿中。

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