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パニック障害と大人の発達障害当事者の私にとっての障害受容

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2024.3.16

私は25歳のときにパニック障害、27歳のときに発達障害と診断されました。いわゆる、二次障害のある大人の発達障害当事者です。今回は、パニック障害と大人の発達障害当事者の私の障害受容について書いていきます。

執筆:森本 しおり Morimoto Shiori

私は25歳のときにパニック障害、27歳のときに発達障害と診断されました。いわゆる、二次障害のある大人の発達障害当事者です。

これまで障害を打ち明けた相手から「障害と診断されたときは、どう感じましたか」とか「ご自身の障害をどうとらえていますか」という質問をされたことがあります。これらの質問はいわゆる障害受容について知りたいのだろうなと思います。

今回は、パニック障害と大人の発達障害当事者の私の障害受容について書いていきます。

障害受容について、私はパニック障害と発達障害を分けて考えています。

新卒で入った会社で働き始めて1年くらいが経った頃、通勤の電車内や朝礼のときにパニック発作が起きるようになってしまいました。立ち眩みがして、冷や汗が出て気持ち悪くて動けなくなったのです。

会社を何度か早退することが続き、精神科でパニック障害と診断されました。このときの私は精神の病気に関する知識がなく、周囲には病気で仕事を休んでいる人もいなかったので未知の領域に踏み入れたような怖さがありました。

当時は自分が病気になったり、障害者として生きたりするとは想像したことがなかったので、それまでの人生とのギャップが大きかったです。

病気については、あまり知識がないまま「いつかは治るかもしれない」という希望を持っていました。

パニック障害という診断名は「自分のイレギュラーな心と身体の状態」についた名前だと感じていました。あくまでも一時的な状態を表すものであって、自分の人格や人生全体に関わるものだとはとらえていませんでした。

27歳のときに、発達障害と診断されたときはそうではありませんでした。そのときは、すでに障害福祉の支援員として働いていたので、ある程度発達障害に関する知識がありました。仕事を通じて発達障害当事者の方たちを知っていたので、精神疾患のときのような未知の領域に対する怖さはなかったです。

診断を受けたときは「そうか、一生治らないのか」と思いました。「治らない」という表現は適切ではないかもしれません。発達障害は別に病気ではないからです。

発達障害は先天性の脳機能の障害です。もともと持って生まれ持った脳が他の人たちとちがっていて、それはこれからもずっと続いていくのです。発達障害と診断されたとき、私は自分に対する認識を改めて、対策を考えなければいけないと思いました。

パニック障害と診断されたとき、私は精神の病気に関する知識がなかったことや、それまで送ってきた人生とのギャップで苦しみましたが「いつかは治るかもしれない」という希望がありました。

発達障害と診断されたとき、障害に対する抵抗感はあまりなかったのですが「今だけではなく、これから先も自分に障害があることは変わらない」ということに対してショックを受けました。

どちらも感想はちがいましたが、大きな衝撃を受けたことに変わりはありません。

自分の障害を知らされたとき、どう感じるかは人によってちがいます。先天性か後天性か、障害の種類や程度、診断を受ける時期によってもどうとらえるかは変わりそうです。

世の中にたくさんいる障害者全体の中で比較すると、私は先天性の障害の存在を20代後半で知ったという点と、種類や性質のちがう二つの障害の診断をされたという点で少々特殊かもしれません。社会の中で発達障害の知名度が上がっていっている途中だったことも混乱する要因の一つでした。私と同じように二次障害がある大人の発達障害当事者の数は多いので、それ自体は珍しくありません。

たまに「もっと早く自分の障害を知っていた方がよかったのだろうか」と想像することがあります。そうすれば、二次障害を抱えることはなかったかもしれません。「苦しかった時期に、自分と同じような悩みを持つ人と話をしたかったな」とも思います。

ただ、どんなタイミングで知ることになっても、つらいものはつらいはずです。きっと悩む内容が変わっただけでしょう。それに、障害と診断された後に辿る道のりもそこまで変わらないような気がしてしまいます。

障害受容について、私は三歩進んで二歩下がるようなことを繰り返しながら、ゆっくりと歩みを進めてきました。その道中で、色々な人との出会いやできごとがありました。診断されたときの衝撃も、理想を諦めて計画を練り直したときも、他の人からもらった厳しく暖かい言葉も、その全てが今の私の一部になっています。

いいときも悪いときも、この成り行き全体を肯定していこう。そう思っています。

1988年生まれ。「何事も一生懸命」なADHD当事者ライター。
就職後1年でパニック障害を発症し、退職。27歳のときに「大人の発達障害」当事者であることが判明。以降、自分とうまく付き合うコツをつかんでいる。プラスハンディキャップなど各種メディアへ寄稿中。

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