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パニック障害当事者の私の弱ったときの休みの過ごし方

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2024.1.23

私は休むことが苦手でした。調子が悪くなればなるほど「きちんと仕事ができなかった自分はダメだ」と自分を責めて、休めなくなりました。今回はパニック障害当事者の私が「弱ったときの休みの過ごし方」について振り返っていきます。

執筆:森本 しおり Morimoto Shiori

私は以前から休むことが苦手でした。調子が悪くなればなるほど「きちんと仕事ができなかった自分はダメだ」と自分を責めて、休めなくなりました。

休みの日は、ちゃんと回復して仕事に備えなければいけない。なんなら、遅れを取り戻すための勉強も必要だ。そんな風に考えてしまい、休養が必要なときに気分の切り替えができず、消耗するばかりでした。

10年前にパニック障害で3カ月休職した期間も、あまり休めていなかったなぁと思います。「仕事のストレスが原因で病気になったのだから、仕事を休めば回復するだろう」と予想していましたが、そうはなりませんでした。

今回はパニック障害当事者の私が「弱ったときの休みの過ごし方」について振り返っていきます。


新卒で働き始めて1年ちょっと経った頃、私は会社に行くとパニック障害を起こすようになってしまいました。電車で気持ち悪くなって途中下車してしまったり、朝礼のときに立ちくらみがして倒れてしまったりするようになったのです。

早退を繰り返し、精神科では適応障害や不安障害と診断されました。

父の友人のキャリアカウンセラーさんに状況を説明したところ「今すぐ休職しなさい」と言われました。会社には傷病手当という制度があることや、精神科で診断書をもらって休職できることを教えてもらい、私はそのまま3カ月の休職期間に入りました。

ただ、休職と言われても私はどうしていいのかわかりませんでした。自分がサボっているとしか思えなかったのです。

今、振り返ってみると「当時の行動は病気を悪化させていただろうな」と思います。まず、病気についてたくさん調べました。当時は頭がぼーっとしていて文章を読んでもあまり入ってこなかったのですが、そんなときにインターネット上で検索してネットサーフィンをしたのです。

精神の病気はあまりわかりやすいものではありません。原因と結果がパッと出て、治療法もはっきりとしているのならよかったのですが、当時の私は調べれば調べるほどわからなくなり、不安が増しました。ネットの情報だと区切りがないのもよくないな、と思います。

もし、今の私が助言できるのであれば「そんなにすぐにわかるようなものじゃないから、調べるのは止めておきなさい。もっと元気になってからにしよう」と言ってあげたいです。

ある一定の元気が溜まるまでは、原因の追及や反省、将来の計画を立てることよりも、休むことが優先だと思います。


仕事を休んでいるとき、私は治療や将来につながること以外、してはいけないと思っていました。何かを楽しんだり、遊んだりすることは無くなりました。

今でも後悔しているのは、そのとき旅行に誘われたけれど断ってしまったことです。大学のサークルのメンバーで、ラフティングに行くというものでした。自然の中にも行きたかったですし、ラフティングも楽しそうで、メンバーも私と仲のいい人ばかりでした。

本当は行きたかったのですが「仕事を休んでいるのに旅行なんて会社の人に申し訳ない」と断ってしまったのです。何か用事があるわけでもなく、家に閉じこもって鬱々と過ごしていただけです。

今は「行っておけ!もったいない!」と思います。自分を責めて家の中に閉じこもっている三日も、旅行をしてリフレッシュする三日も休んでいる日数は同じです。それなら、元気になる方がいいと思うのです。

旅行の例は極端ですし、会社の人や他の人が聞いたらいい気持ちはしないでしょうが、ずっと部屋の中にいるよりも、外に出て気分転換をしたり、楽しんだり遊んだりした方が回復できただろうなと思います。私はプロセスを重視しすぎて、結果が悪くなった気がします。


私は10年前に休職したとき、焦って何かしなければと思い、行動をして症状が悪化することを何度か繰り返していました。

ストレスの原因から離れても元気になるどころか、ジリジリとすり減っていく感覚がありました。状況を変えても症状が改善しないのが不思議だったのですが、あれは自分が自分にかけている言葉や、姿勢に傷ついていたのだと思います。自分が自分の味方ではありませんでした。

以前、怪我で仕事を休んでいる同僚に連絡したところ「みんなに迷惑かけちゃって…。でも、無理なものは無理だから、今はゆっくりして復帰したら頑張ります」と返ってきて、私は「こんな風に考えられたらいいなぁ」と感じました。

「その人が言ったから」ということもあるかもしれませんが、とても自然で健全な感じがしました。無理なものは無理だから、今はゆっくりして復帰したら頑張ります。休むときはこの姿勢がいいんじゃないかな、と思います。

1988年生まれ。「何事も一生懸命」なADHD当事者ライター。
就職後1年でパニック障害を発症し、退職。27歳のときに「大人の発達障害」当事者であることが判明。以降、自分とうまく付き合うコツをつかんでいる。プラスハンディキャップなど各種メディアへ寄稿中。

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