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発達障害の私がマネジメントをすることになった話

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2022.8.4

発達障害の私はこれからどんなポジションで働きたいのか。これまでマネージャー業務をしてきた経験を振り返りながら、仕事の向き不向きを改めて考え直してみます。

執筆:とくら じゅん

こんにちは、とくらです。

皆さんにも自分がやりたい仕事や、向いているポジション、どんな働き方をしたいかという希望が少なからずあると思います。

特に、発達障害の特性上「こうした仕事は向いていない」という傾向が割と明確になっている方もいるでしょう。私にも、しばらく働く中で「どうやら、これは無理そうだ」と感じた仕事がいくつかあります。

今回はこれまで働いてきた経験から、自分がどういったポジションで働きたいのか、また自分が続けていくのは無理だ、と判断した仕事について少しお話したいと思います。


マネジメントは今後”多分”しないと思う

私はこれまで、アルバイトチームのマネジメント、バックオフィスチームのマネジメント、新卒採用チームの組成など、マネージャー業務を行うことも時折ありました。

以前、私は事務をしていたときに、異常な量のミスを発生させて職場を混乱させてしまった話について書きました。

事務作業とはまた違うベクトルですが、マネージャー業務も私にとって「向いていない」と感じた仕事でした。

私が最も「この仕事は向いていない」と強く感じたのは、精神的な負担が重すぎたからです。

仕事には「できる仕事」「頑張ればできる仕事」「明らかにできない仕事」と3つの種類があると考えています。

「できる仕事」はストレスが少ないか、許容できる範囲の仕事のことです。「明らかにできない仕事」は私で言うところの事務作業や、コンビニバイトのようなどうあがいてもミスを連発してしまい、パニックを起こしてしまう誰が見ても「できない」と判断されるような仕事です。

しかし、二つ目の「頑張ればできる仕事」というのが非常に扱いが難しい代物。

頑張ればある程度はできてしまうため、非常に強いストレスを感じていてもそれが自分や周囲に分からないことがあるのです。

私にとってマネージャー業務はおそらく「頑張ればできる仕事」でした。

周囲からはできているように見える、私もできているように感じる、しかしとてつもなく負荷がかかっていたのです。振り返ってみると、そこには私の発達障害の特性から来るいくつかの難しさがあったように思います。

①人の間に入るのが難しい

まず、私は人と人の間に挟まれている状態に強いストレスを感じます。

関わる人が多ければ多いほどこの状態に陥ることが多くなり、社員としてアルバイトチームのマネジメントをすることになった時は顕著に表れました。

例えば、私は明確に言葉で示されていない暗黙の了解を何となく察するのが非常に苦手です。

チームの中での「常識」とされている暗黙の了解を何となくで把握することができないため、自分の知らない「常識」が出来上がっていないか常にアンテナを張っておく必要がありました。

マネジメントをする側が作成したルールがあるにもかかわらず、異なる運用をされてしまうと困る、ということもありますが、アルバイト社員同士の関係性などもとても気を付けて感じ取る必要があり、かなりの労力を要しました。

また、聴覚過敏があるため、小さな雑音も拾って気になってしまい、人との会話に集中しづらく、口頭でのコミュニケーションの場では人数が増えるほど正確な情報の伝達が難しくなります。

特に疲弊している状態だと、ひどい時には相手が何を言っているのか全く理解できないこともありました。

口頭でのコミュニケーションが頭に入ってこない問題は、「少し考えたいので後でテキストで送っておいてください…」などの切り返しで上手くかわせていましたが、気持ち的に疲れてしまいます。

更に、マネジメント業務をしていると、作業の完了報告や質問など、自分の仕事の途中に話しかけられる機会も多くなります。一度自分の作業を止めてしまうと、再び集中するまでに非常に時間がかかることも問題でした。

正直、今でもそうですが、頻繁に人に話しかけられるとまるで仕事になりません。

自分が判断するべきことが多い時には自分の仕事を持ち帰る、後に回す、そもそも仕事量を減らしておく、などの対処でごまかしながら過ごす日々でした。


②自分を管理できない人が他人を管理できるのか?

正直、私は自分に求める基準がとても低く、他者に求める基準は輪をかけて低いと思います。

例えば、最終的に誰かがミスを見つけられる仕組みになっていれば、その前の工程でミスが発生していても問題ないと考えています。

基本的に誰かが何かを間違えても、「そういうものだ」というとらえ方をしていたため、人に注意をすることがほとんどなかったのです。

中には、仕組みを変えれば減らせるミスや改善できる問題もあります。たとえば、「メールの文章に誤字脱字があった」というミスは他者の確認を挟むことで高い確率で改善されます。本人が気づかないことや、抜けもれは、他の人の目で確認すれば見つけることができます。

一方で、仕組みを変えても無くならない問題もあります。たとえば、「必要な報告をしない」は、仕組みだけでは改善できません。

実際、私がマネジメント業務についていたときに報告をしてこなかった人がいたのですが、「明日報告してくれれば間に合うし、まあ、そういうこともあるか。」と思っていました。

しかし、同僚にその話をしたところ「社会人としても、人としても絶対ダメだ」と指摘されて「もしかしたら、これは放っておいてはダメなのかもしれない。」と、大急ぎで、一応注意することにしました。

第三者から見ると「マネージャーに報告をしないこと」は、明らかに問題がある行動なのでしょうが、私はその言動に対して問題があるという認識がなかったため、的を射た注意ができませんでした。

いまだに「そういうこともあるんじゃない、人間だもの」という気持ちですが、おそらくこの姿勢自体が人の育成や管理には向いていないのではないかと思います。


③結局手を動かしていたい

おそらくこれがかなり大きな理由かもしれませんが、「これから先も私は手を動かすプレイヤーであり続けたい」と思っています。

デザインの仕事を始めたのが30歳手前という遅めのスタートだったこともあり、おそらく子育てがひと段落してもまだまだプレイヤーとして力をつけていく段階にあると思います。

まだまだ自分の成長を感じられるという意味でプレイヤーであり続けたいのです。

私はプレイヤーという自分が直接かかわり続けることができるポジションが面白く、好きなのです。一生プレイヤーでいられる技術と知識をアップデートし続けるのは大変そうではありますが、それはそれで面白そうではありますし、面白ければよしという感覚です。

現在働いている会社では、自分がプレイヤーから動くつもりはないことを伝えており、おそらく年次と共にマネジメント層に異動になることはない、はずです。

もしかしたら今後、「こういう感じでマネジメントしていけば良いのか」と腑に落ちることがあればマネジメントを行うこともあるかもしれませんが、面白ければそれで良いのです。

今後も自分が「面白い」と思える方の仕事をしていきたいです。

まとめ

今回は、自分が働きたいポジションについてご紹介しました。

発達障害のある方は、特性の方向性によって向き不向きが本当にはっきりと出てしまうかと思います。しかし、それは多かれ少なかれ定型発達の方も同じことではないでしょうか。

あなたが不得意な仕事は他の誰かにとってはとても得意な仕事です。その「誰か」がそのポジションで働ける職場はきっと上手くいくことでしょう。

発達障害の人が働きやすい職場は、誰にとっても働きやすい職場であるとはよく言われることですが、誰もがなるべく無理なく自分が良いと思えるポジションで働いていたいですよね。

1991年生まれ。下町暮らしのフリーライター・イラストレーター。出産後ADHDの診断を受ける。様々な立場の生きづらさを考えていきたい人。

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