精神障がいのある人の働き方〜障がい者雇用と一般就労はどちらが良い?~
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2022.12.27
私はASDや自律神経失調症の当事者です。今回は、私自身の経験をもとに障がい者雇用と一般雇用の違い、両方とも経験している身として思うことなどを書いていきます。
執筆:光丘 月乃 t.mitsuoka
こんにちは、光丘月乃です。
皆さんは、現在どのような働き方をしていますか?
私は一般就労(アルバイト)で、接客することがあまりない、裏方の仕事をメインにしながら、家でライターの仕事をしています。このようなダブルワークを始めて、半年が経ちました。(2022年12月現在)
ASDや自律神経失調症の当事者だからか、コミュニケーションが比較的少なめの裏方や、メール・チャットツールをメインとして連絡を取るライターの仕事があまり苦になりません。(もちろんどちらも仕事なので、大変なこともありますが)
過去には障がい者雇用で正社員として働いていた時期もありました。しかし、過去記事でも書いた通り個人的には合わない働き方だったと思います。
今回は、私自身の経験をもとに障がい者雇用と一般雇用の違い、両方とも経験している身として思うことなどを書いていきます。
ぜひ、ご覧ください。
一般就労の経験も無駄ではなかった
一般就労をしていた頃(20代前半の頃)は、自分がASDだと知らずにいました。
新卒で介護福祉施設に就職した際、業種柄、福祉に関係するため、障がい者雇用の存在は何となく知ってはいましたが「私には関係ない」と思っていました。
当時は「コミュニケーション能力が低く、周囲に迷惑をかけてしまって辛い」と思う日々が続いていました。
その会社に2年間勤めた後、地元に帰省して病院の看護助手として1年勤務しました。
看護助手の仕事を辞める直前にASDの診断を正式に伝えられた時は、今まで一般就労でうまくいかなかった理由が分かった気がして、ようやく落ち着いた気持ちになりました。
その後は就労移行支援事業所で障がい者福祉や仕事の関わりについて学び、前の職場(ホテル)で7年間障がい者雇用で勤務しました。7年もの間、パートから正社員に昇格して働いていました。
一般就労と障がい者雇用、色々ありましたがどちらの経験も無駄ではありませんでした。今やっているライターの仕事でも、過去の経験が生きることが多くあります。
障がい者雇用は職場の理解が何よりも大事だと感じる
今になって思うのは、障がい者雇用を行う会社の人がどれだけ障がいを理解しているかが非常に大切だということです。もちろん、自分自身でも障がいの特性を知って行動するのも、働く上では欠かせません。
精神・身体・知的・内部障がい、どんな障害であっても「この人はこんな症状があるから、こうした配慮が必要」や、「この人の強みを生かせるのは、この仕事」といったように、会社側の理解がとても大切だと感じました。
私のように就労移行支援事業所などの福祉サービスを利用している場合は、スタッフさんから企業の採用担当の方へ障がい特性について説明をしてくれることもありますが、その支援だけでは限界があります。当事者自身の努力も必要かもしれませんが、雇用する側の企業の方も、障がいについて学んだり、理解をしようとしてくれると助かります。
私自身は障がい者雇用で7年間働いていましたが、理解があったのは本当に最初の1〜2ヶ月だけだった気がします。支援センターの人の力を借りて障がいについての話を上司としたこともありましたが、理解はなかなか得られなかったと感じています。
突然の勤務変更や多数の仕事のかけもち、プレッシャーの多い仕事もたくさん押し付けられる日々。体調が悪いと相談すると「病気を言い訳にするな」という上司もいました。
個人的には障がい者雇用を行っている会社の責任者なのであれば、「病気を言い訳にするな」とは言ってほしくないと思っています。
どんな働き方が向いているか、どうしたら分かる?
一般就労と障がい者雇用の両方で働いてきましたが、一概にどちらが良い・悪いとは言い切れません。仕事内容や人間関係、給与面などを総合的に考えて、自分に見合った働き方をするのが一番です。
理想の働き方をするのは、そう簡単ではないと思います。アルバイトとライターのダブルワークをしている現在でさえ、「これで良かったのかな」「うまく両立できるているか心配だな」と思うことは多々あります。
雇用形態を問わず、健康な状態を崩さずに働けて、家族と過ごす時間やプライベートも大切にできる働き方が一番だと私は思います。
ダブルワークを始めてから半年。まだまだ課題はたくさんありますが、いつか「この働き方で良かった」と思える日が来ると思いつつ日々働いています。
一般就労で周囲の人に「障がい者だ」と知られる心配はある?
「あなた、もしかして発達障がい?」
こうした言葉をかけられた経験は、不思議なことにありません。障がい者雇用で勤務していた前の職場でさえも、私がASDであることを知っていたのは幹部の人たちだけでした。
障がいの特性にもよると思いますが、私の場合は体調も崩さずに仕事に行けているため、ASDだと知られずにいるのだと思います。
今のアルバイト先では、年配女性が多く人間関係で不安があるため、行動や発言には気を付けるようにしています。コミュニケーションが下手な分、仕事で出来ていない部分があったら直す心がけをして、休まずにコツコツと続けていこうと思います。
万が一ASDだと知られてトラブルがあった場合は、かつてお世話になった支援センターの方や本社の相談窓口に話そうかと考え中です。
自分に合った働き方は本当に大事!
自分に合った働き方をするのは、一口に言ってもなかなか大変なものです。
一つの仕事をものにするには時間がかかります。私もまだまだダブルワークをこなしきれている自信が正直なところありません。
障がいの有無に関わらず、それぞれのライフスタイルに見合った働き方が出来るのは、心身の健康を保つためにも非常に大切です。
私はダブルワークを長く続け、「この働き方が一番合っている!」と言えるようになるまで頑張っていこうと思います。