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仕事と通院を両立させるために僕が会社にお願いしたこと。

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2023.7.20

前回、左半身まひと高次脳機能障害を抱えた僕が今の会社の障害者枠で働き続けるためにやってきたことなどを中心にコラムにさせて頂きました。今回は、前回書ききれなかった会社側からの障害者雇用への配慮について、主に労働時間の調整という視点から僕自身の体験も含めて書かせて頂きます。

執筆:山田 稔

前回、左半身まひと高次脳機能障害を抱えた僕が今の会社の障害者枠で働き続けるためにやってきたことなどを中心にコラムにさせて頂きました。

障害特性の影響で、できること・できないことがある中で、仕事内容についてのすり合わせをどのようにしてきたのか。面接から始まったやりとりを経て、今の会社では5年以上かけて僕にできる作業を切り出してもらってきました。

今回は、前回でお伝えしきれなかった会社側からの障害者雇用への配慮について、主に労働時間の調整という視点から僕自身の体験も含めて書かせていただきます。


障害者が働く上で、人によって差はあるものの、労働時間はとても大きな問題であることが多いです。障害者の中には通院のために休みを取得する必要がある人や残業が難しい人もいます。

僕もそのうちの一人です。長く働き続けるためには労働時間の調整が必要で、会社の制度を使わせてもらいながら、7年以上同じ会社で勤務できています。

僕は左半身まひや、高次脳機能障害の他に「てんかん」というけいれん発作を起こす障害も持っています。この発作が起こると意識を失って倒れてしまうこともあります。僕の場合、疲れや寝不足などがきっかけで発症しやすくなるため、健康管理が大切です。

そのため、入社時に医師の意見書を提出し、会社側からも「残業なし」という条件で採用して頂きました。

労働時間については、面接時に障害者の就労について理解してくれている主治医や、その他のリハビリに携わった専門家の方の意見を書面にしたものを持参することをおすすめしたいです。自分だけでなく、専門家の意見も合わせて伝えることで、企業からの理解が得やすくなると思います。

僕の場合は支援センターの担当のスタッフの方に面接に立ち会ってもらいました。支援センターのスタッフの方に来てもらうと、企業の採用担当の方は質問しやすくなるでしょうし、僕はより障害について深く聞いてもらえることができたと感じています。

障害者雇用は企業規模に関わらず、積極的な企業もあれば、手探りな企業もあると感じています。

そのため、採用後に不幸なことが起きないように「面接時にどれだけ正確に自身の病状や障害特性などを専門的な知識も含めて説明できるか」ということが重要だと思います。

「どうすれば自然体で、障害をオープンにした状態で業務に実力を出し切れる状況を作り出せるか」を考えて、企業を探し、面接に臨んでいました。採用されなかった企業はたくさんありますが、面接に全力投球した後は「この企業は自分には向いてなかったんだ」と諦めがつきました。

それだけ事前に話し合いをした僕でも、入社以降に「話が違うじゃないか」と思うことが起きました。おそらく、企業側も「想定とちがった」出来事があったと思います。僕は上司と喧嘩になりそうなくらい言い合ったこともあります。綺麗ごとだけじゃ終われない。そんな面談もいくつか経験しました。


僕はてんかん発作を抑えるために残業ができないというだけではありません。高次脳機能障害などの通院のための休みを取得する必要がありますが、働いていると通院が困難になってしまいます。

現在、フレックスタイム制度が導入されている会社は多くありますが、障害者雇用枠でその制度を活用できているかどうかは企業の事情によってバラバラではないでしょうか。

障害者雇用は正社員として雇用されていない場合も多く、週の労働時間を20~30時間で固定されていて、早めに出勤してその分早く退勤するなどの融通を効かせることが難しいこともあるでしょう。

そこで、僕は、今の会社で「時間単位有休」の制度をうまく活用させていただけないかと頼みました。僕の場合、1日の労働時間である6時間を時間単位に分けて有休として取得させてもらいやすくして頂いています。

具体的には6時間の1日有休を2時間ずつ3回に分けて1日分として有休取得できるようにさせて頂いています。

もちろん部署内の調整部分もあるため周囲の障害への理解が必要ではありますが、16時に終業のところを2時間分の有休を使って14時で終わり、その後に自分の主治医のいる病院へ平日に通院することができるようになりました。

そのおかげで、健康管理をしやすくなりました。時間単位有休は通院のためだけでなく、不調になりそうな時期に使うこともあります。うまくこの制度を使うことで、年間を通して健康体でいられるようになりました。

他にも、時間単位有休を取得するために同僚とのコミュニケーションも増えたことも良い方向に働きました。取得する事情を説明するために、自分の障害をオープンにする機会が増えて、周りの人から障害を理解してもらいやすくなったという相乗効果もありました。


障害があることで、通院が必要な方は多くいるはずで、長く安定的に働き続けるためには欠かせないということもあるでしょう。

これまでの僕は仕事を途中で抜けたり、他の人に自分の仕事を頼むことになったりすることに対して気が引けていました。「迷惑をかけないように」と気を遣うあまり、有休を使いにくいとさえ感じていました。しかし、今は会社の時間単位有休を使わせてもらうようになってからのほうが、仕事に対してより前向きになったと感じています。

僕の経験談であり、すべての障害者雇用の方に当てはまることではありませんが、参考になればいいなと思い、コラムにさせて頂きました。最後まで読んで頂きありがとうございました。

軽度、重度に関わらずどんなハンディキャップがある人でも前向きに働ける世界になるように僕もがんばっていけたらと思っています。

Text by
山田 稔

身体障害者で3人の父親。身体にハンディキャップを抱えながらも人生も子育てもどっちも楽しみたいとトライ中、しかしどちらも大きな壁ばかり、乗り越えられない壁はないと信じて頑張る44歳のパパ。

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