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半身麻痺で歩行困難者の私が出かけやすく利用しやすいお店とは

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2023.11.23

私は40歳を過ぎてから発症した急性心筋梗塞の手術の合併症で脳梗塞になり、左半身麻痺の身体障害を負いました。今回はあくまで個人の考えではありますが、歩行不自由等の身体障害者の目線で、どういうお店だと利用しやすいかということを書いていきたいと思います。

執筆:市川 潤一

私は40歳を過ぎてから発症した急性心筋梗塞の手術の合併症で脳梗塞になり、左半身麻痺の身体障害を負いました。

前回は、そんな歩行や生活が不自由になってしまった自分にとっての日常のちょっとした楽しみということで、食べ歩きや喫茶店でコーヒーを楽しむということについて書きました。

今回はあくまで個人の考えではありますが、歩行不自由等の身体障害者の目線で、どういうお店だと利用しやすいかということを書いていきたいと思います。


これまで何度も書いていますので「またか…」と思われるかもしれませんが、前提として、私は麻痺側の左足に短下肢装具をつけて、杖歩行をしています。

そのため、非常に不安定な歩行スタイルです。半身麻痺があると、健側(けんそく:半身に麻痺や障害を負っている際、障害がない側の身体を指す)の使い方や緊張、疲労も変わってきます。

安全に歩くために余計に体力を使いますし、そのために全身の筋緊張も上がりがちです。何かの拍子で転倒しかけたときでも右手でつかまり身体を支えられる手すりがあるなど、ある程度安全が確保できる場所でないと、全身が緊張してスムーズには動けません。

出歩く場合も、比較的地面が平らで、かつ仮に転倒してしまった場合でも人目につきやすく、救急車や警察への連絡も頼みやすい場所を選んで歩くようにしているので、必然的に入る店もアーケードの中のお店が多くなってきます。


装具を付けていると、お店選びも変わってきます。靴を脱いで入るようなお店は、一部の靴の脱ぎ履きがしやすい小上がりがある店を除いて基本的に利用しません。

二階より上に店舗がある場合は、階段に上りも下りも健手(けんしゅ:先ほどの健側の”手に限った”意味)で持てる手すりがあるか、エレベーターがあるところなら入ります。ちなみに、エスカレーターは手すりを持つと腕を持って行かれるような感じになり、乗り降りの際に飛び乗る(飛び降りる)必要があり、極力避けるようにしています。

また、お店の入り口もできるだけ段差がなく、外とフラットになっているところだとスムーズに入りやすいので、そのような店をできるだけ探すようにしています。

店内においても、どうしても杖の取り回しがあるので、通路やテーブル間が広いところだと、動きやすいです。また左手で器などが持てない分、どうしても前屈みの犬食いのような体勢で食事をすることが多いので、身体の自由がきく、広めなテーブルや、動きやすい椅子があったりするとその店をリピートする確率は高くなってきます。

私は左手が使えない上に右手は杖を使用しているので、ファストフード等のセルフサービスのお店や、ドリンクバーやサラダバーのお店も避けています。ドリンクバーに関しては、一緒に行っている友人がいればお願いすることもありますが、自分一人の場合は利用しません。

また、私たち身体障害者にとってはトイレも重要な問題です。私は男性用便器でも大丈夫ですが、立位保持が難しい人には洋式でないと難しいでしょう。ちなみに私も装具を付けている影響でしゃがむことができず、和式はNGです。

このように、歩行困難者や身体障害者は、出歩くとなると様々な制限が出てきます。車椅子を利用していない私でもこれだけの制限が出てくるので、車椅子ユーザーとなれば、もっと多くの制限が出てくることでしょう。

歩行困難者が外出してお店を利用するには、多くの制限や制約がつきまとってきます。介助者がいれば少しはマシになるのでしょうが、いつも誰かに買い出しの付き添いを頼むわけにはいきません。

当事者だけでなく、周囲の人の中にも「これだけ大変な思いをするなら、障害者と一緒に出かけるのはやめよう」と思う人がいてもおかしくはありません。歩行が不自由な人に利用してもらうために、ここまでの条件を整えることは難しいというお店もあるでしょう。

ただ、こういう部分が解消されていけば、障害者ももっと自由に外出ができるようになり、社会参加がしやすくなっていくのではないだろうかと思います。

今後、身体障害者が外出や社会参加をしやすい環境が作られていくことを望んでいます。

そうなっていくことで、以前もニュースになった障害者の飛行機利用や、電動車椅子による二階以上のお店の利用で、大きく議論されるような状況も少なくなり、「これだから障害者は…」などと批判にさらされることも少なくなっていくのではないだろうかと思います。

1975年生まれ。長崎県佐世保市出身・在住。愛媛県でライター・編集者・カメラマンなどとして活動していたときに脳梗塞になり、左半身麻痺の身体障害者となる。取材活動ができなくなり、ライターを廃業。障害者雇用の在宅ワーカーとなり現在に至る。障害者の仕事の仕方や見つけ方など自分の経験を紹介していきたいと思います。

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