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半身麻痺の私が引っ越しを決意した経緯と引っ越す際の苦労。

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2024.3.9

私の今年の目標のひとつは「住みやすい環境に引っ越しすること」でした。新年早々、この目標が市営住宅の抽選に当選したことにより実現しました。今回は半身麻痺がある私がなぜ引っ越しをすることになったのか、その経緯や引っ越しの際の苦労などを書きたいと思います。

執筆:市川 潤一

私の今年の目標のひとつは「住みやすい環境に引っ越しすること」でした。

新年早々、この目標が市営住宅の抽選に当選したことにより実現しました。今回は半身麻痺がある私がなぜ引っ越しをすることになったのか、その経緯や引っ越しの際の苦労などを書きたいと思います。


半身麻痺のある私が引っ越しを決意したのは、急な階段があるなど、今まで住んでいた実家の立地環境が私のような身体障害者にとってはあまりにも過酷で危険だったからです。

以前、身内がうちを訪れたときに階段で足を踏み外して怪我をして、入院する事件が起きました。このときも、私のケアマネージャーや福祉の支援者からは、私がこういうことになる前に、早急に引っ越しをしてほしいと勧められました。

一昨年くらいから市営住宅や県営住宅に応募していたのですが、なかなか当選しませんでした。今年の始めに繰り上げという形ではありますが、ようやく当選して引っ越しをすることになったのです。

公営の住宅は集める書類が多かったり、資格審査があったりと、半身麻痺の身としては、都度、書類の申請に行ったり、センターに出向いたりと非常に煩わしい手続きが多かったなという印象です。

すべての手続きを終えて入居が許可されると、鍵渡しから実質一週間という短い時間で引っ越しを完了させてほしいということを言われました。正直、一週間で片手しか使えない状態で荷物をまとめたり、運んだりするのは至難の業です。

業者さんに頼もうにも、どこも基本的には依頼主が荷物を運んだり手伝ったりすることが前提でした。私は半身麻痺があり、手伝いはできないので荷物運びは全てお願いしたいと頼むと、難色を示されることも多かったです。

そこで、引っ越し作業は地元の友人や、以前いた県の元同僚などにも来てもらって、手伝ってもらうことにして、なんとか必要最低限の荷物を運び込むことができました。それ以外の家具や家電品は新居で新しく買い直すことにし、ベッドなどは介護保険でレンタルしていたので、それを業者さんに運んでもらうようにしました。

公営住宅なので、入居時に蛍光灯などの照明器具は何も付いてはいません。荷物を運び込む際にシーリングライトは運んでいたのですが、こういうものの設置も、友人らにお願いしました。半身麻痺があると脚立などに登れないので、一人ではライトの設置ができないのです。

まともな身体だった頃は、こういう電灯の設置などの作業は進んでやるほうだったのに、それすら一人ではできなくなってしまいました。こういう場面に出くわすと、自分は半身麻痺の身体障害者なのだなということを痛感させられます。

仕事用のパソコンの設置や、ネットの配線も、それなりにこだわりがあるので本来であれば自分でやりたかったのですが、この身体だとどうしても細かい作業ができません。自分が指示を出しながら友人にやってもらうという感じでやっていました。自分が細かいことを言うので、友人も嫌になって、険悪な雰囲気になることもありましたが、無事に仕事ができるようになって、ほっとしました。


半身麻痺の人間が引っ越しをするのは、一筋縄ではいきません。部屋探しは身体障害者OKの部屋を見つけたりする必要がありますし、荷物運びも一人ではできない作業が多いです。

私は今回、いろいろと関わってくれた人たちのおかげで無事に安全な環境を手に入れ、引っ越しをすることができました。本当に関わってくれた人たちみんなには感謝してもしきれません。

この原稿を書いている時点で新居に住み始めてまだ数週間しか経っていませんが、たった数週間でも、バリアフリーに配慮された今の住まいの住みやすさや快適さというのを実感しています。

今回引っ越すにあたって、周囲の人には余計なことはしない方がいいなど、いろいろなことを言われましたが、思い切って引っ越して、本当に良かったと思っています。

これからもいろいろと決断をしなければいけない場面は出てくると思いますが、今回の引っ越しの成功体験が自信になった気がしますので、どうした方が自分にとって良いのかという判断基準を大事にして、いろんなことを決断していければと思っています。

1975年生まれ。長崎県佐世保市出身・在住。愛媛県でライター・編集者・カメラマンなどとして活動していたときに脳梗塞になり、左半身麻痺の身体障害者となる。取材活動ができなくなり、ライターを廃業。障害者雇用の在宅ワーカーとなり現在に至る。障害者の仕事の仕方や見つけ方など自分の経験を紹介していきたいと思います。

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