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日常におけるちょっとした楽しみや自分へのご褒美の必要性

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2023.11.2

私は40歳を過ぎてから発症した急性心筋梗塞の手術の合併症で脳梗塞になり、左半身麻痺の身体障害者になりました。半身麻痺になると、とにかく不便で、生活が一変してしまいました。今回は現在の私がどんなことを楽しみにしているのか、自分へのご褒美としているのかについて書きたいと思います。

執筆:市川 潤一

私は40歳を過ぎてから発症した急性心筋梗塞の手術の合併症で脳梗塞になり、左半身麻痺の身体障害者になりました。

半身麻痺になると、とにかく不便で、生活が一変してしまいました。障害を負う前に楽しんでいたことや趣味だけでなく、仕事も諦めざるを得なくなりました。

以前、こんな身体になった自分に失望し、悔しい思いをしてきて、この身体でもできる仕事や楽しみを探さざるを得なくなったということについて書きましたが、今回はこの原稿を書いてから少し時間が経ったこともあり、現在はどんなことを楽しみにしているのか、自分へのご褒美としているのかについて書きたいと思います。


以前も書いたことがありますが、身体障害者になる前の私は仕事にかまけて自身の健康など一切顧みない、とにかく不摂生の塊でした。

ヘビースモーカーどころか一本吸い終えても次々吸い続けるチェーンスモーカーでしたし、飲酒もほぼ毎日していましたし、暴飲暴食も繰り返していましたし、趣味のゴルフやサッカーも都合が合う時だけ参加するなど、明らかな運動不足でもありました。

現在は血管や心臓に悪いタバコと、酔うと歩行に影響を及ぼすアルコールはきっぱり止めてしまい、それに代わるものとして、コーヒーを嗜むようになりました。

病前はほとんどと言って良いほどコーヒーを飲んでいませんでしたが、コーヒー豆の焙煎をしている知り合いから試しに豆を買って飲んでみたらすっかりはまってしまい、リハビリついでの町歩きで良さげな喫茶店やカフェを探し、コーヒーを飲むようになりました。


私自身、基本的にこういう常習性がある嗜好品を好む傾向があるのだろうとは思っています。暴飲暴食が病気の一因になったので暴食は控えていますが、現在も喫茶店巡りに限らず食べ歩きや、新たなグルメ捜しも趣味のひとつとして楽しんでいます。

ライター時代にグルメ記事や観光記事をよく取材し書いていたので、今でも新しいその手の情報にはアンテナを張り巡らせる癖がついてしまっているようです。その頃は、生まれ故郷から離れていたこともあって、地元の知らないことや未知のグルメに触れる度に、「自分の生まれ故郷のことを何も知らなかったなぁ」と実感しています。

今はその反省もあって、県外の友だちが遊びに来てくれたときに連れて行ける観光地やご当地グルメの飲食店を探したりすることを楽しんでいるところもあります。それと合わせて何かのときの自分へのご褒美グルメなどを探すのも楽しんでいます。

自分へのご褒美という意味では、服や靴など、ファッションの買い物も好きです。今の自分の動かしにくい身体や装具の足でも着られる服や靴をフリマサイトやオークションサイト、リサイクルショップなどで探して、掘り出し物を見つけることにもハマっていたりします。


私は半身麻痺になってから今までできていたことができなくなり、楽しいことが少なくなってしまいました。半身麻痺に限らず、身体障害者だと何かをしようとしても制限がかかったり、不自由な思いをされている方も多いのではないでしょうか。

しかし、今はテクノロジーが進歩しており、ネットで自分の興味があることを検索して新たな楽しみを発見できる機会も増えています。

障害者になる前と同じように楽しめなくなったのは事実ですが、そこで何か新しい楽しみや何かしらのご褒美を見つけることができれば、生きにくい毎日にいくばくかの彩りや活気を与えられるのではないかと思います。

何も難しいことは無く、今まで自分が興味があったことや楽しみにしていたことを検索したり、周りの人に「こういうことに興味があったり、好き」と言い続けていくだけでも何かしらの道が開けることもあると思います。

コーヒーを飲みに行っていたカフェの方と話をしていたところ、メニューを作り直したいと相談をされて、「実は私は以前、そういう仕事をしていた」と話してメニュー作りを請け負ったことがあります。

「たまにはデザインや制作の仕事をしたいな」と思っていましたが、特にあてはありませんでした。実際、何がきっかけになるかはわかりません。

好きなことにアクションをしていくことで、思いもよらぬ展開が待ち受けていることもあるので、腐らず諦めずアクションを起こしていくのも大事なことだと思います。そこから何か良い方向に話が進めば、自分へのご褒美にもなるのではないでしょうか。

1975年生まれ。長崎県佐世保市出身・在住。愛媛県でライター・編集者・カメラマンなどとして活動していたときに脳梗塞になり、左半身麻痺の身体障害者となる。取材活動ができなくなり、ライターを廃業。障害者雇用の在宅ワーカーとなり現在に至る。障害者の仕事の仕方や見つけ方など自分の経験を紹介していきたいと思います。

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