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私が生まれつき抱えている緑内障の話

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2023.12.9

私は生まれつきの緑内障です。10歳までは弱視として、その後は全盲として生きてまいりました。今回は私が生まれつき抱えている緑内障について、緑内障とはどのような病気なのか、治療方法、緑内障からくる私にとっての生活上のストレス、現在の緑内障の状態について書いてまいります。

執筆:小川 誠

私は生まれつきの緑内障です。10歳までは弱視として、その後は全盲として生きてまいりました。

緑内障は、日本人が抱える目の病気の中で最も多い疾患と言われています。私のように生まれてすぐに診断される場合と、ある程度年齢を経てから診断される場合があります。

今回は私が生まれつき抱えている緑内障について、緑内障とはどのような病気なのか、治療方法、緑内障からくる私にとっての生活上のストレス、現在の緑内障の状態について書いてまいります。

緑内障はどのような病気なのか

緑内障は、目の眼球内の房水(ボウスイ)と言われる水の流れが悪くなり、中から眼圧が上がり、視神経を圧迫して視力低下や視野狭窄を引き起こす病気です。

私がはじめて緑内障と診断されたときは1歳の頃でした。眼球を構成する組織が未発達だったため、眼球の膨張が酷く目が牛のように飛び出るという感じになっていたようです。これを牛眼(ギュウガン)と呼びます。

目の裏から頭全体にかけての激しい疼痛に悩まされました。私の場合、激しい疼痛が1年に1度くらい起こり、軽い疼痛が頻繁に起こる状態でした。

眼球の組織が出来上がっている成人の場合は緑内障になっても、疼痛を感じることはありません。私も、現在は目の裏が少し重いなと感じるときがありますが、ひどい疼痛は起こっておりません。

ただ、成人になってから緑内障と診断される場合は疼痛がない分、視力低下や視野狭窄が現れるなど症状がかなり進むまで気づかないことが多いようです。早期発見するためにも、まめに眼科検診を受けた方が良いと言われています。

私が受けていた緑内障の治療

一度、障害を受けた視神経は元には戻らないため、緑内障が完治することはないと言われています。緑内障の治療は、視神経がダメージを受けてこれ以上視野が狭くならないように、眼圧を下げることが基本になっています。

私が行っていた緑内障の治療は、手術と点眼薬の治療でした。

手術は5歳ごろに行いました(と記憶しています)。その後は、点眼薬による治療でしたが、それも12歳で打ち切りとなりました。おそらく、激しい疼痛がかなり減ってきていたからではないかと思います。

考えてみると、激しい疼痛は11歳のときが最後だったと思います。その治療の間に、弱視から全盲になり、現在に至ります。


緑内障で感じた日常のストレス

私の場合、あまり記憶にないのですが、5歳くらいまでは両目とも視力があったようです。先に左目が全く見えなくなり、右目の視力に頼って生活していました。

5歳から10歳までの間、右目が見えていたと言っても、視力は0.03程度で視野がかなり狭くなっており、ほぼ正面しか見えない状態で、遠近感もわからなくなっていました。このような状況で、いろいろな場面でストレスを感じていました。

特にストレスを感じていたのは友達とキャッチボールをするとき、絵を描くとき、刃物で紙を切るときでした。

キャッチボールのときは、遠近感がなくなっていたため、飛んできたボールとの距離感がわからず、顔などに当たってしまっていました。絵を描くときは、下書きに色を塗る際に枠からはみ出てしまいましたし、刃物で紙を切るときは、右目しか見えてないので、左右のバランスが取れずまっすぐ切ることが出来ませんでした。

このような現象は、片目のみの視力で行ったときにおこります。この現象について知ったのは、もう少し成長して全盲になってからで、弱視だった子供のころは「なんで出来ないんだろう」とストレスになっていました。

全盲になってからは、緑内障の症状のストレスではなく、全盲としての生活上のストレスに変わっていきました。


現在の私と緑内障

現在は、子供のころに感じていた目の裏から頭にかけての激しい疼痛は起こっておりません。ときどき、目の裏に軽い圧迫感があるくらいです。

弱視のときは片目が見えていましたが、病気の症状が激しく、それに悩まされていました。全盲になってからは病気の症状がなくなったものの、生活上のストレスが大きくなりました。この二つを単純に比較はできませんが、今の私が一つ言えるのは「あの子供のころの激烈な症状がないというだけでもよかった」ということです。

まとめ

緑内障は、発症する時期によって症状が違います。

私のように子供のころに発症して、激しい症状を体験する人もいれば、年齢を経てからほとんど無症状のまま進行して視力低下や視野狭窄が起きてから気づく人もいます。

私の周りの視覚障碍者の中でも、中途で緑内障と診断されたという方が多くいらっしゃいます。他の目の病気でも同じですが、緑内障になると失明への恐怖が大きくのしかかってきます。

緑内障は、早期発見で進行を防止または遅らせることができる可能性がありますが、現在の医療では一度低下してしまった視力や視野狭窄を改善する治療法はありません。

今後、緑内障当事者として失明のリスクの恐怖に悩まれている方々の話を聞き、少しでも気分が楽になるように寄り添っていければと思っております。そして、将来、緑内障が改善される治療法が開発されるように願っております。

Text by
小川 誠 twitter note

視覚障害者の全盲の男です。趣味は、IT情報機器いじり・スポーツ・読書です。群馬県内、またはオンライン上でITサポートの活動をしています。最近ウェブアクセシビリティ当事者になりました。

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