全盲の私が外出するとき、天気はどのような影響を与えるのか
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2023.12.28
私は全盲の視覚障碍者です。日々、白杖を使いながら通勤などで外を歩いていますが、気象条件によって歩きやすさや、気を付ける点が変わってまいります。今回は、全盲の私が外出するときに天気がどのような影響を与えるのかについて書いてまいります。
執筆：小川 誠
私は全盲の視覚障碍者です。日々、白杖を使いながら通勤などで外を歩いていますが、気象条件によって歩きやすさや、気を付ける点が変わってまいります。
強風が吹くと周りの音が聞き取りづらくなりますし、雨の日は白杖と傘で両手が塞がってしまいます。雪の日は点字ブロックが隠れてしまったり、路面で凍っている場所がわからずストレスを感じたりします。
今回は、全盲の私が外出するときに天気がどのような影響を与えるのかについて書いてまいります。
晴れの日は、風の強さが影響する
晴れている日は、穏やかな陽気であれば、スムーズに歩くことが出来ます。
しかし、強風が吹いてくると話は変わってまいります。風がまともに耳に当たり、周りの音が聴き取りにくくなってしまいます。そのようなときは、更に歩行が慎重になります。
特に、交差点など車道を横切るときには気を付けています。青になった瞬間にメロディで知らせてくれる音響式信号機がある場合は比較的渡りやすいのですが、そうでない場合は車道を渡って大丈夫かどうかの判断が難しくなるのです。
信号のない交差点を渡るときは、周囲の車のエンジン音を頼りに「今、渡っても大丈夫か」の判断をしています。
しかし、最近の自動車はエンジン音が小さいので判断が難しくなってきており、強風の日だとそれがより一層聞き取りづらくなるので、危険度が上がるのです。
雨の日は、傘を持つので両手がふさがる
私は、白杖を突いて歩いているので、雨の日に傘を差すと両手がふさがってしまい、転倒の危険性が上がります。片手を開けるためにレインコートを着てもよろしいのですが、蒸れてしまうので個人的にはあまり着たくありません。
そのため、私は天気予報をしっかり確認した上で、弱い雨の日は傘を持たずに外出するようにしています。
もちろん、強い雨のときは傘を差しますが、私が傘をなるべく使いたくない理由は他にもあります。傘を差した場合、傘に雨が当たる音がしますので、周囲の他の音が聞き取りづらくなってしまうのです。傘を差すときは、周囲の音に対して注意を払うようにしています。
このような理由で、雨の日の判断は本当に難しいです。
雪の日の歩行
私の住んでいる地域ではほとんど雪が降りませんが、たまに降雪があると歩行がかなり大変だと感じます。
雪が積もると点字ブロックが隠れてしまいますし、その場合は自分の勘を頼りに歩くしかないからです。他にも、路面のどこが凍っているのかがわからないことも歩きづらさにつながっています。雪が降った場合の歩行時のストレスはかなりのものです。
雪国に住まわれている視覚障碍者の外での歩行は、大変な事ではないかと想像します。
天気の確認はどうしているのか
天気予報は、ラジオやテレビ、スマートフォンのニュースアプリや天気アプリでも確認しています。雨の予報が出ているとき、傘を持って出かけるか出かけないかを判断する目安にしています。
スマートフォンのスクリーンリーダーで、細かい天気予報が確認出来るようになったので、大変助かっています。
まとめ
歩くときの感覚は、天気だけでなく、自分の気分によっても変わってまいります。穏やかな晴れた日でも、心身の調子が悪いとあちこちにぶつかったりすることもありますし、雨の日でも心身の調子がいいとすんなり目的地までたどり着けることもあります。
しかし、風の強い日や雪の日はどれだけ調子がよくても歩きにくいです。特に、歩道のない道を歩くときは更に神経を尖らせなければなりません。
穏やかな晴れた日は、前後から車や自転車が近づいてくる音が聞こえますが、強風のときは耳に風が当たるため、音が聞こえづらくなり、突然クラクションを鳴らされて飛び上がるほどびっくりすることがあります。そのとき、白杖で確認すると、自分が車道にはみ出ていることが多いです。
歩道のない道では、いつもより念入りに道の端を確認しながら歩くようにしております。
私は白杖を使いながら一人で歩くことの重要性は高いと思っていますが、様々な気象条件での歩行の難しさについて考えていくと、その重要さだけを強調することはできないと感じています。一人歩きの危険な状況も強く感じますし、そういった側面があることも改めて認識いただければと思います。
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