視覚障碍者とスマートフォンアプリ
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2024.2.3
全盲の私は日頃から様々な用途でスマートフォンを使っております。今回は、私がよく使用しているSNS以外のアプリについて書いてまいります。
執筆:小川 誠
全盲の私は日頃から様々な用途でスマートフォンを使っております。
以前、視覚障碍者のSNSの利用についての原稿を書いたことがありますが、今回は、私がよく使用しているSNS以外のアプリについて、その入手方法やスクリーンリーダーで使いにくいアプリの条件などについて書いてまいります。
アプリの入手方法
アプリを入手するときはアプリストアからダウンロードしていますが、その際、音声ガイドで十分に操作することが出来、そのアプリが無料か有料かということもわかるようになっています。
ただ、私が困ることが多いのは、アプリをダウンロードした後の設定です。ダウンロードしたのはいいものの、アプリを使い始めるまでの設定が音声ガイドだとうまく行えないことがあるのです。
有料アプリの場合、手続きをすれば返金される場合もありますが、せっかくダウンロードしたアプリが使えないと無念だと感じてしまいます。お試し期間があると安心して利用できるのであるといいなと願っております。
私が普段よく使っているアプリ
アプリには、スクリーンリーダーが搭載されているスマートフォンで問題なく操作出来るものと、読み上げが悪いところはあるけど慣れればどうにかなるものとがあります。
その中で、私が実際によく使っているメモ系アプリと銀行系のアプリをご紹介します。
PeraPera Paperは、メモした内容を音声で読み上げてくれるメモアプリです。このアプリは画面構成が大変シンプルなので、スクリーンリーダーで操作しやすいです。
スクリーンリーダーでなくても操作は可能ですので、画面を長く見ていると目が疲れやすい方にもおすすめです。
セブン銀行アプリは、ネットバンクを使いたいときに使用しています。私のスマートフォンのスクリーンリーダーだとどのような操作をするのか分からないボタンもいくつかあるのですが、必要な操作はスクリーンリーダーでどうにか使えています。
このアプリに限った話ではありませんが、スクリーンリーダーだと全部の操作ができない場合も多くあります。実際に様々なアプリを使ってみて、どうにか工夫すれば使えるアプリが多いと感じています。
まだまだスクリーンリーダーだと操作がうまくいかないアプリや、使えない機能も多いので、これから改善していけば更に使いやすくなると思います。
スクリーンリーダーでは使いにくいアプリの条件
「スクリーンリーダーだと使いにくいアプリ」と聞いても、具体的にどこが使いにくいのかの想像はつかないかもしれません。操作しているときに「使いにくい」と感じるのは以下のような場合です。
①ボタンとしか読み上げないので何のボタンかわからない
スクリーンリーダーでアプリを操作していますと、どのような操作が実行されるのか分からないことがあります。
アプリ内でボタンがあったときに「ボタン」としか読み上げない場合があります。そのボタンの内容が「送信」か、それとも「キャンセル」なのかがスクリーンリーダーだけではわからないのです。
すべてのボタンが「ボタン」と読み上げられるわけではなく、「送信」と読み上げられる場合もあるので、おそらく開発のときの設計によるのだと思います。アプリ内の操作ボタンにどのような操作を行うボタンなのかテキストを付けて下さるとスクリーンリーダーも読み上げられるようになるので助かります。
ボタンだけではなく、リンクについても同様です。「リンク」とだけ読み上げられても何のリンクなのかがわからないので、そちらも記述していただけると安心して操作できるようになります。
②アプリ内の操作ボタンに数字や記号の羅列があると操作がしにくい
操作ボタンの内容を説明してくれるテキストがないのも困るのですが、情報が多すぎる場合も操作がしづらくなってしまいます。
アプリによっては、ボタンに数字や記号の羅列が記述されている場合もあるのです。テキストが書かれていたとしても、その内容以外の情報が多いと操作がしづらくなってしまいますので、アプリの操作ボタンには、わかりやすいテキストを付けてくださると大変助かります。
まとめ
今やテクノロジーの目まぐるしい発展により、様々な立場の人たちがICTに触れる機会が多くなっています。
その中で、視覚障碍者もスクリーンリーダーや拡大機能を利用してスマートフォンを使っています。一つ一つのアプリを使っていると、使いやすいものから使うのが困難なものまで様々です。
ダウンロードした直後は使えていたのに、バージョンがアップデートされたらとたんに使いにくくなってしまうことも多くあります。
視覚障碍者にとって、画面に表示されている情報が、スクリーンリーダーや拡大機能を使うことによって素早く理解ができて、スムーズに操作を行えるということが重要です。
そのためにも、開発者と利用者との太い繋がりが作られれば、お互いの意思疎通がスムーズになり、より使いやすいアプリが世の中に出回るようになるのではないかと思います。