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てんかん障害を抱える私には在宅ワークがいいのか?

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2023.7.6

働き方には「出社して働く」と「在宅で働く」という大きく分けて2つの方法があります。今回は、てんかん障害があり、二次障害の精神症状が出やすい私にとって、どのような働き方がよいのか考察してみました。

執筆:小泉 将史

働き方には「出社して働く」と「在宅で働く」という大きく分けて2つの方法があります。

私はてんかん障害を抱えているため、いつ発作が起きるのか予想ができません。30代頃からてんかん障害は部分寛解状態になりましたが、その頃からは二次障害の精神症状に悩まされていました。

今回は、てんかん障害があり、二次障害の精神症状が出やすい私にとって、どのような働き方がよいのか考察してみました。


まず、「出社して働く」場合です。てんかん当事者にとって鍵となるのは、勤務時間・人間関係・移動(通勤)手段といったあたりでしょうか。

「勤務時間が会社によって決められている」ことは、障害の症状が出るとつい弱気になってしまう私からすれば、頼もしくもあります。ある種の強制力によって勤怠が安定して、「働いてお金を稼ぐ」という目標が達成しやすくなります。

しかし、勤務時間が会社によって決められているということは、ストレスになる場合もあります。例えば、体調が悪い日に勤務時間帯をずらすことができなければ、仕事の効率が悪くなる可能性もあります。勤務時間の調整が可能かどうかは職場の就業規則によっても変わってくるため、どうしても妥協しなければならない部分は出てくるでしょう。

特にてんかんのような突発的な発作は予測不可能です。どうしても症状によって業務中に辛くなる場面というのは避けられず、そうした場合、勤務時間が決められていることがマイナス面に働きます。

また、「出社すると、会社で人と会うことになる」ということも、人間関係の悩みにつながる可能性があります。健常者でも職場の人間関係の悩みはあるものだと思いますが、精神症状を抱える人ならば、より一層深刻なものになりかねません。

会社までの移動手段の問題もあります。てんかん当事者が抱える車の運転の難しさもあれば、付随した障害特性によって公共交通機関の利用の困難さを抱えることもあります。


次に「在宅で働く」場合です。先ほどの「出社して働く」場合の裏返しで説明できる部分が多いかなと思います。

まずは勤務時間です。在宅ワークだと自らの裁量で管理しやすいと感じています。たとえば、このライター業もそうですが、納期までに成果物を提出すれば、どの時間に働くかは自由に決めることができます。出社して働く場合は時間を柔軟に使うことはしづらいため、私のような予測不可能な発作に悩まされるてんかん当事者には大変ありがたいです。

また、実際に顔を合わせる機会も減るため、人間関係の悩みが減ることも大きいものです。職場で発作が起きてしまった場合は、周囲の人への説明や、途中で仕事を抜けてしまったことへのフォローなどが必要になりますが、在宅ワークならばそれも不要です。途中抜けしたとしても、その後の時間で仕事を終えればいいのです。

私の場合、個人的な性格もあると思いますが、自身の精神症状についても、周囲に迷惑がかからないように気にしてしまいます。結果として気疲れしやすい傾向にあります。気遣いや説明、フォローが必要になってくるのは、てんかんの発作が起きてしまった場合に限らないのです。

移動(通勤)手段について頭を悩まされることがないのは言わずもがなでしょう。

ここまで書くと「在宅で働く」選択肢一択のように伝わるかもしれませんが、デメリットとなりえる様々な観点を想定したときに、私自身は非常に悩ましく感じてしまうことがあります。

例えば、「規則正しい生活」という観点です。時間の管理が苦手な人は不規則な生活になると思います。出勤によって早起きの生活リズムを保つことができていた場合、在宅ワークによって夜更かしが増えたり、食事などの生活リズムが崩れたり、という状況が考えられます。外出する機会が減るため運動不足になってしまう可能性もあります。

私は、障害と付き合いながら生きていく上では、規則正しい日常生活を送ることは大切だと思っています。その意味では在宅で働くことは向いていないのかもしれません。

てんかん当事者は、いつどこで起きるかわからない発作に悩まされながら働かざるを得ません。そこで大切なのは「妥協点を見出せるかどうか」だと思っています。それぞれの良し悪しを見ながら、自分にとっての働きやすさや優先順位をつけ、どこで妥協するかは重要です。


まとめ

精神障害のある方々は、その障害特性や配慮が必要なことを考えると、在宅ワークの方が働きやすい傾向にあるのかもしれません。

私は精神症状がひどくなると、家に引きこもりがちになります。そういう状態下での出勤はつらいもので、出社する働き方しか選べないのはハードルが高いと感じてしまいます。

「精神障害者に特化した在宅ワーク支援制度」などがあれば、是非利用してみたいと考えていますが、皆さんはどう思われますか?

16歳の時、父の死から原因不明の「てんかん」を発症する。部分寛解後、原因不明の「てんかん性精神病」を発症する。陽性症状で人間関係の構築が困難な状況に、働きづらさを感じている。投薬治療中。精神障害者手帳3級所持。働き方として在宅ワークを模索中。趣味のキーワードは美術館、パン、スイーツ、ウォーキング、読書、トレッキング。

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