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発達障害の私にとって、組織の暗黙の了解やルールは察しづらい

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2023.7.18

皆さんは、自分が所属している組織で明文化されていない謎ルール「暗黙の了解」に出会った経験はありますか?今回は、私が察せなかった組織の「暗黙の了解」と、出会ってしまった時に私はどうすればよかったのかについて少し書いてみたいと思います。

執筆:とくら じゅん

こんにちは、とくらです。

皆さんは、自分が所属している組織で明文化されていない謎ルール「暗黙の了解」に出会った経験はありますか?私は「空気を読む」ということが非常に苦手な人間なので、組織の中での「暗黙の了解」を非常に恐れています。

思えば子どもの頃から「常識がない」という怒られ方をすることが多かったのも、空気を読めないことが一因かもしれません。

今回は、私がこれまで出会ってきた組織の暗黙の了解・ルールについて振り返り、「こんな時はどうしたらよかったのか」について書いてみたいと思います。

アルバイト先での「先に言って欲しかった~!」


私が学生時代勤めていたアルバイト先には、アルバイト社員(正確には派遣会社に登録しているアルバイト社員)が朝の時間帯に休憩室を使ってはいけない、という謎の暗黙のルールが存在していました。

就業前にそんなルールは説明されていませんし、どこにも記載されていないので私は早朝の休憩室でお茶を飲んだりしていました。

しかし、後に社員やベテランアルバイトの人達の中で「あの人よくあんなことできるね」と言われているということが発覚。

これは社員と本社に所属するアルバイトの人達にとっては当然のことだったかもしれませんが、派遣されてきている私にはわかりません。間に入ってくれていた派遣会社がそんなルールを最初に説明することもおそらく難しいと思います。

もし、そうして欲しいのであれば、休憩室に「※○時~○時派遣会社から来ている人は使えません」くらいの掲示をしておいて欲しいところです。

当時は「はぁ?」とは思いながらも、言い返すこともできずなんとなくやりすごしてしまいましたが、その後、私のように派遣されてきた人達が困るかもしれないことを考えると、何か言っても良かったのかもしれません。雇用条件的に立場の弱い人間だという点で何も言わないのが正解だったという可能性もありますが。

ルールの詳細が周知されていない


以前勤めていた会社では、休暇を取る際に社内のチャットで報告する決まりになっていました。

初めて営業日に休みを取ることになり、他の社員と同じように社内チャットに「●日お休みをいただきます。」という書き込みをしたところ、まずは上司に個別に相談して許可を得てから休暇を取るように指摘されました。

どうやら他の社員は事前に許可を取ってから、休暇の連絡をしていたようです。

その事情をまったく知らされていなかったため、「休暇取得の説明の際になぜその一言を添えてくれなかったのだろう」と疑問に思いました。

今考えてみれば、上司に一言伝えておいた方がいい気はしますが、休暇取得をする上で必須のルールなのだとしたら、その詳細を「これくらいなら言わなくてもわかるだろう」という感覚で省かれては困ってしまいます。

当時は学生の頃よりも疑問を相手に伝えることが大切だと思い始めていたため、「教えてくださいよ~」と言った記憶があります。

相手は「そもそも伝える必要がない」と思っている場合もあるので、他にも困っている人が居るかもしれません。こうした細かいことほど、他のルールと同時に伝えておいた方が良いと感じました。

大人の常識?


また、以前勤務していた会社では、とにかく疑問に思ったことが大量にありました。

当時疑問だったことを一部抜粋します。

  • 仕事が終わらなくても飲み会に行き、飲み会後に会社へ戻り、朝まで仕事をする
  • 休日の飲み会も基本参加
  • 休日も連絡があれば対応する(休日とは…)
  • 男性は残業必須だが女性は最悪残業できなくてもしょうがないか、みたいな空気(おや?)
  • 会社備品にアイロンをかけるのは女性(はい?)
  • 定時に帰る日は定時に帰ることをスケジュールに入れておく(定時とは…)
  • 休みの日の予定もスケジュールに入れる
  • 昼休みも電話を取る
  • 目上の人よりも早く電話を取る
  • 上司とごはんに行ったら率先して肉を焼き、注文を取り、ドアを開ける

どう考えても労働基準法的にまずいことやモラル的におかしいこともあったとは思いますが、当時は知識もなく、「なにか様子がおかしいな?」と思ってもほとんど指摘することはありませんでした。

また、他にも、どうやら「お客さんにお茶を淹れるのは女性」という暗黙の了解があったのですが、ある日の来客時、非常に忙しかったため、「他に暇そうにしている社員がやるだろう」と座っていたら「早くお茶出してくださいよ」と男性社員に言われたときは驚きを禁じえませんでした。

これにはさすがに「なんで?」と聞いてしまいましたが、今でも「なんで?」という気持ちです。

「早く電話を取る」、「上司とご飯に行ったら~」という社会人のマナー的なものは、なんとなく理解できなくもありませんが、正直「知らんがな」という気持ちでした。

これは会社が悪いわけではなく、本当に私の社会的な常識の欠如としか言いようがありませんが、みんな好きなタイミングで焼きたいんじゃないんですか?焼肉?何が何でも先にドア開けるために小走りで出口に向かうのなんか変じゃないですか?と、つい思ってしまいます。

いや、わかるんですよ、これは社会人のマナーなんだろうということは。

目上の人にはやらせず自分が率先してやります!ということなんですよね。わかります。

しかし、もはや当たり前のマナーなのであれば最初にどこかで明文化して欲しいし、場面場面で対応が変わって難しすぎます。

その後は絶対にマナー違反をしないようにとマナーをめちゃくちゃ調べることになりましたが、実際に体をその通りに動かすことは難しい。

今では、なるべく目上の人とは食事をしないことでこうしたマナー違反を回避することにしていますが、傍から見れば本当に失礼で常識のない人間だと思います。(決して敬意がないわけではないのです)

まとめ

冒頭にもお伝えしたように、私自身、発達障害の障害特性として空気を読むことが苦手です。ここまで私の元を訪れた組織の暗黙の了解・ルールを紹介しましたが、これらを察しなさい、気づきなさい、感じなさいということは、とても難しいことです。

暗黙の了解・ルールを明示し、可視化することは、私のような発達障害者にとっては、合理的配慮のひとつにしてほしいとさえ思ってしまいます。

ただ、組織内に当たり前に存在している暗黙の了解・ルールを察することができないという状況が訪れた時、立場によってはおかしいことをおかしいと言ってしまうことで不利益を被る可能性もありますが、もしそうでない場合には、できるだけ「なんで?」「先に言ってくださいよ~」と伝えることで、これから先で困るであろう人を減らすことができるかもしれません。

組織は「これまでこうしてきたのだから当たり前にそうである」と思って、伝えなくても通じるという前提で動くことが多いです。

「一般的に誰しもがその常識を共有しているわけではない」と伝えることで、組織全体の改善にもつながるのではないでしょうか。

(しかし、私はなるべくこうした暗黙の〇〇に出会わないように、今では人とのリアルな接触をなるべく避けて生活しています)

1991年生まれ。下町暮らしのフリーライター・イラストレーター。出産後ADHDの診断を受ける。様々な立場の生きづらさを考えていきたい人。

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