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WebライターはASD・うつ・HSPでもなれる!特性を上手にカバーしよう

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2023.7.25

彗星のごとく現れたChat GPTさんという強敵がWebライターの仕事を奪う日も近いと囁かれている昨今でも、まだまだWebライターになりたい人は多いと思う。今回は、ASDとうつとHSP気質のある私が、普段の業務で気をつけていることや自分の特性への対処法などをご紹介しようと思うので参考にしていただければ幸いだ。

執筆:月尾 いる

はじめに

彗星のごとく現れたChat GPTさんという強敵がWebライターの仕事を奪う日も近いと囁かれている昨今でも、まだまだWebライターになりたい人は多いと思う。

Webライターになりたい障害当事者が気になるのは、数多くの専門書が出版されている「基本的な文章の書き方」や「どうやって構成を作ったらいいのか」ということよりも、「自分の障害特性がありながらライターができるのか」ということではないだろうか。

私は前職もライターだったが、フリーランス時代は上手くいかなかった。そのときに学んだことは、仕事の向き不向きは業務内容だけにいえるものではなく、「働き方」や「環境」「自分の特性・性質」なども関連してくるということ。

今回は、ASDとうつとHSP気質のある私が、普段の業務で気をつけていることや自分の特性への対処法などをご紹介しようと思うので参考にしていただければ幸いだ。

HSP気質とうつ持ちゆえに気にしぃで怖がり

「ライターになりたいと思ったときに、とっかかりとしてSNSやブログで発信しよう」とおすすめしている記事を見たことがある。たしかに、それは未経験の人がライターを目指す方法の一つなのかもしれないが、小心者の私には向いていなかった。

私はSNSやブログで発信した経験はほとんどない状態で、ネットでWebライターの募集をかけていた某企業に応募した。私は自分の文章のチェックや編集をしてくれる人がいた方が安心できるので、そのやり方が合っていた。

私と同じように「発信が怖い」けど「ライターにチャレンジしたい」という方は、記事の納品先が匿名かどうかを企業に問い合わせるのもありだと思う。

また、「他人とのコミュニケーションが少ない」イメージでWebライターに惹かれる方もいるかもしれないが、まったくコミュニケーションを取らなくていいわけではない。この仕事は、直接顔を合わせなくとも、メールやチャットツールで交流することは多く、疑問点の質問や確認、納期の交渉、相手に配慮しつつ自分の意見を伝えるなど最低限の報連相は必要である。

私も未だに伝え方に悩むので、「メールの質問の例文」などをネットで検索して参考にしている。

体調不良の時は視覚情報も入ってこない

基本的に私は視覚情報のほうが入ってきやすい人(視覚優位)だが、体調が悪いときは「ちゃんと見たつもりなのに、見れていなかった」ということが起きてしまう。見直しをしたつもりでも、ミスが見つけられなかったりするのだ。そんなときには、聴覚に助けてもらうようにしている。

たとえば、Wordの校閲機能には「音声読み上げ」というツールがあるので自分の書いた原稿を読み上げてもらい、目と耳の両方で誤字や脱字がないかチェックをしている。見ただけではわからなかったような間違いに気づくこともある。

人によって得意な方法はちがう。視覚情報に強い人もいれば、聴覚情報に強い人もいる。けれど、一つのチェック方法に頼りすぎると、同じようなミスをしかねない。色々な方法でチェックするとミスを減らし、質を担保できるようになると思う。

ちなみに、ネットの記事はGoogle Chrome拡張機能の「Read Aloud」というツールが文章を読み上げてくれるので便利だ。

視覚優位なため目が疲れやすい

先ほどもお伝えした通り、視覚優位なことは自分の強みである一方で、気をつけないと「目を使い過ぎて疲れた」となりやすい。

「どうやったら目の疲れを減らせるか」と試行錯誤した結果、ネットやパソコンの本体、チャットツールなどの背景をダークモードにするという方法に落ち着いた。

Windows10では個人用設定の色を「ダークモード」に選択すると設定画面やフォルダ内が暗色になるだけでなく、Googleのトップページも自動的にダークモードになるのが嬉しい。ただし、個別のサイトには非対応なので、よそのサイトの背景を暗色にしたい方には、Google Chrome拡張機能の「Dark Reader」をおすすめする。

次の画像は、このパラちゃんねるカフェのトップ画面を通常モードとダークモードで比べたものだ。どちらが見やすいかは人によってちがうはず。見比べた上でお好きなほうを選んでもらえればと思う。

左:通常モードのパラちゃんねるカフェのコラム   右:Dark Reader適用したパラちゃんねるカフェのコラム


完璧主義な気質で頑固者

自分が完璧に書いたつもりでも修正依頼をされるのはわかっているが、ASD傾向もあってか、こだわりが強く融通が効かないため、何度も細部を修正したり同じところで何時間も手が止まったりしてしまう。

納期ギリギリになって「あともう少し手直しした方がよくなるはずだから、その後で提出したい」となることはしょっちゅうある。

ただ、「自分の納得のいく原稿を提出する」ことを大切にしようとすると、納期に間に合わない。期日を破るほうが不誠実だと気づいてからは、「クオリティ<締切」ということを念頭に置いて作業を行い、期日に余裕を持って提出するように心がけている。

過集中だが気が散りやすい

私は過集中になりやすいけれど、気が散りやすい。この二つは矛盾しているようだが、していないもので、誰か、共感してくれるだろうか。

たとえば、集中しているときにチャットの通知が来ると気になって仕方がないことがある。作業を中断してチャットを見たいという誘惑にかられる。「今は目の前の作業に集中して、後で見よう」と、なかなかならないのだ。

通知は必要だが、作業中にデカデカとデスクトップにポップアップが表示されると気が散ってしまうので、自分宛のメンション以外のポップアップを非表示に設定したところ快適になった。

とはいえ、チャットツールの投稿は全て目を通した方がトラブルも少ないので、時間が空いたときには小まめにチェックしている。

うっかりミスが多い・すぐ忘れてしまう

ADHDの人にありがちなうっかりミスや、すぐに忘れてしまうこと。この対策としては、言われたことをメモしておくのも有効だが、私は一次情報を残しておきたいので、スクショした画像に名前を付けてその月のフォルダに保存している。

たとえば、チャットで以下のような通達があったとしよう。


こちらの内容をスクショし、(Windowsの方はWindowsボタン+Shift+Sで画面を切り取ることが可能)ペイントアプリに貼り付けして、内容がわかるように名前を付けて保存する。そして、年月を記入したフォルダに保存しておく。

すると、あとでフォルダ内を検索したときに画像を見つけて内容を確認できるし、万が一見つけられなくても時期がわかれば探すフォルダの目星が付けられる。


自分で覚えておくことが苦手な人は、「必要な情報をどうやって整理しておくか」の工夫が必要だ。私はパソコンをメモ代わりにすることで、後から見返すときに検索しやすいようにしている。

Webライターは誰でもなれる?


ネットワークにつながる環境で文字さえ書ければ誰でも発信できるのが、現代社会の利点であり、ブログやSNSなどをしていない人のほうが少数になりつつあるので、「誰もがWebライターになれる時代だ」と言われたら確かにその通りかもしれない。

ASDやうつ、HSPの特性がある私がWebライターをする上で困ることはあったけれど、それぞれ何とか対処法を見つけてやってきた。「障害特性があるとできない仕事だ」とはならないと思う。

だが、「Webライターは誰にでもできる仕事なのか?」と問われたら、「Webライターに限らず誰にでもできる仕事は存在しない」と私は答えると思う。「なれる」ことと「仕事として成立するか」は全くの別物だし、「好きなこと」と「仕事の適性」が一致するとも限らない。

Webライターを目指している方へのお願い


Webライターになったばかりの頃に印象深い経験をした。私と同じ業務を担当していたライターが突然連絡を絶ち、困り果てた雇用主が私に業務の引き継ぎを打診してきたのだ。「少なくともこの人なら突然連絡を絶ったりしないだろう」という最低ラインの信頼だったかもしれないが、会ったこともない私の人間性を評価してくれたように感じてすごく嬉しかった。

一方で、無責任な仕事や途中で仕事を放棄する人々を見かけるたびにやるせない気持ちになってしまうこともある。これは、もしかしたら拙いながらもWebライターとしての自分が好きなのかもしれない。自己肯定感は低いどころか谷底に住んでいるので、こんな気持ちには我ながら驚いている。

だから、1つだけ私からみなさんにお願いをするとしたら、仕事や仕事関係者の方々と真摯に向き合えるライターになってほしい。

そして、この記事を読んだあなたがいつかライターになったときに、今よりも自分を好きになれていたならば、私自身も一介のWebライターとして冥利に尽きる。

愛着障害持ちのASD。愛着障害ゆえ にHSPのような症状が出ることも。Twitter小説大賞、三木露風賞などの受賞経験有り。スピッツが大好き。

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