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「車イス用駐車スペース」は誰のため?

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2023.8.7

車で出掛けると、今は多くの施設で見かける「車イス用駐車スペース」ですが、利用したことありますか?
今の私には必須利用となったスペースですが、なぜ“今は必須”なのか。

過去に困った経験なども踏まえて書いてみます。

執筆:山口 真未 Mami Yamaguchi

皆さんは「車イス用駐車スペース」または「思いやり駐車場」はご存知ですか?

最近は大きな施設ではなくとも、近所のスーパーなどでも入り口付近に、車イスマークが描かれた駐車スペースがありますよね。

このスペースを利用したこと、ありますか?
障害者当事者、またはご家族で身体が不自由な方がいる、など色々な理由で利用経験があるかもしれませんね。

他にも「思いやり駐車場」の場合は、妊婦の方やご高齢の方も利用できるスペース。ありがたいものですよね。
「車イス用駐車スペース」であっても当然ですが、車イスユーザーではなくとも、利用できるスペースです。

ただし利用したいけど空いてないという場面に、多く遭遇するのも事実です。

誰のためのスペース?

多くの場所で見かけるようになった駐車スペースではありますが、数に限りがありますよね。1か所しかない場合も、多く見かけます。

そのため、早い者勝ちのような状態です。当然ですが空いていない場合は、私も通常のスペースに止めていますし、それが普通だとも思っています。でも、私以上に身体の障害が重い方はどうしているのだろう…と思ったりもします。

最近、その数に限りがある駐車スペースに、利用が必須ではない方が使っているところを見かけることもあり、残念でなりません。もちろん、一見しただけでは、判断できないような場合もあるとは思います。

過去の私がそうであったように、ちょっと見ただけでは気づきにくいけど、実は足が不自由な人も多くいます。

また、高齢者でも今は元気な方も多いですよね。私の父も65歳を超えていますが、未だにフルマラソンを走るくらいには元気です。そんな父が、見た目に高齢者だからと言って「車イス用の駐車スペース」が必須かと言えば、答えはNOです。

では、その駐車スペースを本当に『利用しなくてはならない人』とは、どんな人なのでしょうか?

お店に近い=利用しやすい?

勝手な推測かもしれませんが、恐らく「車イス用の駐車スペース」を使う必要がない人でも利用したくなるのは、お店の入り口に近いためではないでしょうか。

誰だってお店にサッとは入れる方がいいですし、特に暑い日や雨の日ならより早く屋内に入りたくなりますよね。老若男女問わず、当然の欲求だと思います。

だからこそ駐車場ではお店の入り口付近から埋まっていきますし、一番遠いスペースへ最初に止める人はなかなかいないですよね。

ですが「車イス用の駐車スペース」は、他にもメリットがあるのです。

一番のメリットは駐車スペースが広く、車への乗り降りがしやすいこと。

たとえば、私は病気のため筋力が低下し、関節も硬くなっています。今は膝が90度以上は曲がらないため、一般的な車への乗り降りの際には、ドアを最大まで開けて誰かに介助してもらう必要があります。

さらに、私が乗せてもらう頻度が高い妹夫婦の車は福祉車両で、助手席が機械で乗り降りしやすい位置まで動いて降りてくるタイプです。

座席が動いて降りてくる=広いスペースが必要なため、通常の駐車スペースでは乗り降りができないのです。具体的にどれくらいのスペースが必要かというと、隣の駐車スペースの横幅3分の1から半分です。

たまたま隣が空いていればラッキーですが、空いていない場合は別のところへ車を移動させて乗り降りします。しかも、機械とはいえ、ゆっくり座席が動くため時間がかかります。

過去に一度、どうしても空きスペースがなく、駐車場内にあるいわゆる車の通り道で乗り降りしたことがありますが…やはり邪魔になりますし、横を車がすり抜けていって怖い思いもしました。

そんな経験もあり、「車イス用の駐車スペース」の必要性を改めて実感するようになりました。

思いやりと優しさをもって

「車イス用の駐車スペース」はお店の入り口に近いだけでなく、車への乗り降りや車イスの積み込みなど、広いスペースが必要なためにあります。

海外では、「車イス用の駐車スペース」に通常の車が止まることはないと聞いたことがあります。必要な人のためにと空けているスペースであって、他の人が利用すべきではない、と。

日本でも今はパーキング・パーミット制度といい、事前に役所で利用証を交付された人のみが「車イス用の駐車スペース」を利用できるという制度もあります。

他にも駐車スペースにわざわざ動かす必要があるコーンが置いてあったり、警備員さんが目を光らせている場所も見かけますね。

ですが私の願いで言えば、そんな強制力のある制度ではなく、思いやりと優しさをもって利用したい人が利用できる世界であって欲しい。

またもし車の乗り降りなど、時間がかかる人を見かけても、温かい目で待つ余裕を持ってもらえると嬉しいなと思います。

1990年生まれ。障害者ファイナンシャルプランナー(FP)。生まれつき”筋ジスの仲間”と言われつつも、正式な「ベスレムミオパチー」の診断は大人になってから。高卒・障害者雇用で大手鉄道会社の事務で10年以上勤務したが、病気の悪化により退職。そこで改めて、お金の大切さに気付く。現在は、障害者だからあるお金の悩みと寄り添いたく、障害者FPとして活動中。

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